たかはしょ

僕らはみんな生きている。行政関係のお仕事をしています。

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最近の記事

すべての田舎の集落機能を維持できるほどの関係人口(量)は存在するのか?

 これまでに何度も「関係人口」論への疑問を呈しているのだが、今回もそんな話。  農村の集落を存続させるために関係人口を増やし、その関係人口に、例えば「草刈り」のような集落維持作業をやってもらう。「今の都会の人は草刈りをやったことがないから、意外と興味を持ってくれるんだよ!」というあまりにも楽観的すぎる見通しには目を瞑ったとして、そもそも、現在の日本には「すべての田舎の集落機能を維持できるほどの関係人口(量)は存在するのだろうか?」  計算方法は、非常に単純である。「草刈り

    • 関係人口の最大値は2,160億人

      まず、関係人口の定義を確認する。 ここでは「私は、X自治体の関係人口である」と自認している人のことを、X自治体の関係人口であると定義する。 そのうえで、関係人口の最大値を計算する。 ワタクシ(たかはしょ)が関係できる自治体の最大数は、全国の自治体(都道府県+市町村)の数であるから、ざっと1,800自治体である。次に、ワタクシと同様に、関係人口の「もと」となる現実の人口は、日本の人口そのものであるから、ざっと1億2,000万人である。後は、これをかければ関係人口の最大値が求め

      • 旅をしよう。それが、遠くでなくとも。

        例えば、となりまち。知っているようで、知らないことばかり。お店に入って、手書きのポップなんて見つけたら、そこに在る誰かの営みが感じられる。 例えば、脳科学。どこか遠くというよりも、自分の内奥へと向かう。自分ほど、自分にどうしようもないものはなくて、そんな自分の理解を試みる。いや、別に自分である必要はないのだけれど。 例えば、歴史。戦国時代でも、戦後でも、あるいは家族の歴史でも。今はいない。けれど、たしかにいた。そんな誰かに思いを馳せる。 例えば、物語。本でも、映画でも、

        • 戦略と戦術の違い。許容できる失敗と許容できない失敗

          「戦略(ストラテジー)」と「戦術(タクティクス)」という言葉を使って、仕事の性向を整理する話。 戦略とは上位の方針であり、戦術とは下位の方針である。例えば「北に行く」というものを戦略として据えた場合、戦術としては「飛行機で行く」「新幹線で行く」「自動車で行く」「歩いていく」などなどが考えられる。あとは、諸々の制約条件に従って、「時間を優先するなら飛行機」「お金を優先するなら徒歩(ホントか?)」といった戦術が選択される。 ここで悲惨なのは、戦略が間違っていた場合である。本当

        すべての田舎の集落機能を維持できるほどの関係人口(量)は存在するのか?

          うるまにて【現地猫コレクション】

          2023.2.8-2.12 撮影はiphone11 新しいiphone買おうかしら。

          うるまにて【現地猫コレクション】

          政策立案の評価(policy making evaluation)の評価軸

          政策評価 policy evaluationというものは、まあそれはそれで一分野であるが、自治体職員向けに政策立案/政策形成研修みたいなものをやっていると、むしろ「政策立案の評価(policy making evaluation)」の観点が必要になる。以下は、「政策立案の評価」についての、1つの試案である。 前提として、政策とは「①市民の現状=問題を、②市民の理想=問題が解決された状態に近づける際に、③障害となるもの=課題を、④解決するための方法=解決策」である。たまに、現

          政策立案の評価(policy making evaluation)の評価軸

          少子化対策の研修

          自治体職員向け研修なんてものを企画していると、まあ大枠のテーマとして「少子化」は外せない。一方で悩むのは、研修そのものとして、メタに考えたときに、少子化対策に役立つ研修とはいかなる研修であるか、という点である。 東京で、1泊2日の研修を、月に1回、半年間繰り返す。このような構造を持つ研修に参加できる地方公務員は、家庭環境からしても限られる。これまでの受講生の属性を見ても、8割くらいは男性だし、女性の参加者は未婚者がほとんどである。とてもではないが、子育て中の女性が参加できる

          少子化対策の研修

          砂澤ビッキのスケルトン

          北海道立近代美術館において、砂澤ビッキ展が2023年1月22日まで開かれてるようです。以下、それを見たときの結論なき記録。 北海道立近代美術館で開かれている「砂澤ビッキ展」を見た。その感想。ビッキを知ったのはこの企画展においてであるから、素人が知ったかぶりで書いている。誤った解釈などがあっても、お許しいただきたい。 砂澤ビッキという人は、「触れる」「動かせる」ような彫刻をテーマとしたらしい。企画展の最初に展示されているのは、昆虫や甲殻類、動物をモチーフとした木の彫刻である

