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本  ほんのさわりだけ

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本の紹介です。書評ではありません。ほんのさわりを紹介するだけです。 月に1〜2本ペースでのんびりと更新します。
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#世界

『脳は世界をどう見ているのか』〔本〕人

「脳が知るのは現実世界の一部分」であり、「知覚するのは世界のモデルであって世界そのものではない」。 評価は分かれるだろうが本書は間違いなく、神経科学の最先端の最良かつ最高の成果である。 本書は、3部からなる。 いまのAIにIntelligenceはない 「現在の深層学習ネットワークには知識がない」と筆者はいう。 コンピューターは「日常的な知識を表現する方法」をもたないのである。

『君たちはどう生きるか』〔本〕人

「たったひとりしかいない自分を、たった一度しかない人生を、ほんとうに生かさなかったら、人間、生まれてきたかいがないじゃないか。」 山本有三『路傍の石』の中の有名な一節である。 山本有三は栃木が生んだ文豪である。私の実家は、山本有三の生家から歩いて20分ほどのところにある。私は小学3年から高校3年まで、山本有三が生まれた栃木市で過ごした。入学式や卒業式だけでなくいろんな場面で耳にした一節である。私の心に深く残っている言葉でもある。 路傍の石とは、道端に転がった石ころのこと

『犬だけの世界』〔本〕犬

犬の幸せとはなんだろうか。人間の家で飼われている犬たちは本当に幸せなのだろうか。 世界には約10億匹の犬がいる。「オオカミは全世界で推定30万匹」というから、犬の生存戦略はおおいに成功したといえる。ヒト10人に対しほぼイヌ1匹の割合だ。このうち、ペットと呼ばれる「飼い犬」はイヌ全体の2割に過ぎない。残りの8割は「自由に歩き回るイヌ」だ。実は、世界のほとんどのイヌは飼い犬ではない。 本書は という思考実験を試みた研究書である。思弁的生物学という学問手法を用いて、このやや無