クビー『グローバル性革命』⑹一同性婚と同性の親の養育が子供に与える影響

同性婚の合法化と同性パートナーシップの導入

一人の男性と一人の女性が巡り合うことからもたれる結婚が家族の基礎から 段々と分離され、より多くの子供たちがシングルマザーによって育て始めら れ、同性パートナーシップにも結婚のような完全な法的平等を確保させる戦い が始まった。 1960 年代末の性の解放は、結婚を時代遅れのブルジョア的な所 有欲の遺物だと考えたのである。 しかし今まで、結婚制度を弱体化させるため て戦ってきた社会集団が、今となって、結婚を同性間の関係でまで拡張させるた めに戦っているということは、明らかな矛盾である。
 同性婚が「人権」である と宣言され、欧米の政治権力が始めた文化的な戦いが、今、すべての国において 進行中であり、法律は急速に変化している。 メディアは同性婚を人権であると扇動し、同性婚に伴うすべての特権と差別 禁止がすでに既成事実になったような印象を与える。 しかし、2017 年 6 月の現 在、現実は、少し違って見える。
・世界 25 カ国が結婚を性別と関係のない制度で再定義している。 ベルギー、デ ンマーク、イギリス、ウェールズ、スコットランド、フィンランド、フランス、 アイルランド、アイスランド、ルクセンブルク呼びク、オランダ、ノルウェー、 ポルトガル、スウェーデン、スペイン、カナダ、アメリカ、アルゼンチン、ブラ ジル、コロンビア、ギアナ、ニュージーランド、南アフリカ そして 2017 年にド イツとオーストラリア州が同性結婚を合法化した。
・欧州閣僚理事会の 47 加盟国のうち 23 カ国が同性パートナーシップ制度を 導入した。
・欧州の 13 カ国は、結婚を「一人の男と一人の女性との間の結合」として憲法 に明文化した。 ここでは、ベラルーシ、クロアチア、ハンガリー、ラトビア、 リトアニア、モルドバ、モンテネグロ、ポーランド、セルビア、スロバキア、ウ クライナ、マケドニアなどがある。
・アフリカでは南アフリカだけが市民連合と同性結婚を合法化した。
・アジアでは、2017 年 5 月までどの国でも民間のパートナーシップや同性婚を 導入していないが、2017 年 5 月 24 日、台湾の憲法裁判所が、同性カップルが法 的に結婚する権利があると宣言した。
・米国連邦最高裁判所は、米国のすべての州に同性婚を合法化するように強制的 にする前に、50 のうち、わずか 17 の州だけを同結婚を認めた。
・世界 50 カ国以上が合意した成人同性間の性行為すら禁止しており、このうち 5 カ国は、死刑に処したりする。

西欧の「文化帝国主義」プロジェクト

 これらの数字は、結婚をジェンダーとは無関係な感情的な魅力に基づいており、 出産の意味がない制度として再定義することが西欧の「文化帝国主義」(フラン シス教皇による)プロジェクトであることを示している。 結婚と家族の基本 的価値に関連して、欧州は、もはや統合されず、東西に分けられる。 全世界の 人口の 0.1%にも満たない人だけが同性パートナーとの関係を合法化するため に直接的な利害関係があることを考えると、すぐにこのような質問が浮かび上 がる。 「グローバル性革命」を主導する力を持った者たちは、結婚と家族を破壊す るために結婚の意味を歪曲させようとするのだろうか?
 結婚と家庭 同性パートナーシップを一人の男性と一人の女性と結婚と同等にするのは、 法律の歴史全体で見たときに、結婚と家族に対する数千年間の全世界的な概念 の歴史的破壊とすることができる。61 これは、法的制度としての結婚と家族の 概念に多大な傷を与えた。 結婚は出産のためにつくられた政治以前の制度であり、その存在の可能性を 国家に依存しない。
 1948 年の世界人権宣言は、次のように宣言している。 家族は、社会の自然かつ基本的な構成単位であり、社会及び国の保護を受ける 権利がある(第 3 条 16 項)。 家族は、独特で、代替不可能な方法で公共の利益に貢献する。

