見出し画像

日本にあってタイにないもの【ドローン編】

 近年はタイでもドローンを目にする機会が増えてきたが、タイのドローン規制は世界的に見て厳しい部類に入るそうで、日本ほど手軽に始められるものではない。特に旅行者が旅の思い出に上空から撮影というのはほぼ不可能に近く、そのまま飛ばしてしまうと逮捕される可能性もあるようだ。だから、日本の家電量販店でドローンが並んでいる光景は、まずタイでは見ることはないので、ボクの目には奇異な光景に映る。

画像1

 日本にもドローンの規制はあるとは思う。たとえ空港近辺などは飛行を禁止されているなど。また、自主的に危険を避けるため、観光地にはドローン撮影を禁止することを告げる看板がある場合も見かける。タイでは全体的に規制されているからか、あるいは規制のためにそれほど普及していないからか、そういったドローン禁止の看板はあまり見かけない気がする。

 日本のドローン普及はタイの比ではない。一般の人よりはプロカメラマンに多いのかな。テレビを観ていてもドローンで撮影していると見られる映像がよく出てくる。特に日曜日のいろいろなことに挑戦するバラエティー番組は毎週、必ずと言っていいほどドローン撮影と見られるシーンが登場する。

 タイがドローンに厳しいのは、ひとつに麻薬問題があるからなのかなと思う。野放しにすればこれで麻薬を運ぶことだって可能になるからだ。聞いた話では、個人の航空機操縦免許もタイでは取得が難しいらしく、その事情もやっぱり麻薬の密輸問題がひとつにあるからだとか。

 あとは保守的な面がタイ人において強いから、というのもあるかと思う。タイは外国人も多く、いろいろなサービスが外国から取り入れられて始まるけれど、意外と保守的な人が多い。だから、新しい存在であるドローンがまだよくわかっていないので、様子を見ながら受け入れるという姿勢なのかなと思う。

画像2

 とはいえ、正当に利用する場合にはなんら問題なく許可を得ることは可能だ。タイに住んでいて、ちゃんとした仕事を持っている人なら、外国人でさえタイ人と同じような書類で許可申請ができるそうだ。

 下記はタイのドローンに関する使用条件の一部だ。

重量2kg未満の趣味、娯楽用ドローンは以下の使用条件を守らなければならない。
1)操縦者は18歳以上でなければならない。
2)飛行エリアの車両、構造物、建物所有者の許可を得なければならない。
3)航空路誌(Aeronautical Information Publication Thailand)に掲載されている制限地域、危険地域、および政府組織の建物、病院の周囲で許可なくドローンを飛行させてはならない。
4)操縦者の視界の範囲内で飛行させなければならない(モニターなどの機材による確認のみでの飛行は不可)。
5)有人飛行機の近くでドローンを飛行させてはならない。
6)高度90m(295 feet)を超えてドローンを飛行させてはならない。
7)人・車両・構造物・建物から水平距離30m(100 feet)以内の場所でドローンを飛行させてはならない。
8)特別な許可なしに空港または臨時飛行場の9km(5 miles)以内でドローンを飛行させてはならない。

重量2kg以上25kg未満のドローンは以下の使用条件を守らなければならない。
1)2kg未満のドローンと同じ規定を守らなければならない。
2)操縦者は20歳以上でなければならない。
3)麻薬取締法で有罪の前歴がある者は操縦してはならない。
4)国家の安全保障を脅かしてはならない。
5)飛行エリアの土地所有者に許可を得なければならない。
6)事故、救急、コントロール喪失時などに備え、緊急対応計画を作成しなければならない。
7)タイ民間航空局(Civil Aviation Authority of Thailand)にドローンを登録しなければならない。
8)ドローンの飛行中、常に当該機体の登録証を携行しなければならない。
9)ドローンの飛行中、常に消火器と保険証書を携行しなければならない。保険は人身事故、対物事故をカバーし、1回の飛行で100万バーツ以上の保険金額を設定しなければならない。
10)人、車、建物から50m(150feet)以上離れてドローンを飛行させなければならない。
11)事故が発生した際、操縦者は速やかに警察へ届出なければならない。

重量25kg(55 pounds)以上のドローンを使用する際はタイ運輸省(Ministry of Transport)へ都度申請しなければならない。

参照:https://www.irric.co.jp/pdf/risk_info/thailand/2019_08.pdf

 このように登録をすれば利用できる。2キロを超える重量の場合はタイ民間航空局に行く。また、操縦は無線関係の法規にも関係するので、無線関連の登録も国家放送通信委員会に届け出ないといけないようだ。

 ただ、上記はもしかしたらすでに古い話かもしれない。というのは、商業用ドローンフライトは完全免許制になる(なった?)という話だし、ボクの知人(日本人)の何人かは航空局で操縦ライセンスを取得していると言っていた。

 航空局のライセンスは法規の講習、それから基本操縦訓練があり、それをパスすれば取得できる。ランセンスの更新料には保険とか諸々もセットになっていると言ってたような。もしかしたら2キロ未満の小さいドローンは今も登録だけで飛ばせるかもしれないが、タイの場合、警察官など取り締まる側の知識や法令の認識が乏しいケースも多いので、ライセンスは取得しているに越したことはない。

 それに、免許取得者が言うには、大きいドローンはライセンスがないとまともな店では買えないという。「まともな店」というのは、正規認証済みの機体を売っている、ちゃんとしたショップということになる。

 タイの場合、飛行規制されているところが多すぎるらしい。空港の近くはもちろん、人がいるところ、寺院の上などがそれに当たる。タイはその寺院が多い。そのため、ドローンにはあらかじめ飛行禁止区域の情報がインプットされているのだとか。電波を使っているわけだから、航空局などが新たに禁止区域を設ければ、正規品の場合はちゃんと更新され、GPSなどを併用することで自動的にそのエリアでは飛行できない、あるいは規制された高度以上には飛ばせないらしい。

 逆に言えば、今、ドローンの免許を持ったらいろいろな商売ができるのではないかな。実際、タイでドローンを自由に飛ばせる人はたったひとりらしく、高高度撮影なども全部その人物がやっているとか。軍人で、かつタイ王室と関係ある人と聞いたことがある。そこまではいかなくても、撮影の依頼なんて国内外からたぶんたくさん来るだろう。規制が厳しい分、やらない人も増えるわけで、もしかしたらチャンスなのではないだろうか、と思ったりして。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?