[dual] #5 記憶
過去の記憶は、ほとんどが美化されているように感じる。
美しくなっていないとしても、少しずつ形は変わってしまっているのだろう。
「過去」の地点から見た「未来」と「今」の感情が、邪魔をしている。
もし過去の形を完全に変えてしまったら?
感じたことを鮮明に憶えておきたいこともある。
美しくないまま、とっておきたいこともある。
そんな理想たちは自分自身の忘却によって阻まれてしまう。
忘れるから人は長生きができると言う。
忘れたいことは、忘れてしまったことは、本当に忘れるべきことなのだろうか。
たまにそんなことを考えて、無性に不安になる。
これも逆らうことのできない人間の摂理であり、この文字ですら、「今」以降は別の形に塗り替えられてしまう。
抗えない。
不快だ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?