交通安全講習的なやつで事故映像を見せるのって効果あるの?

 スケアード・ストレートという教育手法がある。ネットでちょろっと調べると「恐怖を実感することで、それにつながる危険行為を未然に防ぐ教育手法。事故現場を再現してみせ、交通ルールの大切さを学ばせたり、非行少年に刑務所を見学させて厚生をうながしたりするなどの活動がある」といった解説が出てくる。
https://kotobank.jp/word/スケアードストレート-541404

 職場の交通安全講習的なやつで、ドライブレコーダーに記録された事故映像を見せられた(正確には実際の映像ではなくてスタントマンによる模擬映像)。当然のことながら人が傷つくような映像を見ることは不快だし、嫌な気持ちになる。いやいや、スケアード・ストレートなんだから仕方がないじゃんと言う人もいるだろうが、ちょっと待ってほしい。

 先に出したネットの説明で「非行少年に刑務所を見学させて厚生をうながしたりする」というものがあった。しかし、これは過去のことであり、研究の結果、実はスケアード・ストレートには効果がなく、むしろ非行少年たちを悪化させるということ分かっている。

 とすると、交通安全講習的なやつで、事故映像を見せることに、本当に効果はあるのか? という疑問がわく。交通安全とスケアード・ストレートの研究成果は寡聞にして知らずというやつだが、非行少年のことを考えると、効果があると無批判に言うことができない。

 先に受けた交通安全講習的なやつは「職員の交通事故が増えているため、意識啓発としてやる」というお題目で行っている。よくある話で、職員が交通事故を起こす→よし研修だ→やっぱり事故を起こす→もっと研修だ……と、毎年やっている。しかし、仮に交通安全講習的なやつでスケアード・ストレートをやることが逆効果だと分かったらどうなるのだろう。交通事故を減らすためにやっていた研修こそが交通事故を増やしていたというどうしようも状況になってしまう。

 貴重な業務時間を使い、職員に不快な思いをさせてまで行う研修。それはいいんだけど、その研修に本当に効果はあるのか。その研修は妥当な研修なのか。「研修をしました」と外面を整えるためだけにやる研修なぞ、百害あって一利なしである。

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