LGBTの「正しい理解」増進のための議論を尽くせ

 昨晩のニュース報道によれば、「LGBT理解増進法案」をめぐる2時間を超える自民党内の会合で、特に学校教育の中での理解増進の取り組みについて英米の社会的混乱、親と学校の対立・分断の実態を踏まえた意見が続出し紛糾した。
西田昌司衆院議員のコメント
 朝日新聞報道によれば、「LGBT理解増進法案」の7条「学校の設置者の努力」の文言を削除するなどの修正を行い、G7サミット前に議員立法として国会に提出することが昨日の自民党内の会合で事実上、了承されたことを受けて、西田昌司衆院議員は、次のようにコメントしている。
 「まさに理解増進ね。差別を禁止するとかいうことではなくて、色々な方がいるので、みんなで理解し合って社会を作っていこうと。それが(法案の)目的だから。差別を禁止するような形の言動や教育ということにならないように、もう少しおおらかな形で。特に小さな子供の場合は教育なんてできないから、実際にこの法律がもし通ったら、そういう基本計画を議論する中で、具体的にガイドラインを示したい。そうすると、いまの一部の自治体で先鋭的なこと(教育)がされている所もあるようだから、そこに対するある種の抑止力というかね、まさに理解増進ということになる。」
「正しい理解」増進のためにガイドラインの作成が必要不可欠
 LGBTの「正しい理解」増進のためには、「具体的なガイドライン」の作成が必要不可欠だ。国連こども特別総会で反対論が大勢を占め、関連記述が削除された「性的自己決定権」を強調する「包括的性教育」「差別禁止法」の悪影響が英米で深刻化している。
 文科省の性教育の全国実態調査によれば、性教育の授業内容について保護者に説明していない小学校が44,5%、中学校が33,1%あり、保護者等からの苦情や問い合わせが、都道府県教育委員会に対しては22件、市区町村教育委員会に対しては68件、学校に対しては539件あった。
 国家分断の危機に直面しているイギリスのスナク首相は、子供が性自認に疑問を呈するとすぐに親に知らされていない現状を「非常に懸念」し、教育長官と女性平等大臣と緊密に協力して「学校向けのガイダンス」を作成し、科学的根拠に基づき、学校で教えるのに何が適切かを明確にすることを明らかにした。わが国もLGBTの「正しい理解」を増進するガイドラインを具体的に明示する必要がある。
「公共の福祉」「他者の人権」を侵害しないか
 「すべての国民の権利」は、あくまでも「公共の福祉に反しない限り」において保障されるのであり、女性の権利など他者の人権が侵害されるときには制限される。
 世界人権宣言第29条第2号にも、「すべての人は、自己の権利及び自由を行使するに当たっては、他人の権利及び自由の正当な承認及び尊重を保障すること並びに民主的社会における道徳、公の秩序及び一般の福祉の正当な要求を満たすことをもっぱら目的として法律によって定められた制限にのみ服する」と明記されている。
 拙速審議を慎み、これらの点について十分に審議を尽くすよう求めたい。英米のような親と学校の深刻な分断・対立を招き、スナク首相が懸念しているように「子供たちの安全と幸福」が脅かされる事態とならないように議論を尽くすべきだ。
 自民党の会合で過半数の自民党議員の反対意見を押し切って、G7サミット前に強引に決着しようとする岸田政権、自民党執行部の”暴挙”を良識ある国民は決して見過ごしはしない。

 
 

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