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インドシナのバゲット・サンドイッチを好き勝手に評価してみた

 日本のラーメンやカレーライスのように、元々は外国の料理だったが、それがいつしか国を代表する料理になったというものが東南アジア各国にもある。中でも、フランス統治下にあったフランス領インドシナ――ベトナム、カンボジア、ラオスにはコーヒーとサンドイッチという共通した料理があり、かつそれぞれが独自に発展している。タイはこの3ヶ国のうち2国と隣接しているにもかかわらず、最近までコーヒーを飲んだり、パンを食べる習慣が根づかなかった。だからこそ、なおこの3ヶ国のフランスパン、あるいはバゲットの発展に興味が出てくる。

 そんなインドシナ3国のバゲット・サンドイッチを食べてきたボクの個人的な感想を書いていきたい。あくまでもボク個人の意見で、ボクが行ってきた場所の話なので、もっとおいしい店がほかにもあるかもしれない。

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ラオス編

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 ラオスにおけるバゲット・サンドイッチの呼称は「カオチー」という。特徴は、タイ料理にもあるようなローカル食材をふんだんに使っているところか。店によって洋風もあるけれども、ローカルだと青パパイヤサラダのソムタムみたいな具材を使っていたり、シンプルにタイにもあるブタのすり身を蒸したソーセージであるムーヨーみたいなもの、パクチーを挟んでいる。

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 ラオス・コーヒーと一緒に、こうヘルシーに見えるカオチーを。カオチーの店はラオス国内のどこにでもあるので、手軽でいい点も高評価に値する。

 本当かどうかよくわからないのだが、ラオスのバゲットはパンの生地に米粉だったかもち米の粉を混ぜていると聞いたことがある。ウィキペディアで見るとベトナムのバゲットには米粉が混ざっているという。だからインドシナのバゲットは食感が本場のフランスパンとは違うというが、正直、ボクには違いがわからない。焼きたてなら、本場であろうとインドシナのフランスパンであろうとおいしい。

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 ラオスのサンドイッチ食堂はどこもこんな感じだった。パンがそのまま看板になっているような感じか。

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 ラオスのサンドイッチの最大の特徴は調理前にパンを炭火で温めてくれることだとボクが思っている。ベトナムは温めてくれるところとそうでないところがあった。カンボジアは基本温めない。米粉が入っているか否かの以前に、そのあたりが食感の違いなのではないか。

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 店によって違うが、このようにレバパテを塗ってくれる。思っている以上にたっぷり塗ってくれるので、結構お得感がある。

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 この店にはほかにタイ風ソーセージのムーヨー、中華式のチャーシュー、パクチー、チーズ、ピクルス、大根やにんじんのなますがあった。

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 卵焼きもあった。オムレツと呼んであげたいところだが、卵にちょっと中国式の醤油みたいなのを加えていたので、どちらかというと卵焼きかな。この本場フランスでは入れない調味料を使うあたりがローカル化したポイントなのかなと思う。とはいえ、せっかく炭火なのに、安い油でいろいろともったいない卵焼きではあった。

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 卵焼き入りは完成してみるとこんな感じで。いっぱいに入れてくれるのでボリューム感がたまらない。

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 一方で、観光地などに行くと欧米の観光客向けに洋風の屋台もある。ここは大きなフライパンで豪快に焼くのだが、確かイスラム式のクレープであるローティーも同時に焼いていたはず。ローティーは安い油に安いマーガリンを使うので、カオチーに対してそれほど問題はないが、ベーコンを焼いたあとにローティーはちょっと嫌だな。

 よく見ると、やっぱりパンは温まるようにしている。これがラオス式だ。

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 そして、やっぱり卵をトッピングに加えてもらうとすると、オムレツというよりは卵焼きになる。なんかもったいないな。

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 ところが、こうやってパンに挟まると途端におしそうに見えてくる。これがラオス・マジックだ。とにかく、バゲットはどの店でも温めてくれるので、いつ買ってきたのかわからないパンもそこそこ食べられるようになる。ボクにとってラオスのサンドイッチはまた食べたい逸品であった。

カンボジア編

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 カンボジアのサンドイッチは「ヌンパン」と呼ばれるようだ。前述の通り、ボクがカンボジア国内で出会ったサンドイッチ屋台はすべてパンを温めなかったので、正直、インドシナの中で最も評価が低い。

 ただ、これは2011年くらいの話だ。それ以来カンボジアには行く機会がなかったから、相当古い話になる。なにせファストフードもKFCがあるくらいで、ハンバーガーはラッキーバーガーとかいうカンボジアの店しかなかった。そのハンバーガーもナマズみたいな臭いがして全然おいしくなかった。

 ヌンパンの具材もいろいろあったが、無駄に脂っこくて、小腹が空いたときに食べるのは結構重めという印象だ。野菜もネギとか入っていて、ちょっと合わないかなという思いが強かった。

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 店もこんな雰囲気で活気があまりなかった。ここは確かプノンペンのオルセー・マーケットの近くだったはず。夜だったのもあるのだが。結構人もいる場所なので、棚にパンがこれしかなかったのが果たして人気だからか、不人気で仕入れが少ないからなのか。