教皇ベネディクト16世の歴史的演説

 2011 年 9 月 22 日、教皇ベネディクト 16 世は、公共の利益のための基準を定めるために、ド イツ議会で歴史的な演説をした。 人類にも生態学があります。 人にもやはり、自分を尊重する必要があり、自分の意のま まに操作するできない性質があります。 人は単なる自分の創造的な自由の存在がありませ ん。 人は、自分自身を創造することができません。 人は知性と意志を持っていますが、本 性も持っています。 人は自分の本性を尊重し、その声を聞いて、自分を創造することがで きない存在としての自分を受け入れるならば、その人の意志は正しく導かれます。 この方 法によってのみ、真の人間の自由が達成されることがあります。
 プリンストン大学の法学部教授であるロバート・ジョージと同僚のパトリッ ク・リーとジェラード V.ブラッドリーは、結婚を「一人の男性と一人の女性の 結合であって、物理的・感情的・理性的・意志的次元での生活を共に分かち合い たい献身した関係の中で、子どもを産み育てながら、自然に作られるコミュニテ ィの一種」と定義した。
 このような結婚は「子どもを産み、共に子どもを育 てながら、自然に達成されること」であり、同性間の結合は、自然な方法で子ど もを持つことができないという点で二つの現実の明確な違いが最も大きく浮き 彫りにされる。 結婚と家族は、二人だけが提供できる最もユニークな方法で社会に貢献する。 まさに「出産」と「社会の人類のための富の創造」を通してである。  この言 葉は、経済学者の用語で、この言葉の裏には家族に対する人間の経験が隠されて いる。 子どもの笑い声に親が世界を新たに見ることができるようにする、生ま れたばかりの子どもによる喜び、子どもを養育しながら、子どもが大人になって 社会全体に人間・文化的・知的・社会的・経済的に寄与することによって、人類 を豊かにすることができるときまで、父と母が耐える犠牲などである。 多くの家族がこれ以上、このような責務を果たそうとしないとき、男性と女性 が、もはやそれ以上、生涯を共にし、子どもを生んで、子どもたちが他人と連帯 感をもって何かを達成しようとする人になるように育てないとき、国家は存続 の危機を迎えることになる。
 これは、単に物理的な存在だけを言うのではなく、 文化的であり、政治的国家の存在を意味する。この結果は、離婚率、婚外子出生 率、一人親家庭の比率は、父の不在率と低くなった達成度、若者たちの精神疾患 や犯罪発生率、社会福祉システムの爆発的増加などを含むすべてのことを見れ ば分かる。 同性婚は社会に必要な貢献をすることができない。この関係は、第三者の体を 借りなくては子どもたちに命を与えることができず、何よりも子どもたちに最 も必要なママとパパを与えることができない。
 これらの欠乏は、同性カップル が愛に満ちており、子どもをよく世話する親になるとしても満たされない。 同性カップルに与えられる新しい財政の恩恵は、結婚した夫婦と未婚の男女 が負担することになる。 子どもを育てる親は子どもがいない人たちが年金の同 等の権利を主張するため、非常に不利な立場に置かれた。 さらに、なぜ出産を 通じた社会的貢献度ない同性のパートナーに国の補助金まで支給するというの か?

差別禁止法

 1994 年以降、欧州議会は同性婚と養子縁組を含む法案のように、ゲイと レズビアンを同等に処遇する複数の法案を定期的に通過させた。 欧州の命名法 上、家族という言葉は、今、眉をひそめる言葉となった。 それで、新しい用語 が作られたが、多少、厄介であるが、伝統の重さから自由なる「世代間の連帯」 という言葉を使うようになった。 欧州連合の各執行委員会では、段階的に加盟国が自国の法体系内で実行でき る差別禁止法を拡散させてきた。
 1999 年、アムステルダム条約で性的指向が差 別禁止事由として受容されることによって、決定的な転機が到来した。 これは 私法の領域に侵入することができる立法を可能にしたことである。 ドイツでは、「一般平等待遇法」が 2006 年から発効された。 これによると、 人種、民族的出身、ジェンダー、宗教、或いは世界観、障害、年齢、或は性的指 向を理由によるすべての不利益は禁止され除去されるべきである。 立証責任の 原則は、その方向を変えて、原告は、もはや差別を立証する必要はない。 むし ろ、被告自身が差別しなかったことを証明しなければならない。
 オーストリア 人のマイケル・プルーラーは「自由が静かに別れを告げるとき」というタイトル の記事で、「同じ資格を持つイスラム教徒、障害者、女性の中で誰かを選択する 必要があり、雇用者は、パドルなしで川をさかのぼらなければならない」と 書 いた。 2009 年 4 月に、欧州議会は、差別禁止の指示をさらに強化し、さらに洗練さ れることを決定し、「宗教や世界観、障害、年齢や性的指向とは無関係な平等待 遇原則を使用するためのガイドライン」を通過させた。 今日、これは発効され ていない唯一の理由は、現在までに、ドイツが承認を拒否しているからである。 ドイツの保守政党(CSU と FDP)は差別禁止のための官僚主義が過度に肥大する ことを恐れていた。  なぜなら、これは、実際、新しい監視システムに関するも のである。 ここには、国民の意見が少し反映されなかった。 プルーラーはこの ように言う。「すべての絶対的な原則と同様に、差別禁止の原則は、全体主義的 な非難の社会を造成するのに適している。特に原則が高尚な理由で名誉を毀損 させることができる言い訳を提供してくれるからである。」

