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黒電話と関係人口

黒電話は「1つの家庭に1台」だったため、その国内マーケットの限界は「家庭の数」だった(オフィスは除く)。家庭の数だけ黒電話を売ると、あとは故障や更新の際にしか黒電話を売ることができなかった。

そこで、資本主義は携帯電話を発明する。携帯電話は「1人に1台」だったため、その国内マーケットの限界は「人口の数」まで増えた(やはりオフィスは除く)。人口の数だけ携帯電話を売ると、あとは故障や更新の際にしか携帯電話を売ることができなくなた。

さて、人口(定住人口)は「住民票はどこか1つの自治体に置かなければならない」ため、その国内マーケットの限界は「人口の数」だった。日本の場合、昔から戸籍制度がちゃんとしていたため、マーケットの限界はとっくの昔に迎えていた。最近では、人口が増える速度(子どもが生まれる数)よりも人口が減る速度(人が死ぬ数)の方が早いから、マーケットは縮小している。

そこで、資本主義は関係人口を発明する。関係人口は「1人に1自治体ではない」ため、その国内マーケットに限界は「ない」。……かに見えるものの、その限界は「人間に与えられる時間の量」によって定められる。人間に与えられる時間は24時間であり、その時間を超えて「関係」することはできない。

今でこそ、都市の人間が持っている「余剰時間」は、実際に居住している地域ではないところに投入することによって「関係人口」は増えているかに見える。しかし、いずれ「余剰時間」は投入しつくされ、関係人口のマーケットは限界を迎える。

関係人口のマーケットが限界を迎えたとき、一体何が起こるのか。資本主義は、また新たな「人口」を発明し、社会に売り出し始めるのか。それとも、発明はされず、資本主義社会は利益を上げることができなくなるのか。

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