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ニュース23に出演しました

持続化給付金の事務業務を一手に受注し、それを丸投げした正体不明の一般社団法人、サービスデザイン推進協議会。

この法人が自社ホームページで公開した「決算公告」について、TBSさんからお声がけいただき、ニュース23でコメントしてきました。

一般社団法人における「公告」

一般社団法人は事業年度ごとに決算内容を「公告」する必要があります(一般法人法128条、321条~323条)。
「公告」は、
 1)官報への掲載
 2)日刊新聞紙への掲載
 3)電子公告
 4)1)から3)の他不特定多数の者が見れる状態におく
の4つから法人が選ぶことができます(一般法人法321条)。
サービスデザイン推進協議会は定款で1)官報への掲載を選んでいましたが、法人設立以来、「公告」を行ってきませんでした。
ちなみに「公告」を怠ると、100万円以下の過料に処される恐れがあります(一般法人法342条)。

サービスデザイン推進協議会がおこなった「公告」

「公告」を行っていないと指摘を受けた一般社団法人サービスデザイン推進協議会がホームページ上で公開した「公告」がこちら

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貸借対照表の「要旨」です。3期分公開されていました。
見ると、情報量が非常に少ないです。
流動資産、固定資産、流動負債の分類で表示されていて、勘定科目ごとの金額の記載はありません。

「公告」は要旨だけでOK?

一般法人法128条2項によると、1)官報への掲載、2)日刊新聞紙への掲載で「公告」する一般社団法人は、「公告」する内容は「貸借対照表の要旨を公告することで足りる。」とされています。
一方、同128条3項では、一般社団法人は「公告」すべき貸借対照表を電磁的方法により不特定多数の人が見れるような状態にするかたちで「公告」に代替することも認められています。一般社団法人サービスデザイン推進協議会は、この規定を使って、官報への掲載ではなく自社ホームページで貸借対照表の要旨の公開というかたちを取ったのではないでしょうか。
しかし、128条3項では、電磁的方法による公開をおこなう場合には、128条1項と2項は適用しないとあります。128条2項は「官報への掲載で公告する場合には貸借対照表の要旨だけ公開すればいいよ」という条文ですので、それが摘要されないということ。
すなわち、ホームページで貸借対照表を公開することで「公告」に替える場合には、要旨だけではダメだということです。

(貸借対照表等の公告)
第百二十八条 一般社団法人は、法務省令で定めるところにより、定時社員総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大規模一般社団法人にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、その公告方法が第三百三十一条第一項第一号又は第二号に掲げる方法である一般社団法人は、前項に規定する貸借対照表の要旨を公告することで足りる
3 前項の一般社団法人は、法務省令で定めるところにより、定時社員総会の終結後遅滞なく、第一項に規定する貸借対照表の内容である情報を、定時社員総会の終結の日後五年を経過する日までの間、継続して電磁的方法により不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置をとることができる。この場合においては、前二項の規定は、適用しない

サービスデザイン推進協議会はこのままでは法令違反の状態かと思われますが、今後、
 ①定款の記載どおり官報への「公告」をおこなう
 ②ホームページ上に公開している貸借対照表の情報量を増やす
などの対応が必要ではないでしょうか。

情報公開せずに仕事を受注できる特殊な法人

一般的に、仕事を受注したい場合には、自社ホームページを作成したり会社案内を作ったりするなどし、自社のことをなるべく知ってもらって、安心感をもってもらうことで仕事を受注しようとします。

サービスデザイン推進協議会は、自社ホームページも作らず、「公告」もせず、情報をクローズにしたまま数々の大規模事業を受注してきました。

情報を公開しなくても発注したくなる、情報が公開されていなくても安心して発注先に選ぶことができる、特殊な事情がサービスデザイン推進協議会と発注者の間にあったと推測せざるを得ません。

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