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「可愛い子には旅をさせよ」の母の想い

母との会話

「旅に出られたことは良かったかしら?」

久しぶりに両親と自分と3人で出かける機会ががり、ふと母からこんな質問がきた。
運転中の僕に後部座席から投げかけられた質問だ
母の表情は見えない。
僕が最後に長期の旅をして数年が経ってる中の、思いがけない質問だった。

「うん、行って良かったと思っているよ」

シンプルに返したが本当にそう思っている。
母の質問の意図が分からず様子を見ようと思ったのもそうだけど、えてして息子というのは親に対し口数が少ない。
「例えばこんな場面があってさ、」「旅は自分にこんな影響を与えてくれた」、など次に続く言葉を考えていた時、母が間を埋めるように言葉を置いた。

「そう、それなら良かった。うちは何か残してやれる財産がないからね。せめていろんな経験だけでもさせてあげられるように、って思っていたから。」

”親の心子知らず”とはよく言ったもので、そんな想いでいたなんてつゆ知らず、旅に出る時は意気揚々とこれから起こる出来事に思いを馳せるばかりだった。
送る側の気持ちを初めて直接聞き、胸が詰まる。

母と父のそれぞれ

僕は幼少期の頃、喘息持ちな病弱な子どもだった。

毎夜苦しそうに呼吸する息子を見て、母も苦しかったのだろう。
抱きながら車で夜を明かすこともしばしばあったという。
入退院を繰り返し、注射を打つことも多く、泣いて暴れるのを押さえつけるのは母の役目だった。
”自分が痛いとき同じように痛い顔をするのは親だけだ”と言うけれど、健康に産んであげられなかったことを悔やむ母は、注射の痛みより痛いモノがあったのだと思う。
当時の記憶はあまり残っていないが、病弱な分手塩にかけられたという自覚は残っている。
そんな過去を持っている持っているもんだから、息子への心配ごとは尽きないのかもしれない。

一方、父が息子を見つめる眼差しはまた違っていた。
そもそも僕は父の背中を見て旅に憧れた。
決して饒舌ではない父だった、語られる物語は息子にとってどんなおとぎ話よりもワクワクした。
ファンタジーのようで、でも身近な人が実際に体験したリアルな話しなのだ。
旅の経験が人生を豊かにすることを身をもって知っている父は、息子が旅に出ることを喜んだ。
どんな経験をしてくるのか、当の本人と同じようにワクワクしてくれていたのだと思う。

無事に帰って来てこその旅

旅は楽しいだけでなはい。
難儀や不便もあり、それも含めて旅だ。
そしてもちろん危険だってある。
僕はベトナムで詐欺にあい、おとり捜査をに協力した経験がある。
武勇伝とかではなく、単に自分の危機察知能力の無さが招いたことだ。
そんなことがあるもんだから、送る側の心配事はつきない。

日本の偉大な冒険家である植村直己さんはノートに「俺は山で死なない」と書き記した。
最後、山を下りることができず亡くなってしまったことは、彼自身一番の悔いであろう。

冒険家並みの危険がつきまとうではないかもしれないが、旅人も決して旅でしんではいけない。
旅人は待ってくれている人のために、無事に帰ってこなければいけないし、危険と感じたら堂々と臆病になる勇気を持つべきだと思う。

親への感謝を込めて

危険もある中、旅をさせてくれた両親には感謝している。
口には出さないが、もしかしたら母は止めたかったのかもしれない。
子どもに何が残せるか、を考えて応援してくれたおかげで、僕は何にも代えがたい財産を得ることができた。

旅の学びを何か形として見せてあげたい。
それはこのnoteもそうかもしれない。
かつての旅の経験はkindle本にして出版したいと思う。
そして、僕を成長させてくれた旅を通して、社会に還元をしたい。
それは、旅で出会った社会貢献グッズを専門としたショップだったり、旅と本をテーマにしたコミュニティスペース作りだったり、これからのチャレンジで体現していきたい。

それもこれも、ひとえに僕を信じて送り出してくれた父そして母のおかげである。

感謝。


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