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【ラノベ新人賞】ユア・フォルマ/プロット分析,抽出

●全体の特徴

・バディ捜査もの
・2幕は早め
・3幕前に種明かしパート

●ちょっと感想

・物語の強度がヤバい。隙がない。物語もキャラクターも最高。なんかもう色々完璧。個人的には、同じエンタメ系SFだと伊藤計劃並みに満足感ありました。
・エンタメ系の作家を目指す人はジャンル問わず、この作品は読んでおいた方がいいと思う。色んなエッセンスが詰まってる。

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※●はメインプロット、Sはサブプロット

●掴み
・仕事の最中の主人公と相方。仲は最悪。依頼人(や被害者、立会人)の前で仕事の内容や専門用語、どんなことをするのか説明。さらに主人公の問題提示もする。
・主人公は相方から小言をいわれつつ任務開始。どんな内容のものかを読者に少し見せ、主人公の問題により相方が倒れて仕事が打ち切られる。それにより主人公は依頼人等から責められ、リアクションにより主人公の問題をさらに見せる。
・相方が倒れたため、肝心の手がかりも掴めなかった。(この密度でたった7ページ)

●セットアップ1
・後日、相方が自分のせいでやられてコンビ解消。新しい相棒(以下バディ)がやってくることを聞く。自身の問題のせいでどうせまたすぐに変更になると憂鬱な主人公。
・会うための迎えが来る。その相手は主人公の嫌いなタイプ。作品独自の人種なのでどんなキャラか少し紹介。
・移動中を利用して世界観のシステムや主人公の職業などを説明。

●インサイティングイベント
・バディと会うための目的地へつく。すると、送り迎えをしてくれた人物がバディだったことを知る。相手はこれまでとはまるで違う、異例の人事。初めての事例のレベル。

●問答
・主人公は承諾しかねて上司に相談。揉めるが、主人公には非があってそこをつかれてなにもいえない(相棒をことごとくダメにしてきた)。どうせすぐダメになるだろうと主人公は諦める。
●逃げられない
・主人公はバディの存在自体が嫌いで極力関わりたくない。対立しながら冒頭の解決できていない次の任務へあたる。

10% 2幕へ

●セットアップ2、
【S1インサイティングイベント】
・初めてのことに緊張しつつバディと任務へ。任務に絡めて主人公のゴーストも見せる。すぐに任務達成。今までとは違い、バディは上手くやる。初めてのことに主人公は戸惑いつつ、事件解決のヒントを手に入れる。
・ヒントをもとに目的の人物の元へ。移動中に事件の整理をしたり、前のシーンのリアクションや、二人のキャラクターを見せる。

【S1 作戦】
・目的地に到着し、対象へどう近づくか作戦を練る。バディの有能な提案に従っていき、すぐに対象を発見できる。
C:この間も二人はずっと小競り合いをしている。

【S1 死の臭い1】
・重要参考人(以下キャラA)である対象に接触。キャラAは犯人の鍵を握る相手を匿っている。これもバディが上手く情報を聞き出していくが、主人公が匿っている相手を取り逃がしてしまう。おいかけっこになる。
その最中事故で匿っていた相手が瀕死に。バディは自らの命を顧みず救おうとする。しかし主人公は死なれるまえに情報を得るため、捜査を続行することを命じる。
【S1プロットポイント1】
・バディと言い合いになるが、バディは渋々応じる。次なる確かな収穫(情報)を得ることが出きる。
・相手が病院へ運ばれたあと、今のシーンのリアクション。主人公は自分の非情さにバディとの違いを示そうとしたが、バディは主人公が辛そうにしていたことを見抜いていた。
主人公はそれを不服そうに否定する。(非情に振る舞うのはゴースト由来。それは後々)

25%

・主人公の過去を一瞬だけ見せる。か弱きものの酷遇。現在への伏線であるゴーストが始まりそうな予感。
【S1 セットアップ2】
・現在視点。手がかりから次の現場へ向かっている主人公とバディ。その場所は主人公にとって気が重い場所。
・目的地に着き、案内人と会って任務開始。捜査の途中主人公のゴースト、この場所へ来たくなかった理由が垣間見える。あまり手がかりは得られなかったため他の作戦にうつる。

【S1 アイテムを得る】
・それぞれ単独行動。主人公は参考人に取材しに行く。バディに縁のある人物が案内役。参考人はゴーストに関する人物。事件に関する情報をもらう。

【S1 ピンチポイント1】
・帰ろうとしたとき、参考人がプライベートな会話を持ちかける。ゴーストに関する深掘り、主人公の聞かれたくない過去と現在も続く問題を謎と共に紹介(冷血漢で有能な父、自殺している、開発しているものが世界的に重要なものだった、など)
・トラウマを蒸し返された主人公は気分を害してきて、怒ったまま会話をたちきりその場を去る。

【S1 ピンチポイント1のリアクション】
・バディと合流し、得た情報を上司に報告。上司のキャラが立つ一面(クールそうだがペット依存症)。長丁場になりそうなので1日休めと言われる。
・その前に主人公が参考人にトラウマをえぐられたことのリアクション。バディは主人公に何かあったか気づくが、あえて詳しく聞かずに気を遣う。主人公は少しずつバディに対する気持ちが変化していく。

約4割

●お楽しみパート
・休日に騙されたようにバディへ呼び出される。仕事の延長の出来事で、序盤に出てきたキャラAが司法取引的に協力してくれることになる。ある部分で有能だったり、捜査に有益。
・キャラAの要望により、日常の案内を頼まれバディは快く了承。主人公は帰って休みたかったが渋々付き合うことに。
・バディとキャラAの観光に付き合いつつ、その姿に自身のゴーストを重ねる。
その流れで過去回想、感情移入できる主人公の過去。バディの同族を毛嫌いする理由もここでわかる。
現在視点のバディに話しかけられるかたちで回想終わり。観光の続き。

