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【ラノベ新人賞】忘れえぬ魔女の物語/プロット分析,抽出

●全体の特徴
・内観多め。
・全体の65%くらいまでセントラルクエッションはないが、「枷」(付きまとう不安)が強烈なので見ていられる。
・問題の解決は自己実現型的(頑張った結果、周囲が助けてくれる)

●ちょっと感想
・お頭! ガチ百合です!

・「百合」「魔女」「タイムリープで何度も助けようとする」「片方はクールで片方が明るいキャラ」と揃うと、某魔法少女が思い浮かぶ(百合じゃないけど)。タイムリープ、タイムトラベル系は大体未来に壊れる何かを救う、って展開になるか。わかりやすいし共感も得やすい。

・三幕からはシュタインズゲート的な展開になっていくけど、毎回自殺しなければならない分シュタゲよりも悲惨。主人公のメンタルが人間じゃなくなっていくのも納得いく。

・終盤の「やるぞ」→「ダメだぁ……」→「いややっぱりやる!」→「やっぱダメかも……」の流れが丁寧。そんな簡単に解決できない説得力がある。

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●掴み
1ページ目で「気になる謎」。その後ヒロインと邂逅し、惹かれる魅力があることを紹介。
謎がなんだったか明かし、それが主人公の特性や枷、そして悩みであることを紹介(主人公は時間をループしていて、進まないわけではないが同じ日を何度も過ごす。知り合いができない。自分だけが覚えている、など)

●セットアップ1

・主人公にとって、ヒロインは珍しい存在。嫌われている自分に対し、ちょっと違う反応をするヒロインに少し惹かれている。枷のせいででけいなかった、初めての存在(友人)。

・主人公のゴーストを説明と逸話で紹介。

・支援者キャラ紹介。唯一枷のことを信じてくれる存在。関係性と、ヒロインのことも話す。意味深な反応。ヒロインと今後の展開が少し予測できそうな伏線(恋人関係)

・ヒロインが主人公の枷のせいで虐げられているところを目の当たりにする。関係性が変わらず主人公は安心する(これも初めてのこと)

12%

【S1 作戦】
・ヒロインとより仲良くなってみようと行動を開始、とある練習をする(髪型のセット)
・いざ関わろうとするが出鼻をくじかれる。最初はうまく行かないが、作戦は成功する。

●インサイティング

・ヒロインが主人公と同じ枷(能力)を持っていそうな言動を見せる。(未来予測、魔法使いになるんだ発言)

18%

●問答
・ヒロインの発言についてもやもやしている。少しずつ仲良くなっていく
・逸話と、やはりヒロインが枷の素質がありそうな雰囲気

●死のにおい1(問答自体とはあんまり関係ない)
・支援者が死んでしまうが、主人公の枷の良い部分で生き返る。主人公はこのイベントで死を強く意識することになる+枷の矛盾を発見する(自分が死ぬ日、死なない日があって、死なない日が選択された場合、一度死んでいる自分はそれをどう自覚するのかという矛盾)
→PP2やクライマックス付近の伏線

26%

※たぶんこの辺から二幕入り。

●セットアップ2
【S2 セットアップ1】
・新キャラ登場。(以下キャラA)枷のせいで最初良かった仲が悪くなっている、過去のエピソード。
主人公の枷による特技でキャラAの同じ特技を凌駕し、嫉妬される。(絵が上手い)

【S2 インサイティングイベント、死の臭い1】
・とあるイベントで特技についてやることになる。ヒロインと行っている最中、嫌がらせで絡んでる。キャラAがヒロインをおとしめるので、主人公は返り討ちにする。
しかし熱が入りすぎてやりすぎてしまい、ヒロインに失望される(枷のせいで何度も嫌がらせを受けたので、ヒロインにとっては過剰防衛に見える)。

33%

【S2 問答】
・やはり自分には、枷のせいで人付き合いはムリだったのだと後悔している。さらに体調を壊す(直前伏線あり。雨に濡れている)。支援者が助けてくれる。

●ピンチポイント1
・支援者の介護中、ヒロインが見舞いに来てくれる。ヒロインのキャラAへの仕打ちを理解してくれようとしているのを知り、感動した勢いで自分の枷を話してしまおうとする。そのとき買い物に言っていた支援者が帰ってくる。
・コミックリリーフで和ませつつ、支援者が喋ってしまい、ヒロインは主人公の隠していたつらい境遇を初めて知る(親に勘当されている)

40%

【S2 プロットポイント1】
・しかし枷のせいでその話はなかったことになる。ただし仲直りはできる。そのときに再びヒロインの、主人公と同じ枷っぽい能力を聞く。が、定かではない。

【S2 お楽しみパート】
・支援者と出かけたときにヒロインと出会い、主人公を取り合ってバチバチやり合う。ここでも枷に関係ありそうなヒロインの伏線がある(天気の予知能力)

47%

●忍び寄る悪者
【S3 インサイティングイベント】
・ヒロインに言い寄る別の人物。主人公は気になって仕方がない。
それとは別に、枷の効果でヒロインに危険が迫っていることを知る。それを避けるにはその言い寄る人物のところへ行くことを回避しなければならない(地震が起きて呼び出された場所で怪我する可能性)

