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【ラノベ新人賞】ただそれだけでよかったんです/プロット分析,抽出

●全体の特徴

・時系列が結構前後する
・退廃的エロゲ感(良い意味)
・どんでん返し
・後半はグラデーション気味にクライマックスへ

●ちょっと感想
・中二感が凄いので読者を選びそう。この語り口が慣れない人は数ページで本を閉じてしまいそうだが、平気な人はミステリとしてもかなり楽しめるし、逆にこういうの好きな人はカルト的に熱狂できると思う。
 良い意味で『素晴らしき日々』感があったかなと思う。主人公はまさに間宮卓司。革命や救世主などのワード、さらに名前も少し被ってるし、もしかしたら作者さん影響受けているのかも?

・主人公は鼻につく性格だけど地の文は(技術的な意味で)読みやすく、雰囲気もダークな感じ、そして男の友情と全体の退廃的な感じ、ビターエンドの締め方、などなど個人的に趣味が合った。多分作者さんの本棚と私の本棚は並ぶものが似ていると思う。

・世の中全部くそくらえ、死んでやろうかな。と一度でも思ったことがある人は絶対に読んで欲しい一冊。

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※●はメインプロット、Sはサブプロット

●掴み
・興味を引く犯罪の紹介
・犯罪被害者の家族(以下キャラA)が捕まっていない犯人を追い詰めることを決心
最初の取材でその物語特有のルール、世界観があることを紹介(奇妙な校則)。そのルールが怪しいと思ったが空振り。キャラAは支援者を頼る。

●セットアップ1
・犯罪をおかす前の犯人(主人公)視点。
※罪を犯すことはわかっているので、ただの日常さえ読者は気になる
スクールカースト底辺の日常。

●インサイティングイベント
・ヒロインが何故か話しかけてくる。ここでは軽く関わるだけ。

●問答
・家にいる主人公。密かに連絡を取り合っている人物がいる(以下賢者キャラ)。
賢者キャラにヒロインとの出会いを尋ねられ、相手に対してどう思っているか当てられてしまう(主人公がヒロインをどう思っているか、読者への説明になっている)

・後日偶然、ヒロインに会う。その場で原因はわからないがヒロインは何かに打ちのめされていて、主人公は仕方なくて少しだけ手を差しのべる。ヒロインは主人公をいい人間だと勘違いしていく。

【S1セットアップ】
・犯罪被害者家族(キャラA)視点。
情報を整理するも、犯行のやり方が全くわからない。支援者登場。支援者は被害者と顔見知りであり、協力をしてくれる。
キャラAの身内(母)も犯人を追い詰めようと必死なシーン(学校のルールを変えたりなど)
【S1インサイティングイベント】
・後日、早速支援者が手がかりになりそうな相手を見つけてくる。(学校の生徒)キャラAは会いに行く。相手から核心的なことは聞き出せず、さらに謎も深まるが、新しい情報を知る。さらにたまたま身内の奇行も知ってしまう(母が学校へのクレーマーになっていた)。

【S1問答】
・一人になってその情報の整理。主人公は罪を犯したとはいえひどい罰を受けていた(学校中に土下座させられる)、そしてそれをやったのが身内(母)
キャラAのゴーストをチラ見せ。支援者に情報のことを話すと、支援者も主人公と会ったことがある、という。
【S1 死の臭い1】
・シーンの最後、犯人(主人公)から脅迫のような、まだ事件は続くような内容のものが届く。(作品では不穏な郵便物。手紙でも電話でも、間接的なメッセージでも良いと思う)

●問答続き
・主人公視点(過去視点)
結局その後、ヒロインには深く関わることなく逃げた。このような性格になった経緯を回想。その主な内容は被害者との関わりのエピソード
被害者のおかげで真人間に変われそうだったが、上手く行かなかった。(努力が報われない感情移入出来る逸話)※ちなみにこれは物語特有の例のルールのせい。
・二度と変わらないと誓ったはずだが、ヒロインが気になっている主人公。賢者キャラに相談すると、変わるか今のままでいるか選択しろと迫られる。

●死の臭い1
・主人公はヒロインを見かけ、また葛藤していたので悩みを聞く。勢いで自分の気持ちも伝えてしまう。しかし結局は拒絶されてしまう。
※ちなみに一度変わろうとした出来ことと、今回ヒロインが陥っている事件は同じ内容(いじめ)

●背中を押される
・軽く自暴自棄になったまま帰路に着く主人公。途中で知らない人物に会って心配され、背中を押される。その人物はキャラAの支援者だった。

●プロットポイント1
・支援者と別れ、帰る主人公。支援者や賢者、ヒロインに言われたことを反芻し、自分の信念と目的のためにやるべき手段を沸々と決意していく主人公(物語特有のルールを壊し、自己実現を図る)。
怪物誕生の瞬間が描かれる。

