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【ラノベ新人賞】姫騎士様のヒモ/プロット分析,抽出

●全体の特徴

・大きく4つのサブプロットで構成。
・過去回想が全体の20%占める。
・主人公の実力が隠れているタイプ

●ちょっと感想

・メインプロットがあるようでない構成なんだけど、完成度が高くて驚く。地の文も上手いし、綻びがない。全体的においおいこれで新人かよってレベル。さすがは電撃大賞。

・賛否両論あるっぽい主人公。理由は多分、共感できる部分が少ないからか。クズ系の主人公は割と多いが、コメディ向けだったり、どこか愛嬌のあるキャラクターがほとんど。でもこの作品の主人公はあまり共感できる部分がない。
たまに人助けはするが金や女性関係は普通にクズで、人も躊躇なく殺せる。生き方にあまり誠意がなく、アウトロー的な格好良さはあるが応援したいとは思えない。
どちらかといえばキャラの立っている敵の幹部や、癖のある味方、という立ち位置の性格。ただその親しみのなさも記号的なキャラだからではなく、元冒険者で~と納得のいく設定があるのがまた作者の凄い所。

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※●はメインプロット、Sはサブプロット

●掴み
・主人公とヒロインの特別な関係を見せつつ、ヒロインに弱みがあることを仄めかす。主人公の問題も見せる。そのせいでさっそく誰かと対立する。
ヒロインは仕事へ、主人公は遊びに出かける。

●セットアップ1
・主人公はヒロインから庇護を受け、日常を暮らしている。とあるキャラと関わりながら、世界特有の病気があることの説明。主人公のゴーストもチラ見せしつつ、簡単な人助けもしてキャラクターを見せていく。

【S1 インサイティングイベント】
・身に覚えのない因縁を何回か付けられ、何かあると勘ぐった主人公は知っていそうな友人のもとへ訪ねる。そこでも情報を得る前に一悶着ある。どこにいっても嫌われている主人公。

【S1 準備】
・そこで得た情報をもとに、自分を狙ったらしい相手の元へ向かう。主人公らしいやり方でその相手を問い詰め、真犯人を突き止める。

15%

【S1 作戦】
・真犯人にどう迫ろうか作戦を立てたり実行にうつしたりしつつ、ヒロインの帰りに備える。ヒロインとの日常を終えたあと、真犯人の元へ。

【S1 ピンチポイント1】
・真犯人はヒロインのためを思って主人公から解放しようとしていた。これは自己満足かつ勘違い。主人公はここまで一般人を演じてきたが、ここで初めて本当の力を見せて敵を簡単にねじ伏せる。
・力が出せない理由や、主人公のゴースト、伝説的な有名人だった過去などをここで紹介。
何事もなかったかのようにヒロインの元へ戻り、ヒロインとの日常を続ける。

25%

●インサイティングイベント
【S2 依頼】
・主人公に知人から依頼が入る。主人公が適任とされる依頼内容(稼いでいないのに相方の羽振りが良い)。依頼対象に話を聞くと、違法ではないが危なそうなことをしている。ここは世界観や語彙説明も兼ねる。

【S2 アイテム(情報)を得る】
・帰ってヒロインにその事を話すと、依頼対象も被害にあっていそうなきな臭い事件を聞く(偽札事件)。
・事件な首謀者と噂されている友人のもとへ。主人公は対立を起こしつつも友人を庇う。そこへその組織のトップが現れてその場を納める。

【S2ミッドポイント】
・友人は主人公の過去からの知り合いであることが読者に知らされる。友人にこの事件のことを聞くが知らない。しかしとあるヒントをくれる。
・そのヒントをもとに依頼対象の元へ。事件が出来そうな職業についている(偽札を作れてもおかしくない)
・一般人の相手に大それたことが出来ないと思い問いただしてみると、裏に首謀者がいることを知る。主人公も知っている大きな組織。
・上手く動いて依頼対象を救いつつ、組織を壊滅に追い込む(ダイジェスト)

●準備
・依頼がうまくいき、依頼主から報酬のアイテムをもらう。依存症なになるような危ないものが世間に出回っていることも知る。
・終わった事件について、日常にてヒロインとの話していると、妙に様子がおかしいことに気づく。ヒロインの葛藤を紹介。成果が出せず、主人公と離れるように言われているようなこと。主人公は主人公らしくヒロインを励ます。

【S2 忍び寄る悪者】
・主人公は依頼対象が普通に過ごせるように後始末をつけにいく。壊滅した組織の残党を見つけ、無効化していく。その際に世間へばらまいている依存症の出所を聞く。
【S2 ピンチポイント2】
・後始末が片付いたところで、とある人物が登場する

50%

【S3 セットアップ1】
・主人公とヒロインが出会あった過去の話。現在と似たような生活をしているが、ヒロインではなく別の人物が相棒。その相棒は同情を誘うような職業について、健気に頑張っている。