社会科学は同性の親の養育について何を言っているか 

 メディアは継続的に同性カップルによって育てられる子どもを異性愛者の親 によって養育される子どもと比べてみた場合、何の悪影響も受けないことを証 明するような研究結果を提示している。「科学的」と印が押されたものであれば 何でも受け入れる準備がなされている世界では、いわゆる「研究」というものが、 子どもを望んでいるが、子どもを持つために、異なる性別のパートナーとの関係 を結ぶことを嫌う人々の利益のために活用される可能性がある 。
 以下は、米国小児学会が支持し連邦最高裁判所の専門家意見書として提出さ れたローレン D.マルクス、マーク D.リクナリス、ドナルド・ポール・シュルリ ン教授の意見である。 同性愛者の親の子どもいかなる不利益も経験しないことに合意が成されていることは客 観的で化学的な研究によるものではなく社会科学協会で研究テーマを集中的に政治化した 結果である。 これらの研究では、方法論的エラーが多すぎるため同性愛者の親の子どもた ちが異性愛者の親の子どもたちと同じであるという、いわゆる「合意が成された」という言 葉の信憑性を損なうようにする。
 これは、すべての研究の結果を詳細に調べた後、彼らは下した衝撃的な結論で ある。 確かに衝撃的である。 これは、西欧社会が他に類を見ない文化の復興を 導くために不可欠であった科学の倫理を見捨てることを示しているからである。 連邦最高裁判所は、次のような事実を知ることになった。 ほぼすべての主要な社会科学協会によって認定を受けたにもかかわらず、(実際には、部 分的には、これらの認定のためでもあるが)同性の親を持つことが子どもの福祉に無害であ るという、いわゆる「科学的合意」というものはほとんど何の根拠もない。
 同性である親の子育てに関する過去 20 年間の数十種類の研究の中で唯一の 8 つの研究だ けが同性の親の子育てが子どもの福祉に良くないと裏付ける証拠を見つけるのに十分な大 きさの無作為サンプルを使用した。この 8 つの研究のうち 最も、最近、この 4 つの研究は、 マーク D.リクヌラス、ダグラス・アレン博によって行われたものであり、二つはポール・ シュルリン博士による研究では、すべて同性の親を持つ子どもたちに相当関連性がある否 定的な結果が現れたと報告している。
 これの前の 4 つの先行研究では、マイケル・ローゼン フェルド博士が行った研究とジェニファー・ウェインライト博士と彼の同僚たちが行った 3 つの研究があるが、ここでは同性の親を持つ子どもから何の相違点がないとした。 しかし、 この研究には、ファイルのコーディングと分析失敗で標本の中で異性の親をもつ子どもた ちがたくさん含まれていた。 ウェインライトの進んだ 3 つの研究で使用された標本では、 このエラーを修正して再分析してみると、このデータは、リグヌラスとシュルリンが報告し た事と似たように、同性親の子どもから否定的な結果を導出したのである。
 さらに重要な のは、この研究も、平均 10 年ほど結婚した同性の親と一緒に暮らした子どもたちの結果が 平均 4 年間結婚していないまま同性の親と一緒に暮らした子どもたちよりもはるかに、悪 い結果を示したものである。 同性の親の家で育てられた子どもたちが体験する有害な結果に対する多くの証拠を見た ときに、国家が結婚を異性間だけに制限することは、子どもの福祉を守ることにおいても合 理的な根拠がある。
 しかし、連邦最高裁判所は、このような科学的事実に全く揺れることなく、 親が離婚した後、同性愛者の家で育った女性の強力な訴えもアンソニー・ケネデ ィ判事に伝達されなかった。 彼女は公開書簡でケネディ判事に「大人の欲望が 子どもの権利に優先するようにしないでくれ」と嘆願した。彼女の公開書簡は、 自分の生命を与えた血縁の父母を持つ子どもの権利に対する強力な訴えであっ た。
 ケイティ・ファウストが経験的に知っている、  実際に我々はすべて知ってい るように、「わたしは、私たちの両方の親を通して自分自身を知るように創造さ れ、二人のいずれかが存在しないときは、その空席は 生涯、持続する傷を残す ……子どもの基本的な権利を意図的に剥奪する政策を作ることは、私たちが支 持してはならず、インセンティブを与えてもならず、奨励してもならないことで ある……それは私たちの生活と私たちを生かす哲学を超越し、子どもたちを喪 失感に苦しむ家族システムを擁護する社会になっていく」。 アメリカの定義を守る責任を担うケネディ判事とその他の 4 人の最高裁判事 の活動家たちは、このやむを得ない真理が明らかであると認めることを拒否し た。

