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34.「失敗ショック」と「怠け心」と「甘やかし」と。

ショック後、急に怠け心がもたげてくる。朝活を2日連続でサボったり、土日の副業も完全にサボり自宅でゴロ寝。意外にダメージになっているのだ。「頑張ったのに報われなかった」という一撃如きで、折角改善していた生活習慣が崩れ始めていた。

家事もいい加減になり、自分で作ったリストを実行しなくても「ヤバイ」ではなく「まあいいや」になってしまった。そして、ついには朝活をサボって二度寝した時に、会計事務所のバイトに遅刻してしまったのだ。

所長の関口先生からは特に何も言われなかったし、同僚で仲良しのおばちゃんから「あれ?あんた大丈夫?」と心配されただけで特にお咎めは無かった。だが、高山に「今日遅刻しちった」とメールで報告すると、昼過ぎに電話が掛かってきて、高山にしては珍しく厳しめに注意された。

俺も、「これはヤバイ」と思い、その日の夜、本多さんに連絡して最近の怠け状況を報告しアドバイスを求めた。

本多さんからは慰められた。

「田島さん、そんなもんですよ」
「そこで諦めずに、元に戻ろうとすればOKです」
「じゃあ、今週はリフレッシュ週間にして、バイト以外は全部サボりましょう。夜も外食で楽しましょう。で、リフレッシュしたら、また挑戦しましょうね」

言われた通りしてみた。すると翌週から、普通に元に戻った。

高山や本多さんの存在は本当に大きい。人間、些細な事でこうも左右される。改めて俺の内面の弱さを認識した。これからは俺の内面の弱さを織り込んだ上で、色々な人に支援を受けながら、諦めずに何度も挑戦しよう。

本多さんからも「自立ってのは1人で何でもやる事では無いですからね」と言われたが、俺など、大体ダメな人間だったんだから、支えがあって克服してきた人間なんだから、そこは堂々と支えてもらおう。多分、調子に乗ったな。気をつけねーとな。

だが、この後、もう一つの弱さが露呈する。関口先生の事務所でバイトするようになってから、ハイエナコさんのお店で出会った同年代の女性と懇ろになる。とは言っても、しばらくは、ただ仲良しってだけだった。

だが、俺がインフルエンザに罹り寝込んだ際に、(間違い無く先生の事務所の通称タコさんに感染された)毎日仕事終わりに内まで来てくれて、看病から家事までやってくれたのをキッカケに、曖昧なままではあるが、事実上の交際状態になった。

本当に面倒見の良い人で、以後も内に来ては、身の回りの世話などをしてくれるようになった。すると、途端に怠け癖が復活し、朝活も副業も事実上ストップ。さらに、お腹周りが見る見る太くなり、何をするにも面倒臭がるようになり、家事もどんどんいい加減になっていった。

どうやら、甘やかす人が居ると、堕落してゆく性格らしい。ベルトの穴が2つ移動した段階で、ハイエナコさんに相談した。

ハイエナコさんのお店に2人で行った時、ハイエナコさんが間に入る形で俺の事情を説明した。彼女を傷つけないよう細心の注意を払い、あくまで俺が悪いという線を外れないよう説明したのだが、彼女から戸惑いの表情で「私はどうすれば良いの?」と聞かれ、答えに窮してしまった。

ハイエナコさんの援護を受けながら、とにかく誤解されないよう説明をしたものの、彼女には理解してもらえなかった。

どうも、彼女の愛情表現が献身(実際は甘やかし)に偏っているみたいで、結局、俺の説明は、彼女が自身の美徳だと思っている面を否定する形になってしまったみたいだった。2人の関係はスグに上手くいかなくなり間もなく終わった。


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