35% 2幕へ

●セットアップ2
【S1セットアップ2】
・現在のキャラA視点。
支援者から主人公と会った時の情報を聞くキャラA(前のシーン、自暴自棄になっていた決心する前の主人公)。
【S1作戦】
・聞き取りで得た情報から、身内が鍵を握っていることは知っているので話を聞きに行く(主人公に酷い罰を与えた、提案した本人)
・それとは別に、その身内は主人公にとってのゴーストでもあることを紹介(被害者の弟と比べられ、卑下されている)
・身内から主人公について聞いた内容は、現状わかっている主人公の犯行の詳しい内容やそこに至るまでの経緯、身内が関わった主人公の対応など。さらに主人公と被害者が親友だったことを知る。
【S1アイテムを得る】
支援者から連絡があり、他の被害者からの情報がもたらされる。それは母からもらった新情報をより複雑にさせるようなこと。
【S1ピンチポイント1】
・その話しとは別に、混乱してきたキャラAは自分のゴーストを支援者にぶつけて喧嘩になってしまう(母親の愛情の注ぎ方はおかしいが、それを指摘されて理不尽に怒ってしまう)
そのあと、一人でいる時に襲撃される。犯人(主人公)かと思ったが、違う人物。調べている事から手を引けと言われ、暴行される。いくつか気になるワードを吐いていく。
【S1ミッドポイント】
・その直後、ヒロインから真犯人がわかったと連絡がある。ここで初めて読者に被害者とヒロインが恋人であったことも明かす。

●ピンチポイント1
・犯行当時の主人公目線。
下準備を終えて犯行に出る。この時点で既に主人公と被害者は何故か親友になっている。犯行の全段階の事件を起こし、覚悟をしたはずがやってみるとかなり辛い思いをしている主人公。賢者キャラと関係ない話をしようとすると、何故か自分の正体を知っている。焦って連絡をたつ。

・そこへ被害者が訪ねてくる。なぜ、主人公が事件(自分を殴ったのか)を起こしたのか聞く。主人公は答えない。
その後さらにヒロインまで訪ねてくる。なぜ被害者が今訪ねてきたのかを聞かれる。主人公はヒロインを巻き込まないために、ヒロインを突き放す。
しかしそこで、自分に身に覚えのない犯行まで聞き、何かが別の形で動いていることを知る。

・そして主人公の起こした事件がきっかけで、被害者が死ぬことになる。が、実は主人公ではなく別の人がやったことだと読者に示される。

・賢者キャラが知らぬところで、主人公や被害者を庇わなかった人物を言葉巧みに陥れているシーン(真犯人っぽく映す)

50%

【S1 忍び寄る悪者】
・キャラA視点。
主人公にやられた(と思われていた)ヒロインが意識を取り戻し、キャラAに真犯人がわかったと連絡が来た続き。(面会謝絶だったので、警察にもまだ言ってない)
・これまでの展開が覆されるような証言が出てくる。主人公こそ被害者のような証言。キャラAは情報を整理していく、その時支援者から連絡があり、犯人のいる場所を教えてもらう。真実を確かめるために会いに行く。
・主人公はしらばっくれるが、キャラAが全ての情報から編み出した真実を突きつけると、主人公は認めたような態度を取る。

●忍び寄る悪者
・主人公がキャラAと会うまでのパート。
主人公が被害者を殺したと考えられていたが、主人公はただ自分のせいにされて怯えているだけ。
賢者キャラや両親からも見放され、家に一人きりになる。自分のせいにした人間に心当たりがあり、突撃する(キャラAに最初に情報提供した人間)。詰めが甘く、証拠を残せない。その後も全てが敵になったまま過ごし、やけくそも通り越してこの理不尽と(被害者と)もう一度戦うことを誓う。

・無謀な計画を練っているところに、キャラAの支援者が現れる。真実を支援者にも疑われていると感じて世界か望むように悪役を振る舞おうとするが、支援者は主人公の味方になる。相手の言葉を信じて、キャラAに真実を話してみることにする。主人公の推理では、キャラAにも怪しいところがある。

●ピンチポイント2
・主人公から全く新しい時点で物語の真実が語られる。犯罪のネタばらしパート。色々とどんでん返し。この事により主人公の正統性や事件の全貌がわかる。

●死の臭い
このことにより追い込まれたキャラAの問題が完全に浮き彫りになり、キャラAは身内が危険な目に遭っていると知り急いで帰る。

ほぼ90% 3幕へ

●クライマックスへの準備
・キャラAと身内は無事であることを主人公は知る。元々そのつもりで追い込んでいた。
脅迫的だが二人の協力も得ることが出来、主人公は目的のために最後の作戦へ移る。

●最後の晩餐
・被害者と本気で親友だったエピソードを思い出す

●クライマックス
・主人公は間違ったラストを迎えようとする。ルールを作った張本人(ラスボス)を殺そうとする。支援者が現れ、それは間違いだと阻止する。
・ルールを作った張本人こそ賢者キャラだった。主人公は説き伏せられ、目的は不達成、完全に敗北する。

●エピローグ
・最後、残された支援者と二人で話す。支援者は賢者キャラの身内であり、途中から大体の事を把握していたことや主人公の味方だったことを打ちあける。

・主人公は支援者と話していく内に、被害者(親友)の本当の目的に気づく。自らを犠牲にして、主人公を枷(毒親)から解き放ってくれた。
主人公はその事に気づき、目的は果たせなかったがもっと本当に必要なものを手に入れたことに気づく(自分の人生を前向きに捉えて生きていける)。


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