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チェンマイのカオソーイ屋でカオマンガイ

 タイ料理は大きく分ければ中央料理、東北部料理(イサーン料理)、北部料理、南部料理になる。しかし、バンコクは一般的なタイ料理とイサーン料理が中心で、10年くらい前に南部料理がやや流行った時期があったことから今何軒かある程度。北部料理はかなり少ないという印象だ。

 かといって、北部に行っても飲食店が北部料理ばかりというわけではないので、いい店を知らないと、結局北部に行ったところでおいしい北部料理に出会えない。

 思うに、タイ人は自国の生活習慣や、身近にあるものを過小評価するところがややあって、農村の風景や地元の料理が外国人にウケるとはあまり考えない。だから、北部料理ももっと前面に出せばいいものを、控えめにしている気がする。

 そんな北部料理の中で、比較的有名で安価でおいしいのが麺料理のカオソーイだと思う。タイのココナッツミルク多めのカレーをスープにしたラーメンといった雰囲気の料理だ。たぶんミャンマー料理の影響が強いのかなと思うが、見た目の雰囲気と違って結構辛い店も多くて、タイらしい逸品だ。今でこそバンコクでもたまに見かけるようになったが20年くらい前は皆無というくらい、チェンマイや北部に来ないと食べられない料理だった。

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 北部に来ると、基本的にバイクを借りて動き回る。タイの地方都市はかなり大きくても公共交通機関が発達していない。あるいは、使い方が独特で難しい。

 古都チェンマイだと、主流の公共交通機関と言えばソンテウだ。ピックアップトラックを改造した、バス兼タクシーになる。車両の色や呼び止め方でどちらにもなるからややこしい。あとはトゥクトゥクも多いが、結局メーターがないので、バンコク同様、土地勘と相場を知っていないと使いづらい。メータータクシーは近年地方都市でも増えてきているが、チェンマイってどうだったかな。いつもレンタルバイクで動くので記憶にない。

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 カオソーイの店はチェンマイ市内でもいろいろなところにあるが、ほかを知らないので、ボクはいつも旧市街の中の「カオソーイ・シリチャイ」に行く。無難な味で、まずくはない。

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 カオソーイは米粉麺のクイッティアオではなく、小麦粉麺のバミーに似た麺を使う。少し平たくなった麺で、茹でたものと揚げたものの両方が入っている。ボクは理由が特にあるわけではないのだが、ラーメンは太麺が好きだし、平たくなった麺も好きである。クイッティアオも太麺は平麺みたいになっているので、センレック(細麺)より好きだ。

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 シリチャイのカオソイは鶏肉入りになる。バンコクはシーロム通りのバンコク銀行本店の裏に北部麺料理店がある。そこは鶏肉以外もあったような気がするが、チェンマイではここでしか食べたことがないので、ボクの中ではカオソーイは鶏肉というイメージが強い。

 スープはココナッツミルク入りなので、一見甘そうだし、実際に香りは甘い。また、ひと口目も甘いのだが、じわじわと辛みが広がっていく。むせてスープが少しでも鼻に入ったら、そこから数時間は鼻が痛いくらいの辛さがある。

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 タイ麺料理はテーブルの調味料で味を自分好みに仕立て上げる。カオソーイも同様だ。ただ、トウガラシがただの乾燥ものではなく、こういったタイプのものになる。湿っているのは油? とにかくこれをスープに落とすと、じわっと辛さが広がるので注意して入れたい。

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 あと、カオソーイにはこういった付け合わせがある。日本の豚骨ラーメンにありそうな、高菜っぽい漬物、ムラサキタマネギを刻んだもの、そしてライムだ。これらを投入することでココナッツカレーのくどさが少し和らぐ気がする。

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 と、さもカオソーイ目的に見せかけつつ、ボクがシリチャイの行くのは実はカオマンガイの方が目当てであったりする。この店のカオソーイが鶏肉なのはカオマンガイもメイン料理の一角を担っているからかもしれない。

 ここのカオマンガイを好んではいるが、だからと言って、別に北部特有のカオマンガイというわけでもない。ただ、画像で見てわかると思うが、鶏肉がジューシーでおいしい。周囲の地元タイ人もカオソーイとカオマンガイのいずれかを注文している。その数は五分五分といったところか。カオマンガイも人気なのである。

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 このように、スープもタレも特になにっていうわけではない。でも、無難でおいしい。ちなみに、タイ人はカオマンガイの合否判定は、日本人のように鶏肉ではなく米で判断する。その点でもこの店は合格なので、肉も米もうまいなら、なかなかのレベルなのではないかなと思う。

 どんな地方都市に行ってもカオマンガイはどこにでもある。そして、意外と地方にも隠れた名店が多い。ウドンタニーでもお気に入りがあったり、ボクは食べるものがこれといって思いつかないときはガパオかカオマンガイにしている。このシリチャイのカオマンガイもボクにとっては好みで合格なのだ。

 店は旧市街の中にあるのだが、いつも適当に走って、いつの間にか到着しているという感じなので、具体的な場所がよくわからなかった。マップの場所は一応合っているが、今回改めてこのように場所を地図上で確認しても、正直ピンと来ていない。ターペー門の通りにあると思い込んでいたが、どうもその1本北側にあるようで。

 ターペー門の通りは週末になると歩行者天国になって、ナイトマーケットみたいになっていたはず。その前にあったような気がするんだが、移転したわけでもないみたいだし。記憶っていうのはいい加減だな。

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