記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

【ラノベ新人賞】負けヒロインが多すぎる! / プロット分析、抽出

●全体の特徴
・群像劇ラブコメ
・全体のプロット通して、というよりサブプロットで一人一人の恋模様を追っていく形。キャラドリブン。お楽しみパート多め。
・コメディが優秀

●感想
・作者の雨森たきび……貴様、「隠している」な! 爪を! 実力をこれ見よがしにするのではなく、居合のようにここぞって時にだけ刃をズバッと抜く、そんな作家。

・コメディはほんと、頭一つ抜けてる。ヒロインも可愛く描けているから、プロットに大きな流れはなくとも作品として成立している。

・人の心の動きがリアル。たとえば女の子と接近しても「良いかおり」だけでなく、ちゃんと汗と焼き肉の匂いがするとか。女の子がちょろすぎず簡単になびかないとか。

・各ヒロインたちがフラれて、泣いて、頑張って、そういうところを見てきた主人公が最後に誰かのためにちょっとだけ成長する、という微細なドラマが凄くいい。達観系の主人公は鼻につきがちだけど、この主人公はそんなことなく、むしろ共感も応援もできる。

小鞠が一番可愛い。異論は認めない

ーーーーーーーーーーーー

※メインプロットは●、サブプロットはSと表記。

●セットアップ
S1【インサイティングイベント】
・主人公が隠れて趣味に没頭していると、いざこざが聞こえる。それは顔見知りで、相手に取ってまずいところを目撃してしまう(ふられたあと相手の飲んでいたストローをくわえる)以下ヒロインA。

 S1【冒険の誘い】
・ヒロインAは何か困った様子で、仕方なく声をかけて助ける。ここで貸しを作る(ファミレスで会計するのにお金が足りなかった)。すると勝手に今あった事件を語り出す。主人公は迷惑がる。

 S1【逃げられない】
・なんとかどこかに行ってほしいが、なかなかヒロインAのペースで話が終わらない。趣味に没頭したいが、仕方なくつきあう。
C:ヒロインAの思いこみが激しい

●インサイティングイベント
・日常にて、主人公にとって苦手なことをしてくるキャラがいる(以下ヒロインB。休み時間に席を取られる)
・どうしようか迷っていると、ヒロインAが冒頭の問題に囲まれている(親友と好きだった人の絡みに巻き込まれている)
主人公は事情を知っているので勇気を出してさりげなくフォロー。ヒロインに逃げる口実を与える。ヒロインは逃げる際に主人公を誘う。
・二人で口実の元へ向かう。貸しの返却について話す。教師キャラに簡単な依頼を受ける。(ばらまいたプリントの整理)
C:その最中、ヒロインの抱える問題についてまた一人で暴走

7%

●問答
S1【お楽しみパート1】
・ヒロインに貸しを返してもらうため、指定場所へ(ファミレスで貸した金)。貸しを返してもらう前に、ヒロインが再び問題に会っていることを聞かされる(放課後カラオケデートに一緒に来ないか誘われる)
・早く借りを返してどこかに行ってほしいと思いつつも、愚痴を聞かされる。話の流れで一応励ます。そろそろ返してもらおうと、貸しの証拠を渡すと思った異常に高くついたらしく別の物での返還を提案される。それは連日かかるもの。
※契約関係(いつでも破棄可能)を結ぶ。
・主人公は一瞬良いと思ったが、よく考えるとめんどうなので断ろうとする。しかしヒロインAは聞く耳もたずに話を進めてしまう。

10% プロットポイント1

●セットアップ2
・ヒロインAの提案に憂鬱でいると、主人公が勝手に所属していることになっている組織のキャラ(文芸部。以下ヒロインC)が関わってくる。
上部の組織(生徒会)から警告が来ているので、とにかく一度所属組織に来てほしいと言われ、仕方なく行くことに。
ヒロインCと少し絡み、すぐに組織の副長がやってくる。交換条件に、組織に正式に入ることを了承する(名前を貸す。部室に読みたい本がたくさんある)
・副長は用事で去ってすぐ、上部の組織のキャラがくる(生徒会役員)。主人公がここにくることになった問題を早々に尋ねられ、なんとか回避する(※伏線)。

