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フィジカル開催の見本市はどうなるか?~ドイツ経済紙発の記事を踏まえて~

ノイとじぶんの考え

ノイの仕事は、フィジカル開催されるイベントで、出展ブースを作ることをワールドワイドに対応することです。周知のように、ブースを作る機会はめっきり減っている、基本的にはゼロの日々が続いています。

そんな中、noteという場を借りて、弊社の活動状況をいろいろとご紹介しておりますが、そもそも「フィジカル開催のイベントって戻るのかな?」戻らなかったとしたら、「ノイのような会社って必要なの?」という疑問や心配は、ずっと頭から離れないテーマではあります。

僕は、戻ると考えています。また必要とされて、ノイのサービスが求められる時は、くるはずです。という前提で、再開されたときにはより強く!をテーマに毎日勉強、少しでも精進を貫いています。

そんな自分の考えを裏付けてくれるような記事に出会ったり、バーチャル展示会の積極的な売り出しに目がくらんだり、両極端のニュースになるべく目を通すようにしています。

メッセこと見本市業界はドイツです!ということは散々ご紹介してきましたが、そんなドイツの記事から、長めの内容になりますが、翻訳紹介という形でご紹介させてください。

(出典元:ドイツ紙Handelsblatt、2020年11月18日版)

~アンケート結果より~出展者は見本市開催のキャンセルに経済的に苦しんでいる

フィジカル開催の見本市中止を受け、40%以上の企業がハッキリとした損失を被った。見本市なしで新規顧客を見つけることは困難だという

以下、記事本文翻訳紹介(デュッセルドルフ発)

コロナ感染拡大の第二波の影響で、新年に予定されているフィジカル開催見本市もまたいくつか中止が決まっている。まず金曜日に、ハンブルクで3月に予定されていたケータリング見本市「Internorga」の中止が決まった。現在、デジタルイベント実施の「意義があるのか、また実現できるのか」を検討中だ。

そして火曜日には、1月にハイブリッドで開催される予定だったケルンの国際家具見本市「IMM」が、今年は完全に中止となることが決まった。当見本市の中止は、業界に大きな打撃を与えた。

  「ヨーロッパ最大の家具大国として、その中心となる見本市であるIMMケルンを、ドイツは必要としている」と、ドイツ家具産業協会(VDM)の最高運営責任者であるヤン・クルト氏は強調する。

今年、ドイツで予定されていた見本市の約3/4がコロナのために中止となった。現時点、2021年に対しても、あまり良い見込みは立っていない 。 十分なワクチンが入手できるのは、おそらく早くても2021年秋以降になる可能性があるというのも一因だ。

これまでの間に、フィジカル開催の見本市の中止によってどれだけのビジネスチャンスを逃しているかということを出展企業は感じている。バーチャル見本市では、これまでに部分的にしかビジネスチャンスを掴めていない。

「出展者の76%が、新規顧客を獲得する機会が不足していると嘆いている」これは、2020年10月に機械工学、電気工学、電子機器、光学、フォトニクスおよび医療技術部門の427の出展企業を対象に、フィジカル開催の見本市の中止が相次いでる状況下、アンケートを行った結果である。VDMA、ZVEI、Spectaris、そしてドイツ産業見本市委員会AUMAが参加した。

遠方からのカスタマーケア

「見本市の場で実際に会うことは、新規顧客の獲得と長期的な顧客関係の維持の両方に対して極めて重要だ」と、ZFフリードリヒスハーフェン社の広報・イベントのプロジェクトマネージャーであるマルクス・エンドレス氏は述べている。

84%の企業が、来場者や他の出展者とのネットワークが足りなかったと回答した。さらに出展者の半数以上が、業界の全体的な最新状況を見る 、つまり競争の観察という、重要な刺激を得る機会を失っていると回答している。

出展者の約60%は、見本市という新製品を実際に紹介する機会を失っていると回答している。「来場者がこれほど包括的かつ集中的に情報を入手できる場所は他に無い – 出展者にとってもまた、製品やサービスをこれほど効率的かつ的を絞った方法で提示できる場所は他に無い」と、グレンツェバッハ・マシーネンバウ社副社長のエクベルト・ヴェニンガー氏は言う。
「私たち中小企業にとっては、見本市は生き残るために必要なものだ - 新規顧客、特に海外からの新規顧客も獲得するために」と、経営者であるオリバー・ケンプケス氏は言う。ケンプケス氏は3代目として、レムシャイトで約100人の従業員を抱えるクリ・ヘーベツォイゲ社を経営している。

