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タイの婚姻ビザは簡単に取得できる(結婚が難しいけど)

 こういうご時世なので簡単にタイに行ける状態ではないけれど、長くタイに滞在するにはビザが必要だ。一般的には観光ビザを取得するのだろうが、この10年ちょっとで観光ビザですら取得が難しくなっている。

 ボクが初めて観光ビザを取ったのは1998年のことだ。そのころは申請書1枚書けばいくらでもビザが取得できた。ダブル(2枚同時申請)も容易だったし、東京・目黒のタイ大使館はトリプルもあったような。

 それがいつしか、観光ビザですら簡単に取れなくなってきた。ボクは2000年の頭にはバンコクで働き始めてビジネスビザになったし、その後結婚もしたので観光ビザは聞いた話でしかないが、以前と比べて全然違うと確かに感じる。

 というわけで、ボク自身は観光ビザ、商用ビザ、家族ビザ(タイ人配偶者ビザ)といろいろと取ってきたわけだ。その中で最も優れているのは家族ビザ、あるいは婚姻ビザと呼ばれるビザだと思っている。

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 婚姻ビザ(正確にはNon-Oなどと呼ばれるが、ここでは面倒なので婚姻ビザと呼ぶ)が最も優れているのは、取得が簡単なことだ。ただ、タイ人と結婚していないといけないので、むしろそっちの方が難しい。タイ人と結婚しても離婚する人は多いので、そっちが大変なのだが、とにかくちゃんと籍を入れると容易に婚姻ビザを取得できる。

 ところが、タイ人との国際結婚は案外日本語で情報が少ない。だからなのか、タイ人と結婚した日本人の中には婚姻ビザについて全然知らない人も少なくない。記事の主旨とは話が変わってきてしまうが、もっと言えば、婚姻届けや出生届についても知らなくて、子どもが二重国籍になっていないケースもあったりする。

 それから、今回はボクのケース、あるいはボクの周囲の人から聞いたケースで話を進める。これは主に日本人男性とタイ人女性の結婚が該当する。日本人女性とタイ人男性の結婚も大体同じだが、難易度がガクンと下がる。タイ人男性と結婚する外国人女性はビザ関係は外国人男性の国際結婚より優遇されていると感じる。

 さて、本題の婚姻ビザ取得が簡単というのは、まず書類が少ない。観光ビザでさえ最近は職場の証明だとか預貯金の証明が必要だとか? 商用ビザともなれば、会社の登記関係や会計関係の書類がいるので、それこそ大量の紙を持って大使館に行かなければならない。

 しかし、婚姻ビザは数枚、コピーを用意すればいい。時期や大使館によっては違うのだが、大体下記の書類があればいい。

・婚姻証明書
・妻の住居登録証の全ページ
・妻のIDカード
・出生証明書(子どもがいれば)
・レター(自筆でもパソコンでもよく、招聘する、あるいは身元を保証する内容のもの)

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 基本、これだけでいい。これを持参して窓口に申請書や写真と共に提出すれば、特に審査があるわけでもなく、簡単にビザが発給される。こんなに簡単なのだ。

 ただ、延長はちょっと面倒だ。他県のイミグレーション事務所でのケースだが、入国後は40万バーツの預貯金の証明のほか、一緒に暮らしている様子を写した写真が必要になる。預貯金の証明は基本的には3か月以上前からこの金額が入っていることを証明しないといけなかったはず。

 写真は家の全部屋で家族全員が写っているもの、また玄関や家の外観の写真もそうだし、自筆でいいので自宅の地図なども添付する。延長はちょっと面倒だが、それでも商用ビザよりは簡単だ。ちゃんと書類が揃っていればものの5分で延長手続きは終わる。

