英のLGBT教育の混乱と首相の懸念表明

「性自認」理論によって危険にさらされた児童福祉(英報告書)
英保守系シンクタンクのPolicy Exchangeが発表した報告書によれば、学校における「性自認」理論から児童福祉が危険にさらされ、教師は親や専門家に警告を受けることなく生徒に名前や制服を変更させ、男女別のトイレや更衣室を放棄しているという。
 子供が「性自認」に疑問を呈するとすぐに親に知らされていないという同報告書の主張について、スナク首相は「非常に懸念している。子供たちの安全と幸福は最も重要です」「本当にデリケートな領域であり、私達は慎重に扱うことが重要である」と述べた。
性別は不変一非科学的な「ジェンダーブレッドパーソン」の図
 非常に物議を醸している「ジェンダーブレッドパーソン」の図が、性同一性(Identity)、性表現(Expression)、性的指向(Attraction)、性別(Sex)の違いを説明するために使用されており、この図は生物学的性別はスペクトルであり、誰もが性同一性を持っているという考えを示しているが、批評家は「非科学的でナンセンス」と酷評している。
 同図は「セックスが二元的ではないことを暗示し、生物学的性別がある種のスライディングスケールに存在する事を意味するが、勿論これは正しくない。性別は不変であり(男女の)染色体DNAによって定義される」と報告書は断定している。
 同報告書によれば、中学校の28%が男女別のトイレを維持しておらず、19%が男女別の更衣室を維持していないという。そこで、同報告書の序文で、労働党のロージー・ダフィールド議員は、「十分に確立された保護基準が損なわれているため、子供たちの世代が失望している。このジェンダーイデオロギーが中学校全体に広まっている…党派的な信念が教育制度に定着するのを許すことによって子供たちを失望させました」と述べている。
子供の幸福よりも性自認のジェンダーイデオロギーを優先
 同報告書によれば、英国の300以上の中学校調査によれば、生徒が性別を変更したいと表明したらすぐに保護者に通知すると答えたのは39人だけで、87人はそうしないと答えたという。
 また、男女別のスポ―ツクラスががない学校は60%を占め、データ保護法の下で「子供の名前、代名詞、トランスジェンダーのステータスを両親と共有することは違法である」という。
 そこで保守党のマーク・ジェンキンソン議員は、「この報告書は、一部の学校が子供の幸福よりも性自認の信念を優先しているという厳しい現実を明らかにしている」と結論付けているが、決して他人事ではない。
 学校・大学指導者協会のジェフ・バートン書記長によれば、「政府はトランスジェンダーであると自認する生徒や性自認に疑問を抱いている生徒を支援するための学校向けのガイダンスをまだ作成していない。これは数年前から議論されている」という。
「正しい理解」を増進する措置を講じよ
 このイギリスのLGBT教育、「性自認」をめぐる大混乱を直視し、「子供の権利」「性的自己決定権」「性的自由」尊重の名のもとに、子供の最善の利益、幸福よりも「性革命」を目指すジェンダーイデオロギーを優先する一部の「包括的性教育」推進教師たちを「差別禁止法」で後押しして子供たちを「危険にさらす」愚を犯してはならない。
 保守系団体の調査報告書とスナク首相の強い懸念表明を真摯に受け止め、「学校での理解増進」が、「性教育の歯止め規定」を踏まえたバランスの取れた「日本型包括的性教育」となるようなガイドラインを策定して、「正しい理解」を増進する措置を講じない限り、LGBT理解増進法を拙速審議で制定すべきではない。

 


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