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26.進むべき道がハッキリ見えてきた。

翌週。葉山にある本多さんの自宅兼事務所に向かった。

逗子駅からバスで20分くらいだろうか。海沿いのバス停を降り、なだらかな坂を上り5分くらいの場所に本多さんの自宅兼事務所がある。

閑静な住宅街で、大型犬を放し飼いしても大丈夫なくらい広い庭を持つ家が幾つもあり、本多さんの自宅兼事務所はそんな閑静で豪勢な住宅街の奥、なだらかな台地の途中にある。

1階部分が車庫(地下1階という扱いかも)になっていて、外観は3階建ての住宅だが、駐車場脇の階段で2階の玄関部まで昇るので、実質2階建てだ。

外壁がシガーチョコレートを並べたみたいなログハウスのような外観になっている。玄関の隣はデッキになっていて、デッキにはパラソル、ハンモック、バランスボールなどが置かれているが、子供のオモチャなどは見当たらないので、奥さんと2人暮らしなのかもしれない。

シガーチョコレートの外壁より、やや明るめの茶色の扉の脇に設置されたインターフォンを押すと、スグに扉が開いた。どうやら、階段を昇る音で俺の訪問に気付いたみたいだ。

「田島さんですか?」
「はい、高山の紹介で――」
恐らく高山が事前に伝えているとは思ったが、今日、ここを訪れる事になった経緯について俺の口から丁寧に説明した。

「これはこれはしっかりした方で――」
どうやら、高山が本多さんに、「ダメな奴なんで失礼があったらごめんなさい」って俺の第0印象を下げておいてくれたみたいだ。お陰で、「高山君から聞いた印象ではもっと変な人が来るかと思ったんですけど、凄いしっかりしていたんでビックリしました」と、第一印象では好印象を得ることに成功した。

ありがとう高山!

本多さん宅は、2層の玄関になっていて、最初の玄関から入ると、右が自宅玄関、左が事務所玄関になっている。左の事務所玄関に案内され中に入ると、外観の印象以上に広いスペースが広がっていた。

20畳~25畳はあるかもしれない。天然無垢の明るい茶色の床板に幅広の腰高窓が特徴で、部屋にはトレーニング器具がゴム製のマットの上に置かれている。

本多さんに聞くと、奥さんがパーソナルトレーナーをしているそうで、週3日横浜にあるジムでトレーナーの仕事をしながら、主に地元のお客さんなどはコチラで個別にトレーニングを提供しているのだそうだ。

その広い部屋の内側に引き戸があり、引き戸の向こうが4畳程度の部屋になっている。天井寄りの高窓から外の光が入ってくるのだが、なぜか外に面してない高窓からも光が……。本多さんによると天窓からの光を利用しているらしいのだが、狭い部屋にも関わらず圧迫感が全く無い。

面談は50分程だった。高山と何度も俺自身の問題について話し合っていたからだと思うが、「現状認識はしっかりしてますね」と誉められた。今後はビジネスコーチングをメインにしながらも、生活カウンセリングのような事もしてもらう事になった。

本多さんからも「目標軸を通す事で生活改善が出来るタイプのようですね」と言われ、起業に関しても、いきなり会社を辞めて起業ではなく(まあ派遣だけど)、副業からスタートして起業を目指していく形になった。

要は、働きながら空いている時間で副業に挑戦し続ける事で着実に積み上げていく、副業の成果が一定ラインを超えた段階で起業へ。そういう流れで取り組む事になった。月1回の訪問を約束すると、奥様特性のハーブティーを頂き事務所を後にした。

ハーブティーの味は薄味でぼやけていたものの、俺の進むべき道はハッキリと見えてきた気がした。

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