・家に帰ると支援者(妹)に絡まれる。
C:ぼっちの主人公が学校で話した人数を聞いて疑う。

15%

●お楽しみパート
・ヒロインAとの貸しを返してもらう契約の時間
問題について再び愚痴を聞かされる。主人公も近況を少し報告(部活に入った)。ヒロインAは興味があるらしく後に組織へ顔を出すという。

S2【セットアップ1】
・組織に所属したことにより、ちょっとした知り合い(以下キャラA)が話しかけてくる(文芸部の本を貸してほしい)。その後ヒロインBがキャラAにアプローチするが、明らかに失敗。

 S2【インサイティングイベント】
・ヒロインBはキャラAの知り合いである主人公へ、情報を得るため話しかけてくる。少し情報をやると、ヒロインBはどこかへ行ってしまう。主人公はヒロインBがキャラAが好きだということをなんとなくわかる。そしてキャラAには彼女候補っぽい人がいることも紹介。

・その場をみていたヒロインAが話しかけてきて、組織へ一緒に行くことに
・組織にてヒロインAを見学として紹介
C:「本がたくさんありますけど、なにをする部活なんですか?」

S3【セットアップ1】
・そこに組織の長がやってくる。ヒロインCが明らかにその長を好きなことを紹介。ただし長と副長がいい感じでヒロインCは目的遂行が困難なことは濃厚。
・長、副長、ヒロインCの関係が立場は違えどヒロインAと酷似しており(幼馴染二人と恋敵)、ヒロインAに何故か睨まれてヒロインCは逃げる。

20%

S2【準備】
・この数日で急に増えた、関わった人達について考える主人公。
組織に、キャラAからの依頼を伝える。了承される(本を買していいか?)その様子を見ていた支援者が日常での支援方法を提案。
C:キャラ弁を作る

S1【ミッドポイント】
・ヒロインAとの契約の時間
借りを返してもらうところで、再び愚痴に巻き込まれる。
C:妄想につきあわされる
その後、ちょっとつき合いヒロインBを遠くに発見。何かに打ち込んでいる。それをみていて、ふとヒロインAは問題について無理矢理腑に落ちる(フられたことをきちんと受け入れる)。
・主人公は気の利いたことをいえないが、一言言って無言で寄り添っている。

25% 一旦ヒロインAの問題は落ち着く(まだ終わってない)。2幕へ

 S2【作戦を練る】
・ふとした時にヒロインBに詰め寄られ、とある場所に軟禁される(体育倉庫)。キャラAに組織が手を貸す話はどうなったか問われる(本を貸す)。
主人公はヒロインBとキャラAの仲を取り持ってやろうと思い、作戦を提案(本を貸すのを口実に、文芸部の部室で二人きりにしてやる)。ヒロインBは感謝する。

 S2【ピンチポイント1】
・出ようと思ったら出られなくなっている。(鍵をかけられてしまっている)助けも長い間こなさそう。ちょっとまずい状態(熱中症になる)
・ヒロインBがまずい状態になり、主人公は焦る。アイテムを見つけてなんとかする。ヒロインBの恥ずかしい状態をみてしまう。
・教師キャラが運良く助けに来る。

●お楽しみパート2 サブプロット1、2の交差
・助けられた場所でしばらく休む二人。
・ヒロインAの契約時間になり、動けなかった主人公のもとへ向こうから部屋にやってくる。いつもの貸しを返してもらう時、ヒロインBも復活して加わる。そこへ心配してキャラAがやってくる。ちょっと話しているうちに、キャラAと仲のよい感じの人が現れる。
二人はすぐにいってしまうが、ヒロインBの目的遂行が困難なことが見て取れる(二人は付き合っていそう)
それをみていたヒロインAはヒロインBを応援するという。
二人と昼食をともにした後、ヒロインAから組織へ来るようにと伝言があったことをきく。

