作品【Ancestral Recall】について
Ancestral Recall…「祖先の想起」。
本作品は、私の祖父であるToru Takahashiの作品と、私Toshio Takahashiの共作になります。
なおタイトルの由来は私が愛してやまないMagic the Gatheringの超有名カード名より拝借しています。
まず本作の意図を紹介する前に、まずは私の祖父であるToru Takahashiについて紹介させてください。
祖父は1955年代頃には既に写真を撮り始めており、地元岐阜県大垣市を中心に、様々な写真を撮影してきました。
といっても"写真家"と呼ばれるような、何かを本格的に記録・公表するタイプの人ではなく、あくまで趣味として写真を撮影していました。
私が写真をきっかけを与えたのも祖父でした。祖父がカメラをやめ、私に譲り渡したことから私の写真人生が始まります。
本作は、そんな祖父が撮った写真と、私が撮影した現代の写真と並べることで時代・時間の変化を見つけることを主題とした作品群です。
本作は常葉型(基本的に常時撮影、展示の可能性がある)プロジェクトですが、祖父の写真はもう更新されることはありませんので、私がどれだけ祖父の写真を発掘することができるかにかかっています。
ネガの多くは撮影会だと思われます。撮影会、今と違って盛況だったのでしょう。様々な場所で撮影会が行われていることが確認できています。
たまに撮影会の写真は作品ではないような風潮を見受けることがありますが、撮影会は当時のモデルさんが着た衣装やメイク等を色濃く反映させています。そのため、「作り込まれた」ポートレイトよりも、時代を反映させているように思えます。
変わるもの、変わらないもの。時代が変わることで変わるものもあれば、変わらず存在するものもあります。例えば下記の写真は時代が変わってもそれほど変化がありません。時代とともに変わらない美しさです。
単純に祖父の撮った写真を並べることで、祖父の生きてきた証を表現しようとも思っています。祖父が撮った写真、素敵な写真もたくさんあるんですよ。
かつて自身の個展の中で本シリーズを提示したところ、「人の写真を使うのは個展じゃない」と言われたこともありました。確かに個展に他人の写真を出すのは邪道と言われるかもしれません。
しかし私にとって祖父は写真のルーツとして大事な存在で、自身が表す「時間の流れ」を最も体現できているのが本作であると思っています。
昨年、祖父が逝去しました。死ぬ前に、祖父から私に写真を託されました。
祖父は死ぬ直前、もう記憶も曖昧だったはずですが、自身の撮った写真を見ては、「あぁ、これは◯◯があって…」と、自身の記憶を思い返して話してくれていました。
写真というのは、最終的には自身にとっての外部記憶装置なのだと思います。既に祖父はいなくなり、残されたのは写真のみですが、祖父が生きてきた証として、今後も祖父の記憶を巡る旅を続けていこうと思っています。
自作で機材作ったり、展示物のギミック作るとお金かかるんです…。ストレスで甘いもの食べまくるから…。そんなわけで、俺に少しでも甘いもの食べてもらいたいって人はよろしくお願いします!