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【3Dプリンタールアー】 インフィルパターンの最適な設定を考える

3Dプリンターでの造形はシェル(インナーシェル・アウターシェル)とインフィルで成り立っています。このインフィルの設定をどのように最適化していくべきか、私なりに考察していきます。

インフィルの役割

まずは3Dプリンタールアー作りにおいて、インフィルをどのように捉えるか考えてみます。インフィルは造形物の内部に充填されるので、充填率が高ければ積層同士の接地面積が大きくなるので、耐衝撃性は向上します。また、造形の安定にも寄与しており、インフィルが適切に充填されていなければ、内部構造が中空になって造形不良を起こしたりします。

もう一点、ルアー作りに関してはインフィルの果たす重要なポイントが存在しています。それは密度の分散です。均質系素材と偏在系素材の話をしたかと思いますが、3Dプリントルアーは偏在系素材である樹脂を使いながらも、均質系の特徴を製法によって作り出しているのです。

3Dプリンターで出力するために、スライサーソフトを使って3DモデルをGコードへ変換する。

量産品と比べてややレーシーな設定になってしまいますが、シェル部分の厚みを若干薄くし、その分の樹脂を充填に充てています。こうすることで積層強度は十分に保つことができます。一方で射出成形よりも耐衝撃性は劣りますが、積層割れさえ起こさない設定とすれば、靭性を持っているためバルサルアーよりかなりの強度を持っています。

インフィルの種類

ライン
ジャロイド
ハニカム
三角形

力学的な分析に関してはこちらを参照しました。(The Strongest Infill Pattern for Your 3D Prints, by Jackson O’Connell Published Nov 18, 2021)

強度に関して

圧縮強度に関してはライン型、三角形、ハニカムはZ軸方向に強いですが、X、Y方向からの力はZ軸と比べて60%程度の圧縮強度となっています。一方、3Dインフィル(ジャロイド)はどの方向からの圧縮強度も等しく264kgとなっています。最大圧縮強度は他のインフィルに比べれば小さいですが、方向によって弱点が生じることがなく、バランスの良いインフィルと言えます。

印刷時間と樹脂の量

画像右上のプリント時間と樹脂の量に着目していただきたいのですが、3Dインフィル(ジャロイド)が最も完成スピードが速く、また、使用する樹脂量が少ないです。これらのことから、3Dインフィル(ジャロイド)は軽くて強い構造を実現できる構造体ということが言えるでしょう

バランスよくどの方向も強度が保て、尚且つ使用樹脂量も少なく、印刷時間も早いという特徴から、私は3Dプリンタールアーにはジャロイドを採用しています。インフィルひとつとっても、突き詰めてルアー作りにはどれが最適なのか検証することは大事なことだと思っています。

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