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和暦をたしなむ〜腸内に春を知らせる七草粥

『名前のない新聞』に連載しているコーナー『オカルト味噌野郎の勝手に養生!』に書いたことを、少し加筆修正してみます。

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☆名前のない新聞は、ネットでも購入できます。


『腸内に春を知らせる七草粥』

一年で最も日が短い冬至は、昼の長さが約9時間半。
冬至から45日ほど経った立春には約一時間ほど昼の長さが伸びている。
日に照らされる時間が延びていくにつれ、土の状態は明らかに変わっていく。
氷や雪が解け始め、みずみずしさが戻ってくる。
地温も少しずつ上昇してくる。
それにつれて、土中に生きる微生物たちの暮らしぶりも変化していく。

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広さ100㎡×深さ10cmの土の中に、およそ700kgの微生物が存在している。

そのうち7割を占めるのがカビ類で、約3割が細菌と放線菌類。その他、酵母や藻類、アメーバ、鞭毛虫、繊毛虫といった小さき原生動物たちが土の中で共生している。
細菌の中にはさらに球形をした球菌、筒や棒の形をした桿菌、らせん状をしたらせん菌、曲状をしたビブリオなどがおり、それぞれ数分〜数時間の間に世代交代を続けながら、命の螺旋を受け継いでいる。私たちはそれらゆたかな菌コミュニティのお陰様で生きている。

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☆イラスト:川村若菜『MACRO to MICRO』より

立春に最も近い新月は、年の始まりの時である元旦。
この日から数えて七日目は「人日の節句」。

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古来中国では、正月の一日を鶏の日、二日を狗(犬)の日、三日を猪(豚)の日、四日を羊の日、五日を牛の日、六日を馬の日とし、それぞれの日にはその動物を殺さないようにしていた。

そして、七日目を人の日(人日)とし、犯罪者に対する刑罰は行わないことにしていた。

ーwikipedia「人日の節句」より


人日の節句は、人そのものを祀り、大切にする日。
そしてこの日、春を迎える体を養うために「七草粥」を食べる風習が流行した。
これは、庭や近所に生えている七種類くらいの薬草を摘んで、粥として炊いて食べるというもので、自分の好みでどんな種類の野草を入れてもよかった。
この「七草粥」の風習は、雪の間から芽を出した野草を摘む「若菜摘み」という日本列島で続けられてきた習慣と、中国大陸から伝来してきた七種の薬草を熱い粥にした「七種菜羹(ななしゅさいのかん)」という薬膳食が混ざりあったものだと言われている。


春に向かって伸びゆく野草の新芽や新葉の成長は、野草体内に存在する酵素によっておこなわれる化学反応の賜物。これら酵素の働ける環境を整備するために、植物の成長点には多種多様な乳酸菌群が結集している。
寒さ厳しい初春の頃に伸びようとする野草のもとに集う、逞しき新春先鋭乳酸菌。
酵素、酵母、抗酸化作用の高い亜鉛を始めとする多種多様なミネラル、食物繊維、乳酸菌といった、野草の新芽や新葉に凝縮した様々な栄養素を摘んで食し、肚の中に取り込む養生法が若菜摘みであり七草粥でありその作法は多種多様勝手である。

「例え煮込んで菌が死んでも、死菌自体が腸に好影響を及ぼす」

(オカルト勝手養生帳より)

庭に住む菌達が、腸内に入って、消化や分解や解毒、栄養吸収や伝達、造血などといった腸の働きを助け、春の体づくりの土台を支えてくれている。

七草粥は、体に捧げる年賀祝いの贈りもの。
それは庭に生きる小さないのち達からの賜りもの。
春を祝う命の恵みは足元にある。

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せりなずな ごぎょうはこべら ほとけのざ すずなすずしろ 春の七草

一 芹(せり)

解熱効果や胃を丈夫にする効果、整腸作用、利尿作用、食欲増進、血圧降下作用など。

二 薺(なずな)
別名ぺんぺん草。利尿作用や解毒作用、止血作用を持ち、胃腸障害やむくみにも効果がある。

三 御形(ごぎょう)
別名母子草(ハハコグサ)。痰や咳に効果。のどの痛みをやわらげる。

・繁縷(はこべら)
別名はこべ。腹痛薬として用いられ、胃炎、歯槽膿漏に効果がある。

・仏の座(ほとけのざ)
別名子鬼田平子(こおにたびらこ)。胃を健康にし、食欲増進、歯痛にも効果がある。 


・蘿蔔(すずしろ)
大根の菜。風邪予防や美肌効果がある。

・菘(すずな)
蕪(かぶ)の菜。胃腸を整え、消化を促進する。しもやけやそばかすにも効果がある。

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花鳥風月を愛でる暮らし。

そんな暮らしを支えるダイアリー『和暦日々是好日』。

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