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【ベト飯】肉まんデカい

 見落としがちだけれども、肉まんは不思議とどこにでもある。日本、タイ、ベトナムならどこでも売っていて、安いし、大概、味的にもハズレがない。本場の中国は前職の出張でしか行ったことがないので、肉まんの記憶がない。行ったといっても上海、香港、深圳、東莞、南京の近くくらいで。タイと日本はコンビニにあるからよく見かけるわけだが、ベトナム、特に南部だと路上でも売っているのでより身近だ。そして、なぜかベトナム南部の肉まんはデカい

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 ベトナム人は歴史的背景もあってか、中国を異様なまでに嫌っている。特に近年は領海問題もあったりして、なおさらというか。ただ、中国人を嫌いというわけではなく、シンガポールや台湾といった、要は本土ではないところから来た中国人は問題ないらしい。

 そんな事情もあってか、首都ハノイで中華料理店はあまり見かけない。新市街はわからないが、少なくとも旧市街では中華料理は数えるくらいしかない。一方、南部のホーチミンはチョロンといった中華街もあるくらいで、市内を歩いていてもよく中華料理店も見かける。

 肉まんはそんな中華料理店にある、わけではなく、道端で売っていたりする。コンビニの肉まんケースのような保温機みたいなものがあって、そこで売っている。専門店というよりは、なにかほかのものを売りながら片手間でやっているような。

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 ベトナムの肉まんはだいたいサイズが大きい。日本とかタイのコンビニ肉まんのビッグサイズよりも大きいと思う。手に持った感覚は、ちょっとしたハンバーガーくらいの大きさだ。

 それでも価格帯は1.5万~2万ドンくらい。2万ドンは単純計算で1ドルくらいか。タイ・バーツだと32バーツ前後かな。タイのコンビニだと肉まんは20~30バーツくらいだった気がする。値段的にはタイもベトナムもほぼ同じ。大きさから考えるとコスパはベトナムに軍配が上がる。

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 ベトナムは、ボクの印象では、食費が高い。アルコールを含めたトータルの会計ではなく、料理1品をタイと比較した場合だ。麺類を見るとわかりやすい。タイなら今は高いところで50バーツくらいだ。ベトナムだと種類によるが、3万~10万ドンくらいだろうか。3万ドンならまあ50バーツくらい。10万ドンだと150バーツくらいといったところ。決して安くない。

 ただ、ベトナムは1食の量が多い。麺類もタイは成人男性なら二口三口で麺がなくなるくらいの量しかない。ベトナムは日本のラーメンくらいの量はある。

 いわゆるぶっかけ飯もタイとベトナムはだいたい同じ値段だ。でも、米の量が全然違う。ほかの物価が安いのに、ベトナムは食事がタイよりも高い。しかし、量が多いのでグラム単価にすればタイよりもずっと得だと思う。

 そんなベトナム飲食の中で最もコスパがいいのが肉まんなのかもしれない。絶対数的に価格という数字を見ても安いし、グラム単価にしたらよりその魅力が増すような気がする。

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 タイはのんびりした国という印象がある。日本のように明確な四季がなく、生活の中で次の季節の準備をする必要がなく、田んぼも年に何回も米を収穫できる。遠い将来を考える必要がなくて、だからのんびりしているのかと思う。

 タイは全土的にそういった風潮だが、ベトナムは北と南では国民の気質が違うと言われる。ホーチミンはタイに似た陽気な南国人といった感じだ。タイもそうだが、こういう社会はおおらかで心豊かで、助け合いの精神も高い。だから、生活もなんとかなってしまう。金がなくても、なんとか生きていけてしまう。

 そういう点で見ても、単にボクが見えていないだけかもしれないが、ハノイでは高コスパな食べものがあまりない気がする。ホーチミンには肉まんがある。金がなかったら肉まんを食べて凌ぐことができる。

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 もちろんまずかったら意味がない。でも、その点でも大丈夫だ。肉まんっていうのはまずく作る方が難しいのかもしれない。

 ただ、ベトナムの肉まんはパンの部分が厚いのが多い。大きさのわりには肉は少ない。とはいえ、あくまでも全体のサイズに対しての餡の量の話であって、それなりに肉は入っている。なにせ、ウズラの卵みたいなものが丸々入っているくらいなので、それなりの量はある。

 でも、パンが厚いということは問題点もある。まずひと口目が肉に到達しない。ここでいきなりのどの水分を奪われる。そして肉に辿り着き、肉まんを堪能するわけだが、最後にまた試練が来る。餡がなくなっても、その向こう側には厚めの生地が残っているわけだ。ここで窒息死寸前になる。

 というわけで、ベトナムの肉まんは大きくていいのだが、結局飲みものも買わないといけないので、出費は肉まんだけとはいかないのである。

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