クレーンメーカーである同社の売上の半分は、ドイツ国外での売上だ。そのため、ミュンヘンの建築土木見本市「Bauma」シュトゥットガルトのロジスティクス見本市「Logimat」、そして「Hannover Messe Logistics」は、セールス計画の上で必須のスケジュールだ。

「我々にとって見本市は、大きな競争相手のいる環境で自社をプレゼンする唯一無二の機会だ」とケンプケス氏は言う。前回の建築土木見本市「Bauma 2019」で、ちょっとした偶然のコンタクトから1件の受注があった。現在、大型クレーン設備を製造中だ。「パンデミック下においては、商取引の開始のための見本市が失われている」とケンプケス氏は訴える。

クレーンメーカーである同社は、デジタル見本市形式には対応してこなかった。 「しかし、回避はできない」と、中小企業である同社は分かっている。

経済的損失を感じている

フィジカル開催見本市の中止によって、企業に経済的な余波が及ぶからだ。 調査によれば、出展者の40%以上がすでに具体的な経済的損失を被っている。 「見本市に参加しない月が更に増えていけば、損失の規模は拡大する可能性が高い」と、見本市委員会AUMAは恐れる。

多くの見本市主催者は、バーチャル形式によって可能な限りパンデミックを乗り切ろうと努力している。しかし、この仮想の方法を採択しているのは一部の出展者のみで、企業の4分の1にすぎない。施工費、渡航費、宿泊費がかからないため、デジタルブースの方が費用がかからないということも、その助けにはなっていない。

「デジタル見本市は一見割安に見えるが、フィジカル開催見本市はクライアントのビジネスにこれまで同様より大きな影響を与える」と、メッセ・デュッセルドルフの責任者であるヴォルフラム・ディーナー氏は言う。
しかしながら、パンデミック前の見本市の重要性を再び取り戻すのは難しいだろう。「2022年~2024年の間に、通常の状態にほぼ戻ってくるだろうが、それは最大でもコロナ以前のレベルの80%に留まるだろう」と、メッセ・ニュルンベルクの共同責任者であるペーター・オットマン氏は言う。
それでもなお、調査対象の出展者の42%が、今後5年の間に見本市の重要性がこれまでと同程度に留まるか、それどころかより高まると考えると回答している。「見本市がほとんど開催できない、現在の心理的にも厳しい状況において、これは極めて注目に値する」とAUMAは言う。

ただ、一部の出展者は、将来的にバーチャル形式に乗り換える可能性もあるだろう。更に、出展ブースの中には、パンデミック前より小さくなるものもおそらく出てくるだろう。前述の中小企業経営者ケンプケス氏も、それを検討している。 「結局のところ、我々は見本市の予算内でデジタル形式も追加して使用しなければならない」

クリ・ヘーベツォイゲ社の次の見本市出展予定は4月の「Hannover Messe」である。 「ハノーファーでのフェアを楽しみにしている」と、出展者のケンプケス氏は言う。「製品を直接見たり、直接触れたりといういうことは、デジタル形式では代用できないことだ」

以上、翻訳記事終了

長文翻訳記事、ご一読ありがとうございました。

ドイツの見本市の本質と日本国内の展示会の性格の違いも、これまで何度かテーマにしてきました。メッセの意義そのものとして、「現場こそが取引のスタートという位置づけで、ビジネスが動いているんだな」と、改めて実感する記事でした。

また、ドイツをはじめ、海外で開催される国際見本市の場は、出展者も来場者もお互いに遠方から集まってきています。とりあえず名刺交換して、また来週詳しくは打ち合わせしましょう、、、なんて悠長なことはお互いに言ってられません。その場を逃したら、お互いにチャンスの逃す、そんな地理的条件もあったりします。そんな現場が、ブースです。

海外に進出からには、少しでも付加価値を付けて出展しよう。そんなサポートができないか、日々追究しているところです。本気で準備すればするほど、現場での結果にもつながるはずです。

きっと、いや多分?確実に!・・・フィジカル開催の見本市は、これからも求められて行くと思っています。そんな再開の時がきたら、思いっきり役に立ちたい。徐々に力を付けてきているので、我々自身も楽しみです。

フィジカル開催の見本市VS.デジタル見本市という構図も気にはなりますが、デジタルの力をサプリメントに、フィジカルを今後鍛えていけたらいいのではないか。それがいいコンビネーションだと、確信しています。

改めて、長文ご一読、ありがとうございました。

takahashin1, NOI


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