●ピンチポイント1
・ここでキャラAと仲良くするには意味があるようなことを意味深にバディが告げる。その際、ゴーストの経験からバディにとって嫌なことを主人公は口走る(ロボットの感情は偽物)
・帰り際、キャラAに最初の参考人に【S1死の臭い】のことを責められる。主人公は甘んじて批判を受けつつも食らう。別れ際にバディが止める。
・バディは前のシーンであった嫌なことを訂正して欲しいというが、主人公はそれを認めたくない(父が自分よりロボットに愛情を注いだことを認めたくない)言い合いになり揉める。二人ともかなり腹を割ってぶつかる。バディは主人公のゴーストに少し気づく。

●ミッドポイント
・気まずいままわかれようとした時、上司から連絡。報告した情報から新たな手がかり、犯人がわかったかもしれない情報を掴んだと聞く。

50%

●忍び寄る悪者
【S2 セットアップ1】
・大規模な任務になり大勢集められる。終盤まで二人に大きな出番はない。主人公はバディと気まずくならないように話したあと、解散する。
その場で冒頭の元相方へ出会う。色々と侮辱され言い返せないが、バディがバディらしくスカッとさせる形で元相方を黙らせる。

【S2 インサイティングイベント】
・余っている時間で別の捜査へ。犯人がいた部屋を観察しに行く。事件の内容の説明もかねる。そのさい、ちょっとしたトラブルで主人公をバディが庇い怪我をする。主人公は、自分が相手を嫌っていることを知っているに助けられ、やりきれない気持ちになる。捜査に影響するため、バディは怪我を隠すことに。主人公は止めるが、バディはいうことを聞かない。

【S2 準備】
・犯人らしき相手の尋問。上司や前相方が、前のトラブルにより得たものを使って犯人を追い詰めていく。しかし真相はわからない。主人公は普通に振る舞っているバディの様子が気になる。

【S2 死の臭い1】
・許可が下りて主人公とバディの出番が来る。
・ゴーストをチラ見せしたあと、バディの限界が来て倒れてしまう。主人公は無理をさせたことを後悔しつつ、もう相方を失いたくないという自分の本当の気持ちを認める。

6割

【S2 闇夜を彷徨う】
・後日、バディの入院場所。安静を言い付ける。主人公は自分がゴーストに縛られていて、自尊心のためにこの自体を招いたことも自覚する(ゴーストを受け入れつつある)。
家まで送るとバディの家族におもてなしされる。主人公は拒否するが、断れない。そこでバディの出生や過去を聞く。伏線もある。

【S2 プロットポイント2】
・半分付近のシーンでバディが怒った理由(トラウマに関するもの)もそこで知り、主人公は口論したときの自身の台詞を後悔する。主人公は完全に自分がゴーストに屈していたことを認め、謝る。ここで中盤の喧嘩はちゃんと仲直りになる。
・バディがトラウマによりこの仕事をしていて、無理もすることを知って(殺された家族の犯人逮捕のため)、そのことを忠告する。

●ピンチポイント2
・そのまま捜査の話を続け、バディが倒れる前に得たものなどの推測から犯人の手口を割り出す二人。それを上司に報告しようとすると、上司と元相方からやってくる。
・主人公は何者かに嵌められて真犯人にされていた。弁明するも無駄。捕まえに来た二人を振り切り、主人公は逃げ出す。主人公を追跡する組織。
バディも隙を見て単独で主人公を探しに行く。

7割ちょっと

●死の臭い2
・主人公は逃亡の最中、ゴーストに関することを思い出す。その流れで、この事件の真相を理解する。逃げていて朦朧としていたためそのまま意識を失う。

●闇夜を彷徨う
・目が覚めると、キャラAに救われている。(キャラAは体を救う術をもっている)バディのためにやったと聞く。すぐにバディも現れ、運んで匿ってくれたことを知る。
※ここから種明かしパート
・二人は事態をなんとかするため、話し合う。真犯人への足掛かりや、物語の真相をバディが主人公に質問することによって明かしていく。
・全てを解決する鍵は主人公の誰にも踏み込まれたくないゴーストにあり、バディはそれを開示するよう選択を迫る。

●プロットポイント2
どんなゴーストかがわかる。主人公の隠していたことや、過去回想の伏線が回収される。
主人公は悩み抜いた挙げ句、歪な形ではあるがバディが背中を押すことによりゴーストを克服し、バディと真犯人へ迫ることを決意する。

8割ちょい  三幕へ

●クライマックスへの準備
・作戦を組んで真犯人の元へ潜入。上手く潜り込む。真犯人は4割ちょっと前のゴーストを知る参考人。ここに主人公を嵌めた伏線もあった。

●クライマックス
・犯行の事実を突きつけていく。犯人の動機も知る。主人公と関わりの深いもの。自身のゴーストが覆りそうな妄言も聞く。
・一旦追い詰められるが、相手を巧妙に騙して逮捕することに成功する。これにより無実も証明。

●報酬
・後日そのリアクション。事件の後始末はなんとかなりそう。
・ゴーストから解放された主人公はバディに心から感謝を告げることができる。さらに、この仕事を続けていく理由がなくなったため、辞めることも打ち明ける。

95%

●エピローグ
・上司に退職届を出す主人公。これまで出てきたキャラのその後を一瞬だけ出す。
・辞めたがなんとなく前職が恋しくなる主人公。バディと上司に微笑ましく騙される形で、再び仕事に復帰することになる。


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