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タイ在住日本人の子どもがいじめをしていた

 世界中どこを見てもいじめはある。タイの学校でももちろんそうだ。けれどもうちの子どもの学校では聞いたことがない。たまに娘がクラスメイトと出かけることがあって、集合場所を見に行ったら、クラスの子たちがほぼ全員集まっていたので、仲はよさそうだった。妻の子ども時代でもいじめというのはなかったようだし、タイでは今のところ社会問題化するほどではないような気がする。

 日本のいじめは陰湿だから問題になるのかなと思う。バンコクの日本人社会を見ても、ちょうど1年前くらいからTwitterである日本人がいろいろな人に噛みついて大騒ぎしていた。本人は自分の顔も名前も出さないズルいヤツで、やり方は汚いという印象だった。大人のマインドでこれなのだから、子どものいじめが陰湿になるのは当然だ。

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 タイの日本人学校は世界でもトップクラスの児童を抱えるマンモス校だ。学力レベルもそれなりに高いという話を聞くが、そこまで人数が多いと教師の目が届かないのか、いじめが横行していると聞く。

 ボクの友人は子どもを日本人学校に通わせるにあたり、仲のいい家庭数組とわざわざバンをチャーターして送迎していた。友人が言うには、いじめが行われるのが主に学校が用意する(?)送迎バスの中なのだとか。親がいる送り迎えの集合場所ではにこやかにしていて、バスが出発するとカーテンを閉め、ときには暴行もするという。

 正直、そこまでひどいのかと信じられない思いだが、恐らく、それは事実なのではないかなと思えてしまう出来事があった。

 ある遊戯施設に行ったときのことだ。まだうちの子どもが小さく、取材も兼ねてそこに遊びに行ったのだが、どうも日本人の子どもも多い場所だったようで。しばらくすると日本人の母親たちに連れられた子どもが入ってきた。ちょうど学校や余地円が終わったのでしょう。見た感じ小5小6くらいの、高学年と思われる女の子3人もやって来た。

 ボクは撮影もあって子どものそばにずっといたのだが、施設内のちょうど対角線、一番遠い場所にベンチがあった。親たちはそこで話に夢中で、子どもたちを見ていやしない。とはいえ、その女の子たちもちゃんと考えていて、親たちからは見えない一番遠い場所にいる、小さな子を狙っていじめを始めていた。

 さすがに強い暴力ではなかったが軽く小突いたり、遊んでいたものを取り上げたり、なにか脅し文句を3人でひとりの子を囲んで言っていた。小さな子からしたら女の子とはいえ身長が倍もあるので怖かっただろう。

 ホントにいじめがあるんだなと、驚いた。おそらくひとりめは「ん?」と思い、ふたりめで「これっていじめか?」となり、3人めで確信した。もう1回なにかしたらなにか言ってやろうとボクが観察しだしたので、女の子たちはそこでいじめをやめた。しかも、わざわざボクに近づいてにこやかに挨拶までして。ボクは普通の顔のつもりだったが、デカいおっさんが真顔で見てたらそりゃあ怖いか。だから挨拶をして牽制していった。

 バンコクの日本人社会における子どものいじめは日本国内のものとはやや違う事情もあって解決は大変だという話も聞いたことがある。というのは、日本人学校に通う子どもたちの大半は日系企業の家庭の子たちだ。だから、いじめが発覚しても、親同士の仕事の関係で文句のひとつも言えないのだとか。取引先だとか上司の子どもがいじめっ子だと、泣き寝入りしかないとか。

 それとこれは話が別だと思うのだが、それはボクが会社員じゃないから言えるのだろうか。自分がいじめられていることが発覚してしまい、それに対して親が相手側になにも言ってくれなかった、助けてくれなかったと子どもが感じたとき、子どもはより深く傷つくことを親は知っておくべきだ。

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