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川崎老人ホーム高齢者連続転落事件今井隼人被告が語る“介護の闇”外伝 #01

【事件概要】
2014年11から12月、川崎市の有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で、80から90代の入所者3人が、4階と6階のベランダから相次いで転落死した。事件があったすべての日に夜勤に就いていたのは、同施設の介護職員だった今井隼人被告ただひとりだったこと、そして「3人をベランダから投げ落とした」との自供により、2016年2月、神奈川県警は今井被告を殺人の容疑で逮捕。
一転、今井被告は裁判では自供を覆し無罪を訴えた。だが、一審、二審で死刑判決を受け、現在は最高裁に上告中である。

※本稿は、今井被告から届いた手紙を文字に起こしたものです。なるべく原文ママでの掲載になりますが、一部、事実関係が損なわれない程度にこちらで修正させていただきました
※また本稿は、先に公開した『川崎老人ホーム高齢者連続転落事件・今井隼人被告が語る“介護の闇”』の補足として書かれたものです

【東京拘置所の、とある男性刑務官について】
今回ご依頼いただいた『(私自身が)介護現場で体験したこと』と、拘置所のなかでの被収容者に対する刑務官の接し方というのは、対比している感じが、以前から個人的にあって、今回、書くことにしました。具体例を示しながら、以下を書かせてもらいます。
とある男性刑務官というのは、私自身が現在収容されている収容棟、いわゆる居室棟の、補助刑務官(※階級は看守部長)のことです。
一般的に任命されている通り、刑務官というのは、施設の秩序維持のためや施設内の警備、被収容者の巡回等をするのが本来の役割(仕事)なはずです。しかし、以下の通り、裁量(権)が多すぎて、なんでもやりたい放題になっています。

上記刑務官は、例えば私に対して大きな声で怒鳴って「〜ったな!」とか、「〜は守れよ!」「なんだそれ!」「〜やれよ!」等を、平然として言ってくるのです。ときには、居室棟の刑務官が、みんなでいるスペースが、居室棟にはあるのですが、被収容者の悪口などを平気で会話している笑い声等が聞こえるのです。

これは、公然と日常行われている風景であって、介護職員として勤務していた頃は介護をする側だったのですが、いざ介護ではないにしろ、居室のなかで閉じ込められて、自由も少なくて、職員の管理下に置かれるというのは、介護の現場に当てはめるならば、それは介護を受ける側だと思うのです。
そう考えると、刑務官の対応というのは、まるで相手側が“弱者”であることを認識していながら、平然と行う“いじめ”に近いような感覚があるのです。とても人に接しているようには、少なくとも私には感じられません。かなりヒドイですし、リテラシーが欠落していると思います。もう多分、その刑務官は“常態化”しまっていて、おそらく感覚が麻痺しているのではないでしょうか。私は少なくともそう思います。

言うまでもなく、その刑務官は、初対面したときから私のことを「イマイ」と、平然と呼んできましたし、現在でも全くもって変わりません。
人と人なので、ある程度の関係性等ができてくれば別でしょうが、私は少なくともそういった方は、これまでの人生においてもかなり少数ですし、何より私自身は少なくとも初対面の人に対して呼び捨てにした経験がないです。なので、ある意味衝撃的だったというか、違和感が未だにしてあるくらいです。

現在の私自身は、介護を受ける立場ではないですから、おそらく想像するに、当時施設で介護を受ける側の立場であった入居者の人たちは、こういう気持ちだったんじゃないかと。要するに、孤独で辛かったり、ひどい扱いを受けてストレスが溜まってしまったり、嫌気がさしたり、気軽に話せる相手がいなかったり、個人の人格(権)やプライバシー(権)までもがおざなりになっていたり、そういった気持ちを抱いたのではないか、と思うのです。

私がいまいる所は、国の刑事収容施設ですが、民間(等)の介護施設の実態や性質と類似しているというか、根本的な性質とか役割こそ全く違うけれども、やっていることは一緒なんじゃないかと思ったりしながら生活しているのです。

ただ、冒頭でも触れたように、本件の刑事裁判との直接的な関係や、ご依頼の本質とは異なるので、補足的に載せてもらえたらと思っています。
今回、以前から感じていたこともあったので、この機会に書かせてもらいました。

追伸 今後、また、対比できるようなことがあれば書くことを考えています。
以上。

令和4年 5月29日 
東京拘置所(内)
今井 隼人(イマイ ハヤト)

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