50%

【S3 準備】
・主人公はヒロインを助けるために、初めて周囲と向き合い、自ら行動を起こす。※半分過ぎてから能動的に。
主人公は周囲から変に思われるが、ヒロインだけは訳を聞こうとしてくれる。二人きりになり、仲がより深まる(名前呼びになる)

・ヒロインを助けることが出来、仲も深まったが、行動を起こしたことにより主人公の枷が周囲にばれて、主人公の恐れていた事態が起きそうになっている(地震を予言して当てたので、魔女と呼ばれ怖がられる、忌諱される)

56%

●ピンチポイント1
・支援者がヒロインと仲良くなったことに難色を示す。枷のせいで傷つくかもしれないと。
その勢いで支援者の腹のうちを知ることになる。主人公の決定的にだめなところを指摘され自覚させられる(主人公の「need」)

60%

〇ピンチポイント1のリアクション
・少し日が経つが、主人公は支援者に言われたことがずっと引っかかっている。ヒロインがそれを気にして、二人で話す。
接近するきっかけがあり(というかそうなるような展開)、互いの気持ちの腹を割り、二人は結ばれる。
※悪い事の前には良いこと。

65%

●死のにおい
・主人公のせいで(枷のせい)でヒロインが死に瀕する(結ばれた日は採用されず、へこんでいたところにヒロインがきた。帰りに事故って死ぬ)
冒頭の支援者の時とは違い、枷のいい部分で防げない。

※こんな都合良く交通事故に何回も巻き込まれるか? という疑問は、設定的に回避されている。運命には抗えない的な、何をしても死ぬやつ。

68%

●闇夜を彷徨う(食らいつく系)
・なんとかしようと支援者に相談。薄々感じていた支援者の正体を問いただしてみる。自分と同じかそれ以上の能力。
最初の「死のにおい1」で支援者が死んだとき、おかしな点があり、その推理をつきつける。(死んだはずの支援者がなぜか生きていた。ないはずの一日を採用したんのではないか)。
その推理が正しければ、ヒロインの死をなかったことにできる手がかりになる。

・支援者は自身が主人公と同じような存在だと初めて認めるが、持っている能力はそこまで万能ではない。
支援者はヒントを出し、協力もしてくれる。主人公は支援者のちょっとした悪魔的な誘いには乗らず(今日はなかったことになるから何でもできるよ)すぐにヒロイン救出に向かう。

72% このへんから三幕開始。

●クライマックスの準備
・決意を決めるリアクションを少ししてから、救おうとがんばる。が、失敗。身を犠牲にしてやり直しを何度も繰り返す。シュタゲ展開(毎回自殺する分シュタゲより悲惨)。

75%

●新しい価値観への攻撃(からの問答3)
・どうしてもムリで、あきらめかけているリアクションパート
・主人公は間違った方向に楽になろうとしていく(ヒロインは死に続けるが、あえるので永遠に明日はこなくていい)。
・そこに、ヒロインが背中を押す。伏線であったヒロインの隠された能力(主人公の枷に関係していそうな能力、デジャヴ)により、主人公の現状をようやく理解する。

・ヒロインは自らの能力をようやく思い出し、語る。なぜ思い出せたかの説明と、この事により今まで耐えてきたことが無駄でない、ヒロインを救う可能性を見いだす。
(未来からタイムリープしてきたヒロインで、ということは生き延びる明日がくる可能性が少なくともある)

80%

【S4 死の臭い】
・死ぬはずの現在へ、毎回未来から助けに来てくれる(中身は未来の)ヒロインへ、主人公は泣いて複雑な思いをぶつける。(助けに来てくれることはうれしいが、死なないで欲しい)

85%

【S4 闇夜を彷徨う】
・新しいヒロインと運命にあらがい続けたが、さすがに精神の限界がくる。(二年くらい繰り返している)。ほとんど手遅れの状態にまで陥り、ほぼ何もできない精神状態になる。

・支援者が主人公の背中を押すきっかけになる。憔悴しきった主人公へ支援者が思いをぶつけ、それにより主人公はヒロインをあきらめて闇落ちしそうにないるが、なんとか復活する。

【S4 プロットポイント2】
・支援者はその様子を見て根負けし、最後の手段を教える。しかしそれには主人公の代償がいる。これまで努力してきた経緯が全てなかったことになる。
代償を追わなければならない説明。
支援者に全て任せ、主人公は代償を背負う覚悟をしてラストチャンスを迎える。

93%

●クライマックス
・何度も繰り返した災難の日。主人公は代償により何も覚えていないが、体が覚えている。
そして知らぬ間に災難を乗り越える(これまでの災難と同じシチュが何度も起こるが、悲劇だけ起こらない)。
最初に災難が避けられた瞬間から、いつの間にかヒロインはループ中に出会った未来のヒロインになっていて、大丈夫だよと背中を押す(未来のヒロインになっているのは読者しか知らない)。

・主人公が災難を乗り越えたことを、読者とヒロインと支援者だけが知っている。

97%

●エピローグ
・この一件が転機になり、主人公は枷を忌み嫌うことを少しやめる。ライバルをほめたり、枷の能力を使って人助けすることでその成長を見せる
(繰り返すからあきらめていた→繰り返しても何度でもやろう。この変化はループを繰り返した経験があるので説得力ある)。

・ゴーストの解決もあり(親との和解)
※これはちょっといきなり感あり

終幕。

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