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07:ダークグレーな会社のブラックなストレス

就職後、仕事の成績は上々だったと思う。1年目にして営業成績で、かなり偶然と幸運が重なったお陰はあるものの、2度も月間トップに輝く。2年目も1度、月間トップに輝いた。

ただ、なぜか先輩達からは疎まれた。いや、俺だけでは無い。俺の2コ上の優秀な先輩も疎まれていた。言い方は悪いが、通常の大卒社会人のレールから零れ落ちてきた人間達の集まりだからか同僚達の嫉妬心が半端ないのだ。

特に俺が入社した会社は酷い会社で、同僚達からの仕事の妨害などは日常茶飯事。

営業先に流言飛語。別の同僚に「田島がお前の悪口言ってたぞ」といった嘘の情報を流す奴もいた。でも、そんなクソみたいな職場環境でも、この頃は頑張っていたと思う。

就職して3年目。

営業先の美容サロンで出会った女性と結婚した。今思えば俺の人生で一番幸せな時期だったと思う。この時は、絶縁中の母親より、絶対に幸せになってやろうと思ってた。

当時は、まだまだ男子厨房に入らず的な雰囲気が残存していた時代だったが、俺は営業先でもあった料理教室に通って最低限の調理が出来るくらいには努力した。

だが、殺伐としたダークグレーな会社でのストレスが次第に俺を蝕んでゆく。当初順調だったフリーペーパー事業も、競合が激増した事で、売り上げが落ちダークグレーだった労働環境がブラックへと変貌してゆく。

休日出勤が常態化というより、ほぼ強制になり、土日も営業している店舗などに営業に行かされる。広告単価が下がったのに、ノルマを増やされた為、平均すると今までの1.3倍の件数を達成しないと、特別成果報酬がゼロになるようになった。

すると、ただでさえ社内の雰囲気が悪いのに、さらに悪くなっていった。ギスギスした社内の人間関係。自分だけ良ければOKという連中の集まり。

手柄の横取りで殴り合いの喧嘩に発展する事もあった。加えて、端から1年間でインセンティブ含めて稼ぐだけ稼いでドロンするつもりのクソ社員が転職してきて、自らの営業成績を上げる為にクライアントを騙すような行為を平気でやった為、その謝罪行脚で大変な時期もあった。

そのストレスは、俺の場合、酒量に影響した。元々酒乱気味だった俺だが、酒量増と共に、酒乱の乱具合がどんどん悪化していった。要は酒の上でのトラブルが頻発するようになったのだ。

会社の強制的酒宴の場など、ほぼ毎回修羅場状態だった。毎回のように社員同士で殴り合いの喧嘩が勃発する。俺も含めクソ人間の集まりなのに変に正義感が強い奴が多い。それも大抵間違った正義だったりする。

社長や副社長がいわゆる経営陣というよりかは、どこぞの格闘流儀の師範と師範代のような存在で、「揉め事と喧嘩は会社が元気な証拠」みたいなノリなのだ。

だから、特に副社長が酷いのだが、「おいお前、この前あいつが、お前のこと裏で●●って言ってたぞ」と火に油を注ぐような事を言って、むしろ揉め事と喧嘩を煽る。

それも、大抵副社長の発言は嘘で、でも、いわば師範代の言う事は絶対だから否定する事も出来ない。私も何度、心当たりの無い副社長の嘘により、先輩社員と揉めた事か……。

他にも、同期の仲良しに対する侮辱にブチ切れ先輩と大喧嘩。上司から面と向かって「俺はお前が嫌いだ!」と言われ腹を立て布巾を投げつけ大喧嘩。修羅場好きの社長が「今時の若者は元気でいいね~」などと高見の見物どころか、喧嘩を煽ってさえいたが、ついに、決定的なトラブルに発展する。

<続く>

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