【映画レビュー】「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」(2019年) 〜少年は憧れを超えられるのか?そして、かってない最大の危機が〜
【はじめに】
本作はMCUスパイダーマンシリーズ2作目ではありますが、MCUシリーズ「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(2018)」、「アベンジャーズ/エンドゲーム(2019)」の続きであるため、この2作を観ておく必要があります。
【ファー・フロム・ホームまでの道】
※MCU映画シリーズ「アベンジャーズ/インフィニティウォー」と「アベンジャーズ/エンドゲーム」の重要なネタバレが含まれております。
【アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー】
全宇宙の脅威・サノスが出現。
かってない地球の危機に立ち向かうアベンジャーズ。
ピーターはトニー・スターク/アイアンマンから、ナノマシン技術が搭載された新型のスパイダーマンスーツ『アイアン・スパイダー』を与えられ、この戦いに参加。
だが、サノスは6つ揃えると、どんな願いでも叶える謎の石『インフィニティ・ストーン』をすべて手に入れ、全宇宙に存在する生物の半分を消滅させてしまう。
その影響でメンバーの半分が消えたアベンジャーズは敗北。
ピーターもインフィニティ・ストーンの力で消えてしまう……。
【アベンジャーズ/エンドゲーム】
それから5年後……。
残ったアベンジャーズの活躍により、サノスによって消滅した生物すべてが復活することに成功。
ピーターも復活し、アベンジャーズ総動員でサノスとの総力戦に挑む。
戦いの末、アイアンマン/トニー・スタークはインフィニティ・ストーンの力を使い、サノスを倒すことが出来たのだが、その代償として命が尽きてしまうのであった……。
「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」(2019 アメリカ 129分)
監督 ジョン・ワッツ
脚本 クリス・マッケナ、エリック・ソマーズ
出演 トム・ホランド、サミュエル・L・ジャクソン、ゼンデイヤ、コビー・スマルダーズ、ジョン・ファヴロー、ジェイコブ・バタロン、ジェイク・ジレンホール
【あらすじ】
巨悪サノスとの戦いには勝利したが、トニー・スタークの死去、キャプテンアメリカことスティーブ・ロジャースの引退でアベンジャーズは二つの柱を失ってしまう。
ある日、アベンジャーズ司令官のニック・フューリーは調査中に巨大な怪物に襲われる。
すると、そこにニューヒーロー・ミステリオが現れ、フューリーを助けるのであった。
ミステリオはエレメンタルズと呼ばれる巨大な怪物たちに故郷の星を破壊され、家族を失った異星人。宙を舞うことができ、様々な超能力を使って戦う。
そして、ミステリオは今、地球にエレメンタルズたちが迫っていることをフューリーに告げるのであった。
一方。サノスが起こした指パッチン事件(インフィニティ・ストーンを使って、サノスが全宇宙の生物半分を5年間消した事件の名称)で世界は変わっていた。
5年間消えた生徒は消える前となにも変わらず、消えずに5年間過ごした生徒は成長。
下級生が上級生に。
弟が兄よりも歳上になると言う問題が起きていた。
アベンジャーズとしてサノスとの戦いを乗り越えたピーターだったが、心の支えであり、憧れの存在だったトニー・スタークを失ったピーター。
彼には、もうすぐヨーロッパ行きの修学旅行が控えていた。
同級生のミシェル・ジョーンズ(MJ)に気があるピーターは、彼女と仲良くなるために様々な計画を立てるのだが……。
辿り着いた修学旅行先で、エレメンタルズの一体が出現。
そこにやってきたミステリオと一緒に戦い、危機を逃れるピーター。
その日の夜。ピーターはフューリーからの呼び出しを受け、エレメンタルズという怪物の存在で地球に危機が迫っていることを知らされる。
フューリーから新ヒーロー・ミステリオと一緒にエレメンタルズの駆除を命じられるピーター。
それと同時に、ピーターはフューリーからトニー・スタークが開発した人工知能「E.D.I.T.H.(イーディス)」搭載の高性能メガネを渡される。
このメガネは人工衛星を介してスターク社のデータベースと繋がっており、AIに命令するだけで舞台などのチケットの入手や、電子機器へのハッキング、ミサイルの発射などが出来てしまうメガネで、まさにトニー・スタークがピーターに残していった遺品だった。
ピーターは楽しみにしていた修学旅行の最中だったので命令を断るも、様々な手段を使ってフューリーはピーターを戦わせようとするので、仕方なくピーターは修学旅行中にエレメンタルズと戦うことに……。
エレメンタルズと戦うピーターだったが、中途半端な気持ちで居たためか、戦いも冴えず、旅行中もイーディスを誤作動させてしまい、様々なミスをやらかしてしまう。
あまりの自分の不甲斐なさに落ち込むピーター。
とうとう、フューリーからも見限られてしまう。
そんなピーターを優しく慰めてくれるミステリオの姿にトニー・スタークの面影を感じたピーターは、ミステリオこそが真のヒーロー……トニー・スタークを継ぐ者にふさわしいと思い、イーディスをミステリオに渡してしまう。
だが、この展開こそ、ミステリオが仕掛けていた恐るべき罠だった……。
【ここから先は本編の重大なネタバレが含まれております】
実はミステリオはただの人間であり、異星人ではない。
スターク社をクビになり、トニー・スタークを逆恨みしているホログラム映像の技術者だった。
ミステリオが超能力を使う姿も、現れるエレメンタルズもすべてがホログラムの映像。
ミステリオの仲間たちが操作する大量のドローンを使い、それにホログラム映像を被せて、超能力と怪物があたかも実在するかのように演出していたのだ。
ミステリオの目的は、トニー・スタークがピーターに託したイーディス。
つまり、スターク社を奪うことだった。
自作自演の芝居を成功させ、ピーターとフューリーを欺き、イーディスを手に入れたミステリオ。
彼の作戦は成功したかに思えたが……。
修学旅行に戻り、MJとの距離を縮めるピーターだったが、あるキッカケでミステリオがペテン師だと気づく。
ピーターは急いでミステリオを止めに動くのだが、果たして彼はスターク社の技術を手に入れたミステリオを止められるのか?
【感想】
本作は、アベンジャーズシリーズがインフィニティウォー、エンドゲームで一つのピリオドを打った後の作品だったので、ファン的には燃え尽き症候群になっていた時期の作品……。
だからか、本作は過去作と比較すると、若干の物足りなさを感じてしまう……のですが、ラストでとんでもない大どんでん返しが。
ラスト。ミステリオを止めることが出来たピーターだったが、ラストシーンでミステリオが仕掛けていた真の罠が発動。
ピーターは一気に地獄へと転落。
予想だにしなかった衝撃の引きで映画は終わってしまう。
本作でのピーターはトニー・スタークという憧れの存在を失い、道しるべを失っていた。
誰にも頼れないピーターが精神的な意味で自立するまでの戦いを本作は描いたのだが、ミステリオのとんでもない罠にかかって、最大のピンチに陥ってしまう。
ピーターの運命はどうなってしまうのか?
すべての物語は『ノー・ウェイ・ホーム』へと収束する……。
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