マガジンのカバー画像

【掌編物語】ごく短い物語集

21
掌編サイズ(大体800-2000文字程度)の物語を載せています。
運営しているクリエイター

#物語

威圧感と栗饅頭の味。

地雷 私(駒込)はWebプロモーション会社でディレクションを担当している。(チームリーダー) 今日は、クライアントであるC社の社長とのミーティングで、S県のK市に向かっているのだが、とにかく気が重い。プロモーション自体は及第点以上の成果を上げている。だから取引という意味では堂々としておけば良いのだが……、どうも、そんな気分にはなれない。というのも、このC社の社長というのが、とにかく威圧感があるというか、高圧的というか、要は厄介で面倒な人なのだ。 今時珍しいくらい怖いタイプ

安定の失敗。

投資 昨年だが、学生時代の友人、田町から「起業するから投資してくれ」って頼まれた事があった。 昼時、刺身定食を食べ終えて緑茶に葛餅を食べていたら突然電話があり、電話に出ると、何の前起きもなしに突然、「大崎(私)、俺に投資しない?」と言われた。でも驚きはしなかった。田町は元々こういう奴なのだ。 「投資? 幾ら?」 「300万」 「300万? 何に投資するの?」 「俺だよ、俺」 「どういう意味?」 「俺って人間に投資してみないかって事。だから事業とかそういうのは何にも決まっ