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〝子宝治療〟

今回も、不妊治療に関するお話し。
ちょっとテーマが続いてしまいますね・・・
でも、今後こればっかりを書くブログにはなりませんのでご安心を!
まだ伝えきれていない部分があったので、今日これを書きます。

不妊治療を、〝子宝治療〟と言い換えたら、
なんだかちょっと、ギスギスした心が、丸くなりませんか‥?

私が不妊治療をしてびっくりした事の一つに「病院が混んでいる」ことがあります。とってもたくさんの女性が、「不妊治療」なるものをしているんだ!と本当に驚きました。

でも、同じ体を持った人、なんて居ないから、不妊治療は千差万別、みんなそれぞれ違います。
負担感や辛さ、苦労も、みんなそれぞれで違うと思うんです。
だけど、なんとなく『ポジティブではない』という点では、共通しているんじゃないかな、と感じます。

ポジティブじゃない感じに阻まれて

私は、不妊治療のクリニックの門を叩くまで、この、ポジティブではない感じに、かなり足止めされました。
私=不妊、と自分でジャッジする事に、ものすごく抵抗がありました。本当は、そんなジャッジなんていらなくて、スッと踏み込めばいいものだったのに‥
(今だから言えますが、ここだけの話、2度流産した後に治療の勧めをされた時「私は2度自然妊娠しているから、不妊治療は必要無い!」なんてバカな意地を張っていました・・。本当に、今思えばなんと浅はかなプライド・・・。)

こんな話を自分で発信して自分で書いているのに、先日のラジオを受けてのネットニュースなどで自分の名前と不妊治療という言葉が一緒に並ぶと、今だに、ちょっと心に影が落ちます。
何だろう、自分の名前が薄黒いベールを被ったような気持ちです。

この感じは、不妊治療中の女性の多くの方の心の負担の一部になっているのでは‥と、治療を経験して思いました。
だって、隠し事が苦手で何でも大っぴらに言ってしまう性分の私が、この『不妊治療』という言葉だけは、喉で詰まってとても言いづらかったんだもの‥!!

治療・・?

更に言えば、私はクリニックに通って
検査→採卵→受精→移植 
というステップを踏みながら、『治療』という言葉にも違和感がありました。

治療、って、悪い所を治す、イメージじゃないですか??というか、言葉としてはそういうものです。
だけど、実際に〝不妊治療〟で行う事は、圧倒的に『足りないものを補う』事が多かったように思います。
もちろん、何か内科的な問題があって治療することが第一歩な方もいらっしゃいます。
だけど、最初から自分で「治療が必要な」「不妊」と自覚しないとクリニックの門を叩けない、これこそが、女性が自分の体について知るチャンスが後回しになる原因でもあると思うんです。

ポジティブな英語表現

私は英語ネイティブではありませんが、海外に友人が何人か居ます。
その女性の友人達は、とってもサラッと「不妊治療したよ」と伝えてきます。
でもその時の、英語での「不妊治療」は「firtility treatments」なんですよね。
直訳すると「受胎能力 手当」です。
なんか、とっても前向きじゃないですか?
どこにも、病気っぽさが無いのです。(ネイティブではないので、この感じ方が間違っていたらごめんなさい!)
”妊娠しやすさを上げる””受胎する体にする”為に”手を施す”といった、この前向きのニュアンス。
この方が、よっぽど、治療の実態と近い気がします。

”子宝治療”

で、クリニックの待合室に居る時間に、ふと思ったんです。
『子宝治療』とかなら、受け止められるのに‥と。
「治療」という言葉の違和感は妥協するとしても、「不妊」を言い換えるだけで、なんだかとってもポジティブです。

元を辿れば、「赤ちゃん欲しいな、と思ってるから通っている」という、シンプルにただそれだけのことなのに、通っているうちに「不妊」という言葉にどんどん侵食されて、「私はダメなんだ、子供が出来ない体なんだ・・」と真っ暗なトンネルに入ってしまう。
私も含め、多くの方が経験する心理状態だと思います。
それを、「子宝治療」に置き換えるだけで、「光に向かって進んでいる」感、出てきませんか・・???

自分だけじゃなく

これまで私が「不妊治療をしていて」と打ち明けた時、ほとんどの方が、
「大変だね、頑張ってね」と言ってくれました、なんだかとても申し訳なさそうな顔で・・・。
そう、その言葉を聞かされる周囲の人にとっても、「なんだか可哀想」な言葉になってしまっているのです。
それを感じたこちら側も辛くなるし、自分がどんどん可哀想な人になっていく。
そんな「負のスパイラル」が、どことなくあるような気がします。

もちろん、大手を振って周りに自慢するような事ではないのですが、
もうちょっとナチュラルに、タブー視される事無く理解される世の中だったらいいなと思うのです。

湧いてくる思い

このニュアンスを伝えるのが難しく、なんだかダラダラ長くなってしまいました。
「不妊治療」は私にとって衝撃的な「出会い」でした。
今でも不妊治療に関する雑誌は何度も読み返しますし、思いを巡らせます。
人の生命、社会との関わり、人生の選択・・・。
これからも、心にふと伝えたい思いが湧いてきた時には、ここに記したいと思います。

重ね重ね、先日のラジオから今まで、様々なリアクションを私に伝えて下さった方々、ありがとうございます。
誰かの何かのきっかけになれていれば、本望です。