僕らは文化に守られるために文化を守っている

沖縄人(ウチナーンチュ)。
自分はなに人か問われるとそう答える沖縄の人は少なくありません。
自分の生まれ故郷に誇りを持ち、堂々とアイデンティティを持ち得ることは、改めて考えると素晴らしいことのように思います。
それは決して当たり前のことではないと思います。


僕がアメリカ横断の旅をした時、2つの県人会を訪ねました。
そこでは方言が飛び交い、聞きなれた三線の音や踊り、料理が在りました。
遠く離れた土地にも五感で沖縄を感じられるものだから、驚いたものです。
目を閉じればここが何処だか分からなく、ホームの温かさにほっと安らぎを感じたことを覚えています。

それは僕がシカゴ県人会を訪ねた時のことです。
県人会は県出身者ではないと入れない訳ではなく、「三線を習いたいから」だとか「単に沖縄が好きだから」ということで、中には沖縄出身ではない人もいます。

僕は愛知県出身の夫婦とまだよちよち歩きの女の子の3人家族にお世話になりました。
奥さんが沖縄が好きで、シカゴ沖縄県人会で三線を習っていて、ちょうどお稽古の日に僕が訪ね、家に招いてくれたのです。

家族と食卓を囲んで団らんしていたとき、ふと旦那さんがこんなことを言いました。

「沖縄って良いよね~。ご飯も美味しいし、文化も豊か。俺も愛知県人会作ろうかな。でも集まって何やろうかな…」

そのとき僕は単純に「伝統文化が盛んだと集まってやることがたくさんあるんだ」と思いました。
けれどそれはとても重要なことなのだと思います。
沖縄は三線などの楽器を弾いて唄うし、踊るし、武道だって学ぶし、料理だって、言葉だって、この人達としか分かち合えないことがあります。
だから集まるのです。
だから遠い外国でも沖縄はコミュニティが生き続けます。
それは沖縄人を沖縄人たらしめる。

地球の裏側のボリビアにはオキナワ移住地があり、そこは沖縄の文化継承が色濃い。
だからこそ2世、3世と沖縄人は絶滅しないのです。


文化は”守ってあげる”ではなく、守られているのです。


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ロスの北米沖縄県人会のお祭りにてお礼に一曲

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