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機内食ってまずい方がそれっぽくて好きなんだ!

 海外に住んでいると日常会話の中で普段利用する航空会社の話になったりする。航空会社を選ぶ理由というのは人それぞれだ。ボクはできれば直行便で、日本語字幕の映画が観られること、が好ましい条件である。そうなると、タイ発だとANAが望ましい。

 そういう会話の中で機内食の話にもなる。いろいろある意見や逸話の中でボクが理解できないのが、どこそこの機内食はまずい、という内容だ。ボクからすれば、機内食においしいかまずいかを求める方が変なのだ。それならばそれなりにいいエアラインのファーストクラスを利用するべきだ。

 エコノミーなら、むしろボクはまずい方が飛行機に乗っている感があって好きだ。機内食はまずい方がいいのだ。

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 そもそも機内食って不思議なサービスだと思う。何百人と乗っている乗客たちが、一斉に同じようなメニューを食べ始める。考えてみると滑稽だ。動物園で飼育されているみたいな。ファーストクラスとかなら好きな時間に好きなものを頼めるサービスがあるようだが、なんかこの機内食配膳というシステム自体が変だと思ってしまう。何百人が自由に食べると大変なので運航の中でそうせざるをえないのだろうけれど。

 機内食を食べているってこと自体が「変」なのだから、そこにおいしいもまずいもなかろう。機内食に美味を求める人はファーストクラスに乗るか、LCCを利用して機内食なしで飛ぶべきだ。

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 タイ国内や東南アジア内を移動する場合、距離的に機内食は不要だからLCCを使うことになる。それに慣れると日本に行く場合にレガシーキャリアを利用したとき、ビールを注文して料金を請求されないことに手を合わせて感謝したくなる。

 機内食だって、なんだかんだ「とりあえず食べられる」のだからいいじゃないか。まずいなんて贅沢を言ってはいけない

 それだったら、むしろ空港の飲食が高いことに文句を言おう。日本はそう行かないから成田や羽田に対してあまり実感がないけれども、タイとかベトナムの空港は構内のレストランがムチャクチャ高い。ファストフードだって市内の1.5倍以上はするでしょう。そのほかのレストランも大しておいしくないのに、市価の何倍もする。そっちの方が問題だ。

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 ボクが機内食に対してあまり味を気にしないのは、たぶんこれまでの経緯もあるのだろう。最初の体験レベルが低かったからそんなものだと思っているのかと。

 初めて飛行機に乗ったのは17歳のときだった。初めて北海道にひとり旅をしたときに乗ったANAだ。そのときに機内食が出たかどうかは全然記憶にない。

 国際線で初めて乗ったのはエジプト航空だった。確実なのはこっちだと思う。機内食に対して期待をするのをやめたのは。

 その後も行くのはタイばかりで、使うとしたらバングラディシュのビーマン・エアライン、インドのエア・インディアがほとんどだった。90年代後半、それから2000年代前半は燃料サーチャージなんてなかったし、機内のうしろの方は喫煙席だったしね。

 あのころは本当にチケットが安かった。前述の通り、燃料の別料金なんてなかった。消費税も低かったわけだし。ただ、空港使用料なるものは加算されていたけれど。少なくとも98年から2003年くらいまではエア・インディアの成田-バンコク往復の3ヶ月オープンが4万円台前半だったかな。ビーマンで同じ条件だと3.5万円くらい。もしかしたら3ヶ月フィックスかもしれないけど。これで直行でバンコクに行けたんだからホントいい時代だった。

 ちょっと話は違うが、タイの観光ビザも簡単だった。申請書1枚だけでダブルを取得できたし。確かあのころはトリプルもあった気がする。ただ、トリプルは各滞在期間において延長できなくて、あまりメリットがなかったような。

 このふたつのエアラインもまた機内食はあまりいいものじゃなかった。ビーマンなんかは4万円台でビジネスクラスも利用できた。ビーマンのエコノミーとビジネスの機内食の違いは、器がプラスチックから陶磁器になっていることと、パンをお替わりできることくらい。ウェルカムドリンクもあったかも。ビーマンなんか、飛び立ったらパイロットがドア開けっ放しで操縦しているし、そういう航空会社なわけだ。機内食に期待できるわけがない。

 とはいえ、そんなボクでもこれはひどいと思った機内食がある。それは中国東方航空だった。バンコク発上海行きの深夜便だ。機内ではわざわざスペシャル・ミールを用意していると言い、なんだろうと思ったら、箱に入っていたのはパッサパサのパンひとつと、キットカット、あとせんべいとかだったかな。これは最早機内食ではない。

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 そう考えれば、ちゃんと温められているご飯ならもうなんだっていいと思う。ボクの最初の海外体験がエジプト航空のマニラ経由便だったので、海外へのワクワクと、それほどおいしくない機内食が印象の中でうまい具合に融合して、機内食=まずい=ワクワクになっているのかと思う。

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 普段機内食を写真に収めることはないが、去年日本に行ったときになぜか撮っていたので、それをあげてみる。

 ベトナム航空の機内食で、たぶんホーチミン発成田行きの機内食だったかな。早朝の便で出てきた、朝飯向けの機内食だったろうか。いつもは肉を選ぶが、このときは魚にした。ちゃんと和風になっている。

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 漬けものもあるし、これになにを文句言おうか。これでいいじゃないか。しかもベトナム航空だ。むしろがんばっている方ではないか。

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 だいたいね、こうやってカニカマを使っちゃうセンスになにか言えるかい? って話でもある。

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 これもベトナム航空で、やはりホーチミン発成田行きだ。こちらは深夜発で、早朝に成田に到着する便だった。このときの機内食は洋風の朝食っぽい。むしろこのタイプならまずくする方が難しい。

 ただ、ひとつだけ言いたいことがある。この前の画像は米だったわけだが、やはりパンとマーガリンがついている。この画像にもついている。というか、機内食=このパンっていうのはどの航空会社も同じなのではないか。こういうセンスはどうかな、と言いたい。

 というのは、この「なんにでもとりあえずパン」という部分がボクの記憶にやっぱり直結する。17歳のときに大けがをして入院をしたことがあるのだが、若いころは朝食はパン派だった。それを病院に伝えると、パンにできるので明日からそうしてくれると。

 そして、翌朝だ。配膳されたのは確かにパンだったが、みそ汁とアジの干物(だったと思う)に食パンだった。星一徹になるかと思った。ボク以外にもパンを希望する人はいるだろう。メニューを2種類、用意できないものかね。

 この「機内食にとりあえずこのパン」パターンだけはそのときのことを思い出してしまうので、なんかやめてほしいなと思う。あとは別にまずかろうが、ボクにとっては全然問題ない。

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