０８：酒乱トラブルと壁際正座組

５年目の夏の納会の時だった。普段からムカついている課長が居るのだが、コイツが俺の同期の女性スタッフさんの胸元に焼酎の氷を何度も何度も入れるという今も昔もアウトなセクハラをしつこくしつこく繰り返していたのだ。

それも、「課長やめて下さい」という女性の強めの抗議に課長が腹を立て、「何だ君、それが上司に対する態度か！」などとやったものだから、つい俺も腹を立ててしまい、課長に冷やし中華をぶちまけてしまったのだ。

その後、別の先輩と揉み合いになり、揉み合いの末に、お店の内装工事で後から作ったであろう個室の板の壁を破壊。いつもは喧嘩を煽る社長も、この時ばかりは怒鳴っていた。が、そんな社長にも俺は噛みつき続け、最後は同期の仲間に羽交い締めにされ外に連れ出された。

当然、弁償の責任を負わされた上で、１００％俺のせいにされ解雇される事になった。

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後日、お店に謝りに行ったら、同情され「お金は要らないから」と言われた。

店長によると課長は過去にもお店の女性スタッフにセクハラ発言を繰り返すなどしていたそうだ。店長も何度か注意した事があるらしいが、「常連で売り上げに貢献してくれているから、背に腹は代えられない」という理由で強く言えなかったそうだ。

俺は「自分は悪く無いだろ」くらいに構えていたが、こんな風に優しくしてもらえると、何か逆に反省しようってこの時は思えた。ちなみに当時、元妻からは一応は同情されたが、本音は違う所にあったと思う。

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その後、派遣会社の紹介で不良ブラック企業に派遣される。クソ安月給なのに奴隷みたいな扱いで延々と扱き使う会社（スポーツ系の商品を売る会社）で、出社２日目にして、売り上げが悪いという理由で店長がバックヤードでブラック管理職にドツかれる姿を目撃。

俺が派遣されてから３ヶ月で、俺より後から派遣されてきた人が次々と辞めていくような職場で、THEブラック企業だった。

毎週開催される飲み会も異様だった。

我々ぺーぺーはお座敷の壁際に正座か立て膝で待機させられ、担当の管理職に対して付き人的な動きをする。グラスが空に近づいたらスグにお酒を入れる、煙草を出したら火を点ける、料理が届いたら取り皿に取り分ける、器が空いたら急いで下げる、少しでもヘマをすると、怒鳴り声や物が飛んできて、懺悔と称した一気飲みが始まる。

この一気飲みも、そこら中にあるお酒、いやお酒だけでなくおでんの残り汁や、しょうゆなどがチャンポンされ、ジョッキならまだマシな方で、酷い時は花瓶や謎のプラスチックの箱で飲まされる。

１時間くらい経つと座のトップの「無礼講」という声で、やっと食にありつけるようになるのだが、管理職の残り物なのは言うに及ばず、机で食べる事も出来ず、皿に食べ物を載せたら、後ろに下がり、壁際に座って食べるという時代錯誤ぶり。

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当然、俺が揉めないはずが無い。

ある飲み会で、俺が一気飲みのターゲットにされる。何をやっても怒鳴られる。グラスが空になってから引き取りに行っても怒られる、グラスに少し残った状態で引き取りに行っても怒られる。器の盛り付けも、どう盛り付けようが「盛り付けもマトモに出来ないのかよ」と怒られる。５度の一気飲みのアルコールが回ったせいもあって、いつもの酒乱が発現。

ブラック管理職が、アルコールの影響で眠そうにしている俺に、机の上にあった胡椒の入れ物を投げつけてきたのだ。これが、運悪く顎の辺りに直撃。これで、俺はブチ切れてしまい、ピッチャーの底に残ったクラッシュアイスを頭の上からぶっ掛けてしまったのだ。

当然、ブラック管理職はブチ切れる。その数倍ブチ切れ返して取っ組み合いの喧嘩でボコボコにしたところ即日クビ（正確には契約解除）。

もっと、詰つめられるかと思ったが、俺のブチ切れ具合が異様だったのと、この一件が壁際正座組に勇気を与えたらしく、その後連携して猛抗議と待遇改善のボイコットが始まる。

結局、俺がクビになってから半年後くらいに、その会社は別のスポーツ系の会社に吸収合併され消滅した。

＜続く＞