【S3 インサイティングイベント】
・ヒロインと出会い関わりを持つも、ヒロインの仲間から主人公はやめておけと断絶されてしまう。
・主人公の日常で関わりのあるキャラ、友人との簡単なエピソード

【S3 ピンチポイント1】
・後日人気のない場所でヒロインを見つける。つけてみると何やら誰かと揉めていて助けにはいる。助けるが、ヒロインが何をしていたか見破っている主人公。

【S3 ピンチポイント1リアクション】
・依存症になるようなものに手を染めていた。それをやめさせるために、話を聞く。やめさせるようなアイテムも渡す。話す内容のなかで、ヒロインの問題とは別に誰かを助けようとしていたことが判明。依存症のものを捌く組織が友人に危害を加えているという。

【S3 忍び寄る悪者】
・ヒロインと別れた直後、日常で関わりのある友人がヒロインの友人でもあると判明、依存症のものを捌く組織が目の前にある全ての問題の根元だと知る。
・焦る友人を宥め、組織をどう黙らせるか考える主人公。
【S3 ピンチポイント2】
・家に帰ると相棒が泣いている。何かあったか聞くとお金欲しさに悪いことをしたという。それが主人公の友人を組織に売った内容で、主人公は何処にいったかだけ聞き、相棒を見限るように出ていく。
・単身で組織へ向かおうとすると、ヒロインが手を貸すという。危険なので連れていくことを躊躇するが、ヒロインのゴーストに関わる決意を聞いてお供してもらうことになる。

60%

【S3 死の臭い】
・危ない目に遭うが、ギリギリで目的を達成する。ヒロインと絆が深まる。

【S3 闇夜を彷徨う】
・主人公は遅くなって家に帰るが、相棒は捨てられたと思ってどこかへ消えてしまっている。どうしても見つからない。諦める主人公。

【S3 プロットポイント2】
・ヒロインを呼び出し、無茶をさせないように世間の現実を見せる。その後ヒロインと一緒になっていくような展開を予想させて、シーンが(過去の回想が)終わる

●死の臭い1
・回想前のとある人物は過去に出てきた相棒だった。組織ぐるみで捕らえられてしまう。

70%

【S4 ピンチポイント1】
・相棒が所属していたボスはヒロインであり、人質として連れてこられた。依存症のあるものにどっぷり漬からされている。ヒロインは次期王位的な権力を得る存在であり、聞くことを聞いて始末したい。
・主人公は濡れ衣をきせられ、依存のあるものの在処を聞かれる。が、当然知らないので拷問に遭う。
・変わり果てた相棒(過去回想で出てきた友人と大切なものを殺している)と揉めているところ、ヒロインが駆けつける。ボスと因縁の会話をしつつ、戦闘になる。ヒロインは作中で出てきた仲間を引き連れていて、組織に引けを取らない。
・主人公は相棒との一騎討ちになる。力が出せる状態に持ち込み、相手を倒す

80%

【S4 クライマックスへの準備】
・組織を倒したヒロインや仲間達と合流。しかし敵が切り札を出してくる。その切り札は過去回想でも出てきたヒロインのトラウマ。

【S4 クライマックス】
・主人公や仲間が応戦し、ヒロインの攻撃を待つ。主人公はヒロインの背中を押し、ヒロインはトラウマを立ちきるようにその切り札を打ち破る。

82% 3幕へ

●忍び寄る悪者
・解決して日常に戻ってくる。この事件についてそれぞれの変化を見せる。主人公はまだ一つ残っている問題の解決を探している(前の組織が探していた、主人公への濡れ衣の出所)
主人公はとある場所で手がかりを掴み、相手を問いただしにいく。
その相手は依頼対象で出てきたキャラ。悪気はなかったが、主人公は信念にに反することをされたため成敗する(殺す)。
・他にも出所があり、そこへ向かう。

●死の臭い2
・そこでも一悶着あり、ヒロインを守るために非道を行う。そして依存症のものを奪う。
・実は濡れ衣は事実であり、依存症のものはヒロインを助けるアイテムの素材だった。誰にも知られてはいけない秘密かつ、主人公はそれを所持していたい。
※殺した二人は依存症のものを捌く裏組織がやったと思われて当然なので主人公へ疑惑が向かない

90%

●闇夜を彷徨う
・二人の死を弔うなにも知らない世間。主人公は一人抜け出す。そこで枷を与えたキャラの使者が出てくる。

●クライマックスへの準備
・これまでのできごとは主人公への試練だったという。罪悪感などを感じていた主人公はふざけるなと楯突く。従う従わないで決闘が始まる。

●クライマックス
・死闘の末倒す。主人公は今までの自分が逃げ腰だったことに気付き、これからは徹底して枷に対抗することを誓う。

●エピローグ
・過去回想の続き。現在視点で殺した二人との仲が良さそうなシーンのあと、ヒロインと再び関わる。
・ヒロインと完全に今の関係になるまでが語られる。

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