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企業と非営利組織の違いは何か ③(深掘りLIVE #37 文字起こし記事)

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深掘りLIVE #37 企業と非営利組織の違いは何か ③

私立大学や学校法人は非営利組織であり、それは企業とは異なる存在です。しかし、非営利組織に対する無理解も見られます。企業と非営利組織の違いや日本の組織文化について考察されています。 非営利組織の存在理由を果たすためには、経営に貪欲に邁進し、収入を組織の目的に注ぎ込むことが必要ですが、非営利組織の経営にそのような形で深く関与する人々は必ずしも多くありません。一方、日本の企業は非営利組織に比べて使命感が強いともいえます。学校法人などの理事長や経営者が身を削る改革を行うことも少ないです。(AI summary)
目次
非営利組織と企業の本質的な違い 00:00
日本の企業の特殊性と組織文化 06:11
コンプライアンスと組織倫理 09:23
非営利組織の経営に関わる人々の意識 17:32
日本の企業と非営利組織の比較 21:43

AI文字起こしのサマリーと目次|LISTEN

非営利組織と企業の本質的な違い

深堀ライブの37個目ですね。「企業と非営利組織の違いは何か」のその3です。その1、その2とやってきました。このその3でもうこのシリーズは終わろうと思っています。

特に私立大学、学校法人というのは非営利組織なんですが、これは企業とは違うということなんですね。ところが、私立大学の経営をあたかも企業の経営と同じようにやろうとする人が出てきたりとか、そもそも非営利組織についての無理解が非常に多いのが実情です。

それで最初のその1では、ピーター・ドラッカーやハーシュマンなんかを参照しながら、企業と非営利組織の違い、それぞれの本質は何かという話をしました。

そんな中で企業は単なる私的利益の追求する組織ではなくて、その私的利益を追求することを通じて実は公共的な利益を実現するという部分があるんだなんていう話もしました。

じゃあそれといわゆる学校法人など非営利組織とはどこがどう違うのかという話もしてきました。

これに関しては特に、非営利組織の経営については、ドラッカーの「非営利組織の経営」を考えるという本があるので、それについてはもうすでに深掘りライブで9回にわたってお話ししています。

本に沿って私なりにコメンタールをしてきたものがありますので、詳しくはそちらを見てほしいんですが、このシリーズでは、その前提として、企業と非営利組織のそもそもの違いという話をしているわけです。

その2では、よくある誤解なんですが、非営利組織は金儲けしちゃいけないみたいな思い込みが、日本の場合には特に強いわけです。

そうではなくて、非営利組織はどんどん金を儲けて、それを個人の利益ではなく公益ですね。つまり組織の目的、あるいは、非営利組織が使命・ミッションとして掲げている公共的な利益の実現のために全て継ぎ込むということが大切です。

つまり、非営利組織が非営利組織たる所以は、自分の懐に入れちゃいけないということです。私腹を肥やしちゃいけないということなんですね。これに対して企業というのは、実は私腹を肥やしていいのが企業なんです。企業というのは、そもそも本来的に私的利益を追求する存在だということです。

ところが日本の企業は特殊で、いわゆるそういう私的利益を追求する企業が少ないんですね。これは色んな研究でも言われていることで、日本の資本主義は非常に特殊であるということです。

資本主義でなく社会主義でもなく会社主義なんだなんて言い方をする人もいましたし、さらには個人の資本主義ではなくて、だから資本家っていうのがほとんどいなくなっちゃったわけですね、日本はね。

これは実は財閥解体の影響とかもあるんですが、とにかく個人資本主義ではなくて法人資本主義っていう言い方があるんですが、日本の会社においては、だから大資本家っていうのがいなくて、むしろ経営者支配というのが特徴になるということです。

本来は、会社の所有者、資本家、かつてで言えば、日本では財閥みたいなのが典型ですけれども、財閥の場合もちょっとどこまで個人主義かって問題はあるんですが、それはさておき。

いわゆる大資本家、会社の所有者が実権を握って、あくまでも社長とかは雇われた経営者であるという関係になるはずが、日本の場合にはそうではなくて、むしろそういう大資本家、あるいは会社の所有者という存在が薄くて、むしろ法人資本主義と言われるように、現場の経営者が実権を持つという場合が多かったりするんですね。

これは実は、ちょっとやっぱり日本的な特徴なんです。そうなってきたのにはいろんな理由はあるんですけれども、そのこともさておき。

そのことでむしろ日本においては、だから日本の企業っていうのはあんまり金儲けに走らない。あるいは私腹を肥やす企業っていうのは白い目で見られるみたいなところがあって、むしろ法人としての倫理とかモラルとかっていうのを持ってないと信用されないみたいなところがあるんですよね。

しかも個人ではなくあくまで会社が主体ということになってくるわけです。

そういう意味では、誤解を恐れずに言えば、日本の企業っていうのは、個人資本主義的な純粋な会社というよりも企業というよりも、むしろかなりNPOに近いっていうかね。NPO的な、つまり私腹を肥やさない企業が多いということなんですよね。むしろそれは、会社の利益になっていくという場合が多いということなんですね。この違い分かりますか。

なので、むしろ日本ではNPOが、むしろ企業ではないNPOっていう、日本的な企業ではないNPOっていう話になると、むしろ「非営利」イコール「営利を追求しない」という話になってしまう。

その営利の意味が、金儲けすべてということになってしまう。この営利っていうのはもともと実は、個人的な営利を意味するということなんですが、問題はそこですね。これが日本の場合にはちょっとバイアスがかかるというか、歪むというか、色眼鏡がかかるというかね。そういう部分がやっぱりあるんじゃないかなと思うんです。


日本の企業の特殊性と組織文化

一つは、まあ細かくは突っ込みませんけども、一つはやっぱり、自由主義の伝統が弱い。あるいは個人主義の伝統が弱い。むしろ集団主義的な傾向が非常に強い。

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