          砂澤ビッキのスケルトン

          ブラックの効用。あるいは高揚。

          忙しい時期とはいうのは、たまにはあるものであって、仕事をして、家に帰って、ご飯を食べて、そして寝て。そんなことを繰り返すだけの日々が続く。 慢性的な睡眠不足の中で、ご飯を食べたあとには猛烈な眠気が襲ってくる。頭が働かなくなったその状況で、電気を消し、ヘッドフォンをして、ガンガンと大きな音で音楽を聞き、脳みそをシェイクする。歌詞の言葉は溶解し、言語としての意味を成さないリズムと音階へと還元されていく。 普段は健康的な生活を送り、各種ガジェットを使って睡眠をトラックしているた

          ブラックの効用。あるいは高揚。

          最近の散財 - パソコンでハイレゾ音楽を聞きたい

          ストレス発散の一環として、ガンガンに音量を上げて音楽を聞くということをたまにしている。そのQOLを上げるためのここ2か月くらいの投資の記録。 ifi audio - ZEN DAC パソコンでハイレゾを聴くときに必要なUSB-DAC(Digital Analog Converter)。しかし、Audio機器はなぜUSB-B端子を使っているのだろう? amazonで20,000円くらい。 ゼンハイザー -  HD599 これまでオープン型のヘッドフォンを使ったことがなか

          最近の散財 - パソコンでハイレゾ音楽を聞きたい

          ガジェット計画2022

          今年もAppleの新製品が発表された。結論としては、ほぼ購入は見送り。だいたい昨年通りのガジェットで生きていくことに。 スマホ 現在使用しているのは、iPhone 11無印。2019年に買ったものであるから、約3年使っている計算になる。電池の面では多少弱くなっているが(設定で確認したら新品比84%に劣化していた)、性能の面では特に不満はない。LightningがUSB-Cに変わったら買い換えようと思っていたが、iPhone 14はLightningのままだったので買い替え

          ガジェット計画2022

          人口希少時代における関係性の価値

          戦後の高度経済成長期は、日本国内における消費主体の数が飛躍的に増大した時代でもあった。ベビーブーム等による人口増加により、絶対的な消費主体が増えただけではない。家族が個人へと徐々に解体されたことも、その増大に寄与している。例えば、一家に一台の黒電話は1人1台の携帯電話へと変わり、希釈用の得用カルピスは500mlのペットボトルへと変わった。 さらに今日においては、個人すらも解体が始まっている。個人は「24時間の可処分時間」へと解体され、供給側は可処分時間を奪い合う。twitt

          人口希少時代における関係性の価値

          誰がための伝承館

          先日、東日本大震災津波伝承館を訪れた。巨額を投じたのであろう非常に立派な作りの建物だった。展示内容は、コンパクトながらも広島の平和記念資料館を彷彿とさせる、淡々と事実を伝える良いものだった。 しかし、どうにも理解できないのは「なぜ、この場所に作ったのか」ということである。近くには「震災遺構」と呼ばれる建物があるし、海も見えるし、東日本大震災の前には高田松原があったし、ということなのだろうが、「再び津波が来たら、再び津波にのまれる場所」に、伝承館は建っている。 全国各地に「

          誰がための伝承館

          知識化されていない経験と戦う

          ここで「経験」とは個別具体的な事象のことを、「知識」とは一般的な事象のことを指すこととしたい。 とある木になっている、とある「りんご」が地面に落ちるところを観察した。これは経験である。しかし、他のりんごも、みかんも、羽も、鉄球も、何もかもが地面に落ちるところを観察した。このとき、これは経験ではなく知識となる(万有引力の法則)。 佐藤郁哉『ビジネス・リサーチ』(東洋経済新報社、2021)においては、事例研究を「事例について学ぶ」と「事例を通じて学ぶ」の2つに分けている。前者

          知識化されていない経験と戦う

          蛙の子は蛙。蛙の親は蛙?

          「子どもを成長させるのは簡単だ」なんて言うと怒られそうだが、大人を成長させるよりもずっと簡単なのは事実である。シニア世代へのリカレント教育なんてものを真面目に考えていると、その思いは一層である。 発展途上国の開発という文脈において「リープフロッグ(蛙跳び)現象」というものがある。これは「既存の社会インフラが整備されていない新興国において、新しいサービス等が先進国が歩んできた技術発展を飛び越えて一気に広まること」を意味する(by wikipedia)。既存のハード面の投資や、

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          ワーケーション支援による分断

          ワーケーション事業に巻き込まれそうなので、今のところの考えをメモ書き。なお、個人や民間企業がやる分にはどんどん進めてほしいけど、公共政策としてワーケーションを進めるのはどうなんだろう?という立場。 産業分類による対象者の限定イギリスの経済学者であるコーリン・クラークは、産業は、第一次産業(農林漁業)、第二次産業(製造業等)、第三次産業(サービス業等)に分類した。この分類の中で、第一次産業と第二次産業の従事者は、職場(農地や工場など)が特定の土地に紐付いているため、ワーケーシ

          ワーケーション支援による分断