トランスジェンダーの嘘

 長い間、人々は同性婚がほんの一握り同性愛者の権利に関するものであると 思っていたが、それは大きな誤解である。性革命者にとっては決して十分なこと はない。なぜなら、彼らは内面的な平和を見つけることができないからである。 2015 年 6 月には、同性結婚を合法化した米国の連邦最高裁判所の判決後、オバ マ政権によるトランスジェンダーの津波が起きた。メッセージはこうであった。 「あなたは自発的にあなたの性別を変えることができます。 ただそのように宣 言してください。 医学的な診断も、「性転換」のためのいかなる措置や手術も必 要ありません」。
 ジョグジャカルタ原則の性同一性の定義をもう一度覚えてみましょう。「性 同一性とは、各人が内面で深く感じており、出生時に付与された性別と一致する ことも、一致しないことがあるジェンダー経験を意味する」。 人間の性別に対するすべての基準が廃止された。唯一の基準は、いつでも変わ ることができる個人の主観的な感情である。今、その人たちが望めば、「彼」が 「彼女」に、「彼女」が「彼」と呼ばれるかもしれない。 これに関連し、いくつ かの例を見てみましょう。
 ノルウェーは 2016 年に、16 歳から自分の性別を選択できるようにする法律を 可決した。 英国では、2016 年 1 月、議会で初めて性同一性法が発表された。こ の法律は、2010 年の平等法を修正したもので、差別から性同一性を保護するこ とを目的としている。 これによると、性転換のためのいかなる措置も必要とせ ず、主観的な意志があれば十分である。 Facebook は 58 の性同一性の選択を与 えている。

●「生殖の権利センター」の戦略文書

 国連や欧州連合での影響力を行使している生殖の権利センター(CRR)という ロビー団体の戦略文書には、同性婚と人権としての中絶を押し通すための戦術 が、次のように明快な言語で記述されている。 「大規模なコンセンサスが形成 されているという印象を与えよう。それで政府がそのようにしなければならな いと考え勧告された政策(中絶と同性婚)を容認させよ。」 生殖の権利センターは彼らの戦術をこう説明する。 規範の解釈に依存するということは、いくつかの利点がある。 生殖の権利を認める規範 の解釈を国際機関で繰り返すことになるとき、これらの権利の正当性は強化される。 それ に加え、これらのアプローチの漸進的な性質のために、私たちは決して大きく後退すること になる危険性がある「全てでなければ何もない」状況にいないことを確認することができる。
 もっとも、この戦略は、重要で集中的な資源の投資を必要としない。 むしろ仕事は一部のスタ ッフ陣と時間、資金を定期的に投入するだけでも、時間が経てば自然に達成することができ る。 最後に、この仕事は、ステルス兵器のように密かに潜入する特性がある。 私たちは、 反対側の膨大な精密検討を避け、私たちの価値を段階的に認識させることができる。 この ような小さな勝利が益々私たちの主張に対して、より広範なコンセンサスを形成すること ができるように力を加えるものである。

全体主義文化革命の目的

 しかし、絶対だまされてはならない。 欧州議会が、ここで提示する全体主 義文化革命の目的は、極度の効率性を持って進めてきた。 性教育や教育的な措 置がすでに幼稚園から高校まで行われており、同性婚のための戦いがすべての 国家で行われている。 差別禁止法と嫌悪発言のような新たな犯罪が生じており、 多くの形態の発言が起訴をするための行為で再分類されている。 国連、欧州連 合および各国政府は、これらの文化戦争の数十億を注ぎ込んでおり、欧州連合は、 すべての加盟国に監督機構を設置している。残念ながらこのすべてのことが自 由、寛容、人権の名によって行われている。
 欧州議会の社会主義の代表であるクリスティン・マッカイパテ(英国)は、中 絶や安楽死に協力することを拒否する医師や医療関連従事者の良心の自由を奪 おうとした。 しかし、2010 年 10 月 7 日、この決議案は、欧州議会の多数によ って拒否され、むしろ逆の結果をもたらした。 欧州閣僚理事会は、次のように 決定した。 一部の人や病院や機関もいかなる方法でも中絶、人工流産、安楽死、または何らかの理由 であれ、人間の胎児や胚の死をもたらすことを行なったり、これを受け入れるか、助けるか、 これに関することを拒否したという理由で脅威を受けたり、法的・責任を課せられたり差別 されてはならない。 この決定は、欧州の何百もの生命と家庭親和的団体の積極的な参加を通して 行われた。 

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