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 婚姻ビザの魅力は、このビザで労働許可証も取得できる点だ。外国人の場合はタイで働くには商用ビザと労働許可書が必要で、しかもタイ人雇用や出資額などの条件を満たす必要があるのだが、婚姻ビザだとこのハードルも下がる。資本金が本来200万バーツ必要なのが半額だとか、タイ人雇用人数も半分とかそんな感じだったかな。これで労働許可証を申請できるので、雇用する側にもメリットがある。

 婚姻ビザは簡単に取得できるためか、近年はタイ人との偽装結婚が増えているらしい。婚姻届けを役所に提出するわけだが、そのときに面談が個別に行われて偽装結婚でないかどうか確認されるようになったとか。そんな時代ではないボクのときも多少の面接はあったので、より厳しくなったようで。さすがにまだ日本人でそれをやったという人はほとんどいないが、欧米人のジイさんに多い印象だ。

 とにかく、それくらい婚姻ビザはメリットが多いものなのだ。

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 ちなみに、タイのビザは外国(タイから見て)にあるタイ大使館で取得するものだと思われがちだが、観光ビザなどちゃんとなにかしらのビザをパスポートに貼って入国している場合、タイ国内のイミグレーションオフィスで切り替えることも可能だ。ただ、大使館で取得するのとは条件が違い、婚姻ビザだと延長と同じくらいの書類が必要で、ちょっと面倒になる。

 婚姻ビザの場合、基本的にはどの大使館で申請しても同じように簡単に発給される。だから、どこというわけではないが、一番いいのは東京・目黒のタイ大使館で申請するのがいい。というのは、東南アジアでよくある、人によって法令の解釈などが違うということがない。ほかの国のタイ大使館では結構職員の裁量に任されている部分が多い。でも、目黒の大使館は必要書類などが明確に示されているので、それが揃っていればほぼ会話もなく受理される。

 大使館の人とも話したことがあるが、日本人は日本でビザを取得した方がいいのだとか。たとえば先のように延長に40万バーツが必要だが、それがない人もいるだろう。それでも、日本人が日本で申請すれば、いくらでも発給してあげるというようなことを言っていた。もちろんタイ近隣諸国にあるタイ大使館でも滞りなく発給されるのだが、情勢が変わったときに不法に長期滞在していることを疑われる可能性があって、この先にビザを発給してもらえなくなる可能性もあるのだとか。どこまで本当かはわからないけれど、ビザに関してはその国の方針によるので、そういう流れならもうどうしようもない。

 一時期はラオスのビエンチャンにあるタイ大使館もいいとされた。やっぱりバンコクから近いこともあって、行きやすいからだ。ボクの友人もよくビエンチャンに行っていた。でも、最近はとにかく人が多くて、並ぶのだとか。そのためか、去年くらいから目黒と同じように事前にネットで予約しないと大使館に入れないらしい。いずれにしても、観光ビザなどで違法すれすれで長期滞在する人も大量にいるので、先の大使館員の話のように、婚姻ビザ取得はちょっと敬遠した方がいいかもしれない。

 いろいろな話を総合すると、ボクがおすすめしたいタイ大使館はベトナムにある大使館だ。ハノイは旧市街から近いし、ホーチミンの領事部も中心地から近い。カンボジアのタイ大使館もいいようだが、市街地からちょっと遠い。シンガポールはかっちりしているようだが、滞在費が高い。マレーシア・ペナン島の領事館はベトナム並みにいいようだが、ベトナムと比較するとちょっと滞在費が高い印象だ。

 ビザ申請をベトナムでする人に聞くと、ビエンチャンのタイ大使館のように申請者がほとんどいないので、何時に行っても待たずに申請できるのだとか。また、ビエンチャンの場合はビザ代はタイバーツなので為替リスクがない。しかし、ベトナムは米ドル払いの上、ちょっと高めになっているという。しかし、ベトナムの滞在費は安く、総合的にはビエンチャンに行くよりも安いのだとか。だから、ベトナムのタイ大使館に行くのがいいと思う。単にボクがベトナム好きというのもあるのだけれども。

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