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【元学長の体験的大学論】 低迷する私学の本当の原因は理事会にある

割引あり

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私立大学の担い手には、理事、教員、職員、学生がいる。

ダメな大学ほど、「うちは学生がダメだから」となげく理事と教職員が多い。これは昔ながらの悪しき慣習のようだ。

理事会がダメ、教員がダメ、職員がダメ、学生がダメ。全部ダメではもちろん救いようがない。

だが、本当にダメなのは誰なのか。


この記事は6月26日に「下書き」を書き始めた。
だが、なかなかうまくまとまらないので、公開をためらっていた。そんな折、次の二つのニュースに接した。これらの記事を読んで、さらに私の確信が強くなった。そして、ようやく公開する形にまとめることができた。

2023.8.17.記

コメンテーターで京大の前総長で総合地球環境学研究所所長の山極壽一氏は今回の問題に「大学経営っていうのは、教員学生との間の信頼関係と緊張関係のバランスを取ることが重要なんだよね」とし「とりわけ教員との間には絶大なる信頼関係を作っておかないと今のような情報が入ってこないっていうことになってしまうわけです。そこがうまくいってないんじゃないかなっていう気がします」と指摘した。

京大前総長・山極壽一氏、「サンモニ」で日大アメフト部の薬物事件で提言…「林真理子さん自覚して欲しい」Yahoo!ニュース

日本大学 林真理子理事長:
本当に、本当に、私はもっと大きなところを見ていたつもりだったんですけれども、7万人の学生一人一人をもっときちんと見なきゃいけないということを今つくづく感じております。

「遠慮があった」林真理子理事長が進めた“日大改革” 専門家「林理事長の権限がまだ50%もないという印象」【日大・大麻所持問題】Yahoo!ニュース

ダメな私学の本当の原因は理事会にある

ダメな大学ほど、ダメな理由を学生のせいにする。
教職員はみずからの責任を学生に転嫁する。
理事は、みずからの責任を現場の教職員に転嫁するだけではない。うちの学生がこんなことをやっていた、こんな噂を聞いた、現場の指導はどうなっているのか、などと偉そうにのたまう理事がいたりする。

これは、もっともダメな大学の例である。

私がつとめていた大学がそうだったという話ではない。念のため。

私の私学体験はちょうど四半世紀に及ぶ。1996年から2017年までを私立の音楽大学で、2017年から2021年まで私立の芸術系大学で過ごした。この25年のうち10年間は、学長として深く私学経営にも関わった。

私の私学体験に基づいて、あえて独断的な主張を展開してみたいと思う。
大学にいまだ現役で在籍している人は、なかなか本音を思い切って言えないだろう。だから、フリーな立場でフリーに書いていきたい。

さて、ダメな私学とはいかなる大学なのか。ダメな大学はなにがダメなのか。

この記事に書く内容が、おおくの私学関係者にとって心当たりがないことを心から切に願うばかりである。

日大の理事長の背任事件は、氷山の一角である。

もちろん、すべての大学の理事会と理事長がこうであるわけではない。だが、理事長や理事などによる背任はあとを絶たない。

背任とは、文字通り、任に背くことをいう。

私学の世界には、犯罪に至らないまでも、任に背く理事はじつは山のようにいるのではないだろうか。

こうした事態を受けて、2025年4月には改正私立学校法が施行される。

学校法人役員らに対する刑事罰新設などを盛り込んだ改正私立学校法が26日、参議院本会議で可決、成立した。日本大幹部の背任事件などを受け、理事会や評議員会の権限を見直し、チェック機能を強化する。施行は2025年4月。
新設されるのは、役員らによる特別背任や贈収賄、目的外の投機取引、不正な手段による認可取得に対する罰則で、特別背任では7年以下の拘禁刑か500万円以下の罰金、または両方が科される。

時事ドットコム

問われているのは、私学のガバナンスだ。

だが、ここには「罰則の強化」だけでは解決しない根深い問題がある。

大学設置基準すら読んだことのない大学理事もいる

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