亡霊

いつもあなたは正論ばかり
私は何も言い返せないわ
ことばを知らないから
だけどちゃんと好き
ずっと伝えてるわ

手紙は書かないわ
自分の字が嫌いなの
そんなに誉めないでよ
私可愛くなんかないから
新しい思い出は欲しくない

欲しかったのは普通の暮らし
あなたのせいで病気になったの
もう止めましょう不毛な話は
あなたと私は全く違うのよ
生きてる世界が違うのよ

彼女から言われた科白
思い出せば思い出すほど
ネガティブなものばかりで
いい加減に忘れたらいいのに
ボクの心にいつまでも付き纏う

本当にいなくなるかもしれないのに
連絡ひとつもできないのであれば
何か他に頼るものがないともう
とても正気ではいられない

愛かどうかはさて置いて
ただ彼女の姿ばかりが
アタマから離れない
暮しが儘ならない

正論ばかりを主張した末に
得たものはひとつもない
これほど諦めていても
未だに彼女の姿は
離れてくれない
亡霊のように








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