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バインミーってサブウェイみたいなもんだけど全然違うのはなぜなのか

 ベトナムの手軽なフードのひとつというか代表格なのが、バゲットを使った「バインミー」でしょう。小さいフランスパンのサンドイッチで、同じくフランスの植民地であったカンボジアやラオスにもあるけれど、各国で地元の食習慣や食材を採り入れて独自に発展したのがおもしろい。ベトナムはわりと料理に地方性が強く出てるイメージだけれども、バインミーはどこにでもあって、基本的には似たような中身なのかなと思う。

 そんなバインミーは、よくよく考えると、世界中にあるサンドイッチのファストフード店である「サブウェイ」とほとんど同じなのではないか。具材を選び、目の前で作ってもらって手渡される。大きく違うのは、具材の種類は置いておいて、パンの種類を選べるか否かくらいかなと。

 でも、全然違うんだよなあ。バインミーとサブウェイはなにが違うのだろうか。

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 どの国もこの20年前後でトラディショナルとか原点回帰的な動きがいろいろと見られる気がする。ファッションとか街造りとか、それから飲食店も。タイも同じで、特にタイ人が行く観光スポットがより「昔ながら」を重視しているような。

 食べものだと伝統料理とか、そういったものが注目される。若い人は欧米の料理に目が行きがちで、古い地元の食べものはダサいというように考える人もいたでしょう。でも、こうやってトラディショナルに回帰し始めると、たとえば日本で言えば和菓子のような、昔からのものに若い人からも注目が集まるようになる。

 そして、若い人はさらにそこから現在にマッチしたものに進化させるなどの独自センスも見られる。

 バインミーはずっとベトナムの日常食で、かっこいいとか悪いとかの外側にいたけれども、ここ何年かでおしゃれなバインミー店が増えてきた気がする。以前は道端の屋台とか、汚い食堂みたいなところで売ってたものだった印象だが、最近はちょっと小ぎれいで、明るい店内、それから若い人が店主のカフェ的な店が増えたと思う。ハノイやホーチミンを歩いているとそう感じるようになってきた。ホーチミンは1万円くらいするバインミーが出たという話もきいたし。

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 そういう新しい店の中には大規模店もあったり、チェーン店でも見られるようになった。チェーン店だとショーケースやメニューなどもしっかりしているので、だからよりサブウェイに似たような形態になっている気がする。

 バンコク在住カメラマンの明石氏にハノイのおいしいバインミー店を見つけたと教えてもらった。ハンバーグのバインミーがおいしいと。場所はホアンキエム湖の北の通り沿いで、水上人形劇シアターのすぐ近くだ。店名はアルファベットだけで書くと「BANH MI pho」だ。

 ベトナム語を読めないので、看板だけ見ると米粉麺のフォーの店かと思うが、ちゃんとしたバインミー専門店だった。チェーン店のようで、サイトを見るとたぶんハノイに13店くらいあるようで。なぜかホームはnoteの埋め込みに入れられないので、下記の支店紹介と見られるページを貼っておく。

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 座席こそないものの、カウンターのショーケースといい、上のメニューの看板といい、日本などにあってもおかしくない雰囲気だ。一応英語も併記されているし、店員さんも多少英語ができたから、注文も問題ない。

 値段は微妙なラインだな。上記メニューの『ハノイ』ならMサイズで2.8万ドンくらい。150円弱ってイメージかな。いや、屋台よりは高いか。でも、注文するとパンはオーブンで温めてくれる。これがあるとないとでは結構大きな差があると思う。だから、その点ではボクは評価したい。

 そしておすすめのハンバーグ、要は肉団子のバインミーだが、確かにおいしかった。ビーフシチュー的な感じというか。チーズも6000ドンで追加できるし、野菜とかもどれを入れるか入れないか訊かれたので、サブウェイとなんら変わらない気がする。

 この値段設定でこういうふうにおいしくサンドイッチが食べられるのだから、こんな国にサブウェイなんて来ないだろう。サブウェイはタイだとものすごく高い。そんな金を払って食べるなら、普通にバインミーの方がコスパがいいし。

 と思ってたら、サブウェイのベトナムサイトがあって、どうもベトナム国内にもサブウェイがあるようだ。驚きである。

 そして、もっと驚いたのは、そのサイトの支店マップを見ると、もう潰れている。結局、ベトナムにはサブウェイはないようだ。

 が。

 ダナンに去年の9月ごろにできたみたい。どうなってるんだ、ベトナムのサブウェイ史は。

 下記のブログがもっとわかりやすいかも。

 ネットで検索すると、サブウェイは2011年にベトナム進出を果たしている。2015年までに50店舗展開計画を当初は立てていたものの、2017年くらいの段階でホーチミンに6店舗だけしかなく、その後撤退したようで。そして、このご時世ではあるが、去年9月にダナンで再展開となった。

 ホーチミンの支店を紹介しているサイトを見ると4万ドンから10万ドンくらいの値段設定らしく。でも、ダナンは最大でも8万ドンくらい。それでもハノイの先の店よりは倍はしている。

 結局のところ、バインミーとサブウェイってどこが違うのか。無駄に高いのがサブウェイで、安くおいしいのがバインミーなのは間違いない。

 あと、思うにベトナムのバインミーはなます、つまり酢漬けの野菜が入っている点はサブウェイと違うかもしれない。ピクルスとかではなくて、日本で言うなますって感じの野菜が入る。あとパクチーとかかな。レバパテをバターみたいに塗るのもバインミーの特徴のような気がする。このあたりが入るとサブウェイのサンドイッチにはないインドシナ感がバリバリに出てくるのではないだろうか。

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