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韓国の中学生は日本の『新しい歴史教科書』をどう評価したのか

秋に発刊を予定している新刊の原稿整理も兼ねて、ここ最近は自身の教育人生を振り返る投稿をしてきたが、『韓国人が書いた韓国で行われている「反日教育」の実態』(彩図社/崔碩栄/2014発刊)の著者から、興味深い韓国の中学生のアンケート結果が送られてきたので、この機会に紹介したい。

2001年に話題になった日本の『新しい歴史教科書』(扶桑社)に関する感想である。

韓国のほぼ全てのマスコミが「歪曲教科書」と批判し、一方的に集中砲火を浴びせた。

韓国政府は次のような35項目の修正要求を日本側に突きつけ「外圧検定」の口火を切った。

⑴ 「朝貢」「属国」など、韓国が中国に従属していたかのように表現した

⑵ 「朝鮮」を「李氏朝鮮」と表現し、朝鮮を卑下した

⑶ 「慰安婦」について言及されていない

⑷ 「東学農民運動」を「東学乱」と表現

⑸ 「倭寇」には朝鮮人、中国人も含まれていた

韓国の中学生157人に無記名のアンケート形式で意見を聞いたのは、『新しい歴史教科書』(扶桑社)の「韓国併合」(240頁)と「国民の動員」(283頁)に関する記述についてである。

まず前者(韓国併合)については、

⑴ かなり韓国側に友好的な立場で書かれたと思う(1,2%)
⑵やや韓国側に友好的な立場で書かれたと思う(17,8%)
⑶比較的中立で客観的な立場で書かれたと思う(54,1%)
⑷やや日本側に友好的な立場で書かれたと思う(26,1%)
⑸かなり日本側に友好的な立場で書かれたと思う(0,6%)
であった。

また、後者(国民の動員)の記述については
⑴かなり韓国側に友好的な立場で書かれたと思う(3,2%)
⑵やや韓国側に友好的な立場で書かれたと思う(14,0%)
⑶比較的中立で客観的な立場で書かれたと思う(43,9%)
⑷やや日本側に友好的な立場で書かれたと思う(33,1%)
⑸かなり日本側に友好的な立場で書かれたと思う(5,7%)
であった。

この調査結果について、著者のチェ・ソギョン氏は次のように指摘している。

<結果を見ると、中立、客観的であると答えた人が一番多い。偏向的で歪曲、捏造された教科書だと猛反発した韓国のマスコミと政府の話が正しければ「かなり日本側に友好的な立場で書かれた」と答える人が最も多くなければならないだろう。だが、そう答えた人はわずか0,6%と5,7%に過ぎなかった。
2001年に韓国社会が日本の「歪曲教科書」に憤怒していた時、一般の国民は『新しい歴史教科書』の内容を見てはいなかった。ただ政府とマスコミが伝える情報をそのまま受け入れ、「日本の教科書は歴史を歪曲している」という印象を持つようになったのだ。
ところが今回、その教科書の内容を実際に見せて感想を聞いたら、「中立で客観的」という反応が多かったのである。果たして、あの時の韓国の一般国民に、正確な判断を下せる環境とチャンスがあったのだろうか。>

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①歴史教育、②家庭教育、③道徳教育、④日本的Well-Being教育の観点から、研究の最新情報や、課…

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