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 そういえば、カンボジアの食堂や屋台の椅子はタイと同じだ。ベトナムの場合、風呂の椅子みたいに足が短く、地面にかなり近い。あれはあれでいいのだが、長時間は肥満のおじさんにはきつい。

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 このパンの焦げが一瞬温めてくれたのかと思うのだが、単にパンを焼くときについた焦げのようで、パッサパサのままだった。中の肉も脂身が多くてちょっと引いた。

 それから、衛生観念の違いか、カンボジアのサンドイッチ屋はどこも新聞紙やこういうコピーで使って捨てられたような紙で包むところが多かった。冒頭のパンもやっぱりコピー紙に包まれている。携帯電話番号のリストのようだ。

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 これはアンコールワットが近いシェムリアップの屋台だったと思う。ウォーキングストリートの近くで、野菜や果物のジュースなどもやっている店だった。手広くやっているのでパンが大量にあるが、売れ残ったらどうせ翌日も使うのだろうし、パサパサが写真からも伝わってくるのではないか。

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 具材も少ない。レバパテはあるが、真ん中の黄色いのはなんなんだろうか。おそらくバターかマーガリンを溶かしたものでしょう。これも塗っているのだろう。だから脂っこく感じるのか。

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 どこだか憶えていないのだが、カンボジアで唯一おいしいサンドイッチがあった。たぶんオルセー・マーケットの辺りだと思う。というのは、その辺りの安宿に泊まったからだ。

 具材に豚肉の串焼きを入れてくれた店があった。上の画像のような、甘辛いタレをつけて焼き、串を抜いて焼きたてをバゲットに挟んでくれ。それだけはおいしかったのだが、そういうときに限って画像がないという。

ベトナム編

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 最早ベトナムのサンドイッチは呼称を紹介するまでもなく、知っている人が多いのではないか。今、日本でもだいぶ浸透してきた「バインミー」である。

 ベトナム国内にバインミー店は星の数ほどある。ラオスやカンボジアの比ではない。屋台式もあれば食堂もあるし、真新しいお洒落な店やチェーン店もある。

 画像に残していないのだが、ハノイのホアンキエム湖の北側にあったチェーン店は結構よかった。ハンバーグというよりは肉団子のようなものとチーズを挟んでもらったり。なにより英語がすんなり通じるところがいい。友人に紹介してもらった店で、店名は完全に失念した。マップにも出てこないのだが、水上劇場の近くにロッテリアがあり、そのすぐ横辺りの路地の角にある。ちょうど湖の廟の橋の向かい辺りだ。

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 あと、この店もボクは好きだ。ホアンキエム湖の近くの教会の前の通りだ。教会より少し北側に、牛肉のフォー(米粉麺)で人気のフォー10という店があるのだが、その真向かい。小さなフレンチ食堂みたいな感じで。

 特にハノイはこれ系の店が多い気がする。ハムとかを前に置いているので、一瞬ブッチャーのように見えるが、ベーカリーでもなく、みたいな。

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 こういう店はメニューがないので、適当に入れてもらいたいものを指さしで入れてもらう。

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 真ん中の赤いハムは確かウサギの肉だったような。いろいろなハムがあるので、レバパテを塗ってもらい、そこにどんどん挟んでもらう。

 具材の数で値段が変わったはずだ。3~4種類のフルバゲットで3~4万ドンだったかな。屋台だとフルで2万ドンくらいなので、ちょっと高めか。半分のハーフは単純に金額が半分のところが大半だ。

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 気のせいか、ベトナムのバインミー店は女性店員が多い気がする。男性が作るバインミーをボクはあまり見た記憶がない。

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 これは中部の港湾都市ダナンの、旧市街にある人気バインミー屋台だ。ここは夕方から夜にかけてたくさんの人が買いに来る。パンも専用のオーブンに入れて温めてくれるのでおいしい。

 このバインミー屋台も店員がみんな若い女の子だけ。20代前半、もしかしたら10代じゃないかってくらい若い。ただ、人気の理由は店員ではなく、ちゃんと味であった。

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 ホーチミン市1区のニューワールド・ホテルそばのロータリーからちょっと入ったところにも人気のバインミー店がある。ここもやっぱり作ってくれるのは女性だ。

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 かといって、必ずしも若い女性しかいないわけではない。バックパッカーが多いブイビエン通りのヘム(小路)を入ったところにある屋台はばあちゃんが作っていた。ここは、ブイビエンのアホみたいに高い外国人料金ではなく、ベトナム人料金で作ってくれる親切な店だった。

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 普通のベトナム料理などもあるのだが、このように牛肉と野菜をシンプルに炒めてくれる。

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 それをささっとパンに挟んでくれる。ここはパンは温めてくれなかったと記憶している。でも、中身がアツアツでおいしいので、相殺されている感じか。

 ベトナムのバインミーもまた何度でも通いたくなる店がたくさんある。また、具材のバリエーションもラオス以上に多くて楽しめる。一時期は100米ドルもする高級バインミー店がホーチミンにできて話題になっていた。

 カンボジアは正直おすすめはできないけれども、この3ヶ国を一気に探訪できるのなら、ぜひバゲット・サンドイッチの食べ比べをしてもらいたいところだ。

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