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【タイ飯】バンコクおすすめタルタルステーキ【生肉料理7】

 日本国内ではなかなか食べられない「生肉料理」がバンコクなら自己責任で食べることができる。屋台から高級レストランまで、あらゆる飲食店で生肉を目にする。そんな、バンコクで食べられる生肉料理を複数回に渡って紹介していきたい。今回は高級ホテルの高級フレンチ「TABLES GRILL(テーブルズグリル)」で食べる和牛のタルタルステーキだ。

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 日系デパートの伊勢丹があり、近くにはサイアム・パラゴンやMBKといった商業施設もあり、一大商業地でもあるエリアで、近年のバンコクの政治トラブルではいつも座り込みの中心地となるラーチャプラソン交差点に高級ホテル「グランドハイアット・エラワン・バンコク」がある。アメリカの大統領も泊まるようなホテルだ。

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 そんな超一級ホテルの中にTABLES GRILLがある。ホテル同様、高級フレンチで、ここでは芸術的な「タルタルステーキ」が堪能できる。ヘッドシェフはもちろんフランス人であり、14歳から料理の世界に入ってロンドンや上海を経て2018年4月からここの厨房を取り仕切る。ときにはチェンマイなどへ野菜を探しに行くなど、精力的に活動する敏腕シェフである。

 そんなヘッドシェフが徹底した衛生管理下で用意するのがオーストラリア産の和牛だ。一般的にタルタルステーキというとゆで卵やマスタードなどを入れて味をごまかすこともある。しかし、ここのタルタルステーキはシンプルなスパイス各種を丁寧に使い、肉のうま味を最大限に引き出した。ほかでは食べられない、このシェフならではのタルタルステーキである。

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 ところで、タルタルステーキとはいったいなんなのだろうか。ヨーロッパ各国で見られ、英語でも「タルタルステーキ」で通じる。一方、タルタルステーキの「タルタル」とは、タタール人を指す。つまり、タタールのステーキという意味である。このタタール人はモンゴル系部族だ。

 タルタルステーキの発祥に関して、あるいは原型に関してはふたつの説がある。ひとつは先述の遊牧民であるタタール人が、馬肉を切り分けて馬の鞍の下に入れ、体重で潰した料理とされる。

 もうひとつの説はヨーロッパ誕生説だ。ヨーロッパでは馬肉を食べる習慣がなかったので牛肉を使ったものの、生肉食は野蛮だとされた。そのため、差別的ではあるが、タタール人の名を取ったという説だ。

 ちなみに、タルタルステーキは各地で姿が変わる。たとえば、先日紹介したレバノンの生肉料理「クッベ・ナーイエ」などはタルタルステーキが原型という話は存在しないのだが、まるでタルタルステーキが変形したのではないかと思うほどに作り方などが似ている。

 また、ドイツのハンブルグではタルタルステーキが焼かれるようになった。それがハンバーグとなったという説もある。さらに、ヨーロッパではなく朝鮮半島に遊牧民料理として伝わったものが「ユッケ」になったともされる。

 結局のところ、タルタルステーキは西洋料理なのか。それとも、モンゴルを発祥とするアジア料理なのか。そこでTABLES GRILLのヘッドシェフにタルタルステーキはなにがオリジナルなのかを訊ねた。

「今キミたちの目の前にあるように、タルタルはフランス料理さ」

 フランス料理に人生を捧げるシェフがフランス訛りの英語でそう言って笑った。

・DATA
店名:TABLES GRILL(テーブルズグリル)
住所:Grand Hyatt Erawan Bangkok, 494 Rajdamri Rd. Bangkok
電話:02-254-1234(予約専用)
時間:18:00~22:00
web:https://tablesgrill.com/
IG:tables_grill
値段:
Wagyu Beef Tartare and Black Truffle:1000B
※この情報は取材時のものです。
※生肉食は100%安全ではありません。当記事はおすすめの生肉料理店を紹介するものであり、安全性を保証するものではありません。タイでの生肉食は自己責任において自己判断で食べるようにしてください。注意点などは下記にまとめています。
※当記事はバンコクで発行される無料誌「DACO」の492号(2018年11月5日発行号)に掲載された記事を加筆修正しています。

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