見出し画像

ベトナムの若者に聞いたビア・サイゴンの飲み分け方

 ベトナムは流通経路があまり発達していなかったからか、わりと最近まで地域によって飲むビールの銘柄が違っていた。北部ならビア・ハノイ、中部はラルー、そして南部はビア・サイゴンなどだ。しかし、今はどこでも各地のビールが飲める。特にビア・サイゴンの全土進出が著しいと感じる。

 とはいえ、ビールはやっぱり地元で飲むべきだ。北部でラルーを飲んでもおいしくないが、中部ダナンで飲めばやっぱりおいしい。それから、ラルーもビア・サイゴンも、地元に行くと銘柄が増える。たとえばビア・サイゴンはハノイではプレミアムビールの「スペシャル」しかない。だから、ホーチミンに行ったら飲むべきはビア・サイゴンである。

画像1

 ビールというのは地元の料理にぴったり合うようにできている。水が同じだからなのか、あるいはその国で育ったもの同士だからなのか。だから、ホーチミンでベトナム料理を食べるなら、それに合わせるビールはビア・サイゴン一択だ。

 とはいえ、ホーチミンではビア・サイゴンは3つの銘柄に分かれる。スペシャル、グリーン、レッドの3種類になる。これをどう飲み分けるのか、地元の若者に聞いてみたことがある。

画像2

 その前にちょっと。まず掲載は過去の画像で、最近(去年くらいかな)、ビア・サイゴンのパッケージデザインが変わっている。今回の画像はそれ以前のものなので、これはあくまでも参考に。下記はグリーンラベルの新しいものだ。こんな感じになっている。

 また、ビア・サイゴンには新銘柄で「ゴールド」も出ている。これはボク自身、パッケージすら現物を見たことがないので、今回はこれについては触れない。SABECO社のサイトに製品情報があるので、そちらを参考にしてほしい。

 プレミアムビールとしての「スペシャル」ラベルは、ホーチミンだけでなく、ベトナム全土にある。ハノイではむしろビア・ハノイよりも飲まれているらしく。

 知人に聞いた話では、ハノイの日本人ソフトボール大会で優勝記念にプロ野球の優勝パーティーのようにビールかけをしたそうだ。安いので、気軽にできる。そのときはビア・ハノイを用意したところ、多くの人が肌に異変を感じたんだとか。ピリピリ痛んだそうだ。

 また、別の友人を始め、多くのハノイ在住日本人を見ていると、ビールを飲むときはビア・ハノイ以外にしているようだ。ベトナム料理は南部よりも北部料理がおいしいと言われるのだが、ビールだけは違うようだ。

 ちなみに、スペシャルのアルコール度数は4.9%だ。このたび登場したゴールドは缶のみで、アルコール度数はちょっと高い5%になっている。

画像3

 もう今はないのだが、ホーチミンにあったカエル鍋の屋台では揃えるビールが洋物かスペシャルだけだった。せっかくのスペシャルなのに、カップがプラスチックっていうのがベトナムらしいというか、味気ないというか。

画像4

 ホーチミン、あるいは南部以外であまり見かけない銘柄がグリーンラベルの「ラガー」だ。これが一番スタンダードなビア・サイゴンになるので、値段もスペシャルと比較して安い。

 一応、スペシャルもラベルではラガービールに分類される。というか、どのラベルにおいてもベトナムで流通するビールのほとんどが下面発酵を意味するラガーだと思うけど。

 グリーンラベルが安いと言っても、具体的にいくらだったかな。グリーンラベルは安宿街のブイビエンで飲むと、安いところで1.8万ドンだったような。スペシャルが2.4万ドンとかそんな感じだった気がする。

画像5

 それからレッドラベルが「エクスポート」だ。これは基本的にはグリーンラベルと同じ値段になる。店によって差がある場合もあるが。

 となると気になるのが、ホーチミンではどのように飲み分けられているのか。ホーチミンの若者に話を聞いてみた。

 まず、スペシャルはプレミアムであることはもちろん、値段的に高いので、若者の中でも裕福な人が飲む、あるいは外国人が飲むものだという。仮に先述の値段が正しかったとすると、1.8万ドンと2.4万ドンなので、6000ドンしか変わらない。ということは、日本円で約27円の値差でしかない。そうなれば外国人などはプレミアムを選ぶだろう。

 しかし、現地人の金銭感覚は違うので、スペシャルは選択肢に入らない。では、同じ値段のグリーンとレッドではどちらのラベルを選ぶのか。ホーチミンの若者たちは主にレッドラベルを選ぶ。その理由はアルコール度数だ。

 グリーンラベルは4%、レッドラベルは4.9%になる。同じ値段なら効率よく酔えるレッドを選ぶというわけだ。ただ、標準の瓶サイズが違うはずなので、一概に言えないような気もするのだが。たぶんグリーンは450mlで、レッドは355mlだ。量的にはグリーンの方がいいのに。

 実際、その話を聞いてホーチミンを歩いてみると、確かに若い人はレッドラベルを選んでいるケースが多い。ハノイにはグリーンもレッドもないから絶対に見ない光景なので、ビールを通して見るベトナムの習慣もまたおもしろいものである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?