●ピンチポイント1
・所属組織へ
組織的な危機であり、バレてはいないが原因が主人公にある(伏線回収。活動内容を適当に喋ってしまったので、それをやる事になる)。それについての作戦会議。
反発もあったが、組織で合宿を行うことに。いつの間にか何故か上部組織も居て、許可をくれる。

37%

S3【冒険の誘い】
合宿の前に視察(ネット小説の流行を見に来る)。そこで偶然ヒロインCに会う。ちょっと仲が深まるエピソード

・支援者に合宿のことをいう
C:商店街やみんなから友達がいないことに気を使われる。

S2【ミッドポイント】
・合宿の調べ物をしていると、ヒロインBから声をかけられる。主人公が伝えた作戦をその日実行していいか聞かれ、了承する。

S1【忍び寄る悪者】
・その後、その事をヒロインAとの借りを返してもらう場で会話。合宿のことを話すヒロインAは問題に巻き込まれそうで、ついて行くことにする(幼なじみの親がバーベキューに誘っている)。

45%

 S3【作戦】
・ヒロインCに出会い、相手の問題をかいま見る。助言を渡すと、一応聞いてくれる(昼飯を一人で食べているので、おすすめの場所を教える)

S2【忍び寄る悪者】
・ヒロインBとキャラAが目的を遂げに組織へ。副長が二人を組織へ誘う。ヒロインAも合宿の件でいる。副長とキャラAの会話でヒロインBは目的遂行が失敗に終わることを知る(キャラAにはやはり彼女がいた)
ヒロインBはその場に残り、キャラAは出て行く。

 S2【ピンチポイント2】
・ヒロインAはヒロインBを慰めることにして、主人公はヒロインAに巻き込まれる。慰める場所は物語冒頭の、ヒロインAが問題を抱える場所になったところ。
C:ヒロインCは陰からみていて、副長に追っかけられる

50%

 S2【プロットポイント2】
・ヒロインA、Bとともに食事して、ヒロインBを元気づける。そこでまたヒロインAの貸しが再びふえてしまう。(金が足りない)
※ヒロインBのサブプロット終了。

二幕後半開始。
●お楽しみパート3
・合宿当日。合宿を楽しむ主人公。ヒロインCとの会話
・ヒロインBと昼食を買い出しに。少し仲が深まる
・昼食後、少しの間主人公と組織の長、二人になり、合宿でやるヒロインCの内容を見せられる(自作小説)。

60%

・その流れで組織の活動内容について、長が語る。作品のテーマっぽいことが少し語られる。ヒロインたちがアイテムを持って帰ってきて、その話は中断。
・遊びを切り上げ、次の行動。夕食を作る。
・夕餉を楽しみ、その後もレクリエーション的なことを楽しむ。(花火)

67%

●忍び寄る悪者
 S3【ピンチポイント1】
・レクリエーション中、ヒロインCにハプニング(花火暴発)。それを助ける長。勢い余ってヒロインCは長に告白。答えを保留したことで、副長がそのことに怒る。ヒロインCも副長もどこかへいってしまう。
・ヒロインA、Bと主人公は蚊帳の外で、片づけは自分たちに任せて長にどちらかを追うようにいう。

 S3【ピンチポイント1のリアクション】
・主人公は片づけを終え一旦トイレへ、すると追いかけに言ったはずの長が迷っていて相談をしてくる。悩む納得の行く理由を聞く。主人公はアドバイスして背中を押す。

70%

S3【ミッドポイント】
・一旦帰るが、副長が夜遅くなのに帰ろうとしていて、今度はそっちを追いかける羽目に。
追いつき、とりあえず止めて話を聞くことに。なんとなく二人のすれ違い(告白が理解されていなく、ふっていたと勘違い)が見えてきたところで、長が追いつく。主人公は隠れて、おいついたヒロインAと覗き見することになる。

S3【忍び寄る悪者】
・長と副長二人は勘違いがとけて上手く行く。これ以上はのぞきになるからまずいと主人公はヒロインAの手を引いて去る。軽く手をつないだので、それをからかったりして、主人公とヒロインAがちょっと睦まじい展開。

73%

S3【死の臭い】
・ヒロインCが気になるので主人公とヒロインA二人は戻る。
ヒロインAと別れて探していると、ヒロインCを見つけ、話すことに。
ヒロインCは先に長から真実を伝えられている。感情を吐き出したいから、どこかへ言ってくれと言われて、主人公は去る。

 S3【闇夜を彷徨う魂】
・主人公、一人でその日のこと、みんなのことを考える。ヒロインAとの契約や、たまたまいるヒロインB、気まずそうになりそうなヒロインCや長たちを考えて、今まで通りではいられないかもしれないと心が曇る。
そのことを、合宿の題材にしようと誓う。

 S3【プロットポイント2】
・主人公含め、それぞれが合宿での成果を上げていく。ヒロインCは気にしている副長と仲よくし、気まずい空気はなくなる。が、今まで通りではないことを主人公は思い、自分もそうなるのかな、と感慨深く考える。

C:自分の成果にツンデレな評価を下すヒロインC。
※最後に絡ませてすっきりさせている

78% ヒロインCのサブプロット終わり

●ピントポイント2
・まとめ的な日常の開始。
同じところにいるヒロインAやBと今までとは違う、少し親密な感じのコミュニケーションをとる。

S1【忍び寄る悪者】
・ヒロインAとの契約場所にいく途中、ヒロインAの悪い噂を聞いてしまう。問題の置きみやげ的なもの。しかも根も葉もない噂に主人公が少し関わっていて、ヒロインAが悪く言われていることを腹立たしく思う主人公。聞いていられずその場を去る。

 S1【ピンチポイント2】
・ヒロインあと会う。前のシーンのことが頭から離れず、ヒロインAのために、いつでも終わらせることができた契約関係を一方的に終わらせる。
訳が分からないヒロインAは、ちょっと不穏な感じになる。
主人公はヒロインAを思ってだが、少し勘違いしている感じでヒロインAは納得し、不服そうに姿を消す。

S1【死の臭い】
主人公は失ってみて、以外と喪失感があることに気づく。

82%

S1【闇夜を彷徨う】
・あの終わり方で良かったのだろうかと、問答する主人公。心配する支援者。
・日常で契約の時間が訪れるが今は一人。ヒロインB、主人公の様子が変なことを見越してて話しかけ、アドバイスをくれる。

●死の臭い
 S1【プロットポイント2】
・組織に行くとヒロインAがいる。用事があってすぐに帰るところだが、主人公はもう今しかないと思って、呼び止める。
関わってきたヒロインたちの勇気や失敗を思い出し、終わり方を改める。自分の本当の気持ちを伝える。(「楽しかった」)
ヒロインAは軽く返事を返し、行ってしまう。

85%

●闇夜を彷徨う魂
・契約時間に一人で過ごしていると、かなり前にアドバイスしたことをヒロインCが実行していて、ばったりで食わす。ヒロインAと縁が切れたことを憂いている主人公を、二人の関係らしく励ます。

●クライマックスへの準備
・今度はヒロインAの元思い人(キャラA)から呼ばれる。主人公のことを彼氏と勘違いしていて、ヒロインAをこれからよろしくといってくる。主人公はやけ気味にキャラAに気持ちを問いつめる。

●クライマックス
 S1【プロットポイント2】
・そこへヒロインCから連絡を受けたヒロインAがやってくる。キャラAの振る舞いになっとくいかず、主人公はヒロインAの気持ちを考えて怒る。それに乗じてヒロインAも二人が勝手に人の気持ちを決めつけるなと起こり、キャラAに全部ぶちまけることができる。
・その勢いで主人公はヒロインAと仲直りすることがきる。

90%

●エピローグ
・日常は長期の休みに入る(夏休み
 S1【最後の晩餐】
主人公とヒロインたちはたまたま落ち合う。主人公とヒロインAの感じの空気を読み、ヒロインCがBをつれて二人きりにさせる。

S1【クライマックス】
主人公は改まって、契約関係が終わったヒロインAに今後の関係の話をする。
C:ヒロインは告白だと思っていた。勝手にふられたことにされる。
仲良く友人関係になる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?