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【タイ飯】バンコクおすすめゴイ【生肉料理9】

 日本国内ではなかなか食べられない「生肉料理」がバンコクなら自己責任で食べることができる。屋台から高級レストランまで、あらゆる飲食店で生肉を目にする。そんな、バンコクで食べられる生肉料理を複数回に渡って紹介していきたい。今回はタイ料理における生肉料理が食べられる「ソムタム・パナンシーファー」に行ってきた。

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 生肉料理は世界中にある。しかし、日常的に生肉を食べることを好むのは日本人くらいだ。ほとんどの国で生肉は特別な日に食べる。ここタイにおいてもわりと日本のように日常的にも生肉を食べる。地方では特に特別な日にも出てくるのが生肉料理だ。主に北タイと東北部で、山岳地帯では捕獲したシカやイノシシ、家畜の豚を使う。また、東北なら牛を使うことも多い。

 タイ料理の生肉食はしっかりと管理・保管された肉であることが重要だ。今回紹介するのは比較的安心して食べられるのではないかと感じた、エカマイのソイ12と14の間にあるソムタム・パナンシーファーだ。

 先に言っておくと、タイ料理の中にある生肉料理はどこでも食べることができる。特に東北部料理の「イサーン料理」の屋台や食堂なら大概ある。

 店選びで大切なのは肉の扱いだ。これまで紹介してきた、比較的高級で、ちゃんとした飲食店ならいいのだが、一般的な屋台などでは肉料理用の普通の肉を、ほかの調理で使った包丁やまな板などと分けることなく生肉料理を作っている。どこでも食べられる分、善し悪しの判断はしっかりとしていかなくてはならない。

 今回生肉を食べたソムタム・パナンシーファーは、一応、生食用の肉はその日に入荷したものをその日だけしか出さないようにしているという。

 とはいえ、今回紹介するタイ生肉料理を食べる勇気がみなさんにあるだろうか。

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 ここではタイ料理の生肉の代表格である「ゴイ」と「ソックレック」が楽しめる。両方とも牛肉で、イサーン料理の代表である挽肉サラダ「ラープ」と同じ食材を使う。挽肉、コブミカンなどのハーブ、煎り米の粉などだ。

 ソックレック(あるいは「ラープ・ルアット」)はさらにその動物の血液を投入する(※)。豚肉なら豚の、牛肉なら牛の血を入れる。生肉でさえもハードルが高い中、血も一緒に食べられるだろうか。

 ゴイは血を混ぜず、生肉だけなのでまだ手を出しやすいだろう。ゴイを口に入れて感じるのはゴリゴリの食感だ。これは煎り米の粉である。トウガラシも効いていて、案外辛い。刺身を食べるときのわさびのように殺菌効果があると思えば、この辛さもありがたい。

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 ソックレックは色合いからして手が震えるが、味は意外にマイルドだ。しかも、血なまぐさいということもない。とはいえ、ゴイと同じで火が出るほど辛い。

 東北の生肉料理は主に男性が食べるようで、アルコールと一緒に食べる人が多い。しかし、女性や子どもも食べる。カオニャオ(もち米)でこれらの生肉料理を食べるようだ。

 近年はタイの若い人は生肉料理を食べない。特にバンコクの若い人は一切口が受けつけない。東北でも徐々に食べられなくなっている。一方で、東北部、北部ではアグレッシブな生肉料理がある。簡単にまとめると下記のようなものがタイ料理にあった。

■北部
ラープ・ディップ:生のひき肉に新鮮な血や茹でた内臓を混ぜて、においの強い香草と和えたサラダ。牛や水牛もあるが、主に豚肉で食べる。
ルー:生肉と血、内臓を和えた料理。これも現在は豚肉を中心にしたものをよく食べる。血が多く、ほとんどスープ状になっているものをよく見る。また、牛や水牛の腸内にある繊維を取りだして混ぜる「ルー・ピア」もある。
サージンサーヌアとも呼び、一般的なラープと同じ調味料を使う。内臓は混ぜる前に茹でることと、血を混ぜない点が「ルー」との違い(諸説あり)。

■東北部
ゴイ
:一般的なひき肉のサラダであるラープと同じ調味料を使う。肉の種類は問わないが、バンコクの飲食店ではほとんどの店で牛肉で作る。煎り米の粉の苦みとトウガラシの辛さが特徴的。コブミカンの葉を使うことも多く、香りがいい。
ラープ・ルアット:ゴイと同じ調味料などだが、血と内臓を混ぜる。ゴイは乾いたラープ、こちらは水気の多いラープというイメージ。肉の種類も問わないが、やはりバンコクでは牛が多い。
ソックレック:ラープ・ルアットでコブミカンを使わないもの。また、特に牛肉を使っているものだけをソックレックとするとされる。(諸説あり)
ソーイジュ:ソーイは薄く切る、ジュはナムチム(タレ)といった意味で、新鮮な牛や豚の肉、内臓、脂肪分などを薄切りし、タレに漬けて食べる。タレには胆汁やレバー、内臓などを入れることもあり、苦い味を好む人が多い。

ゴイ、ラープ・ルアット、ソックレックは調理師においても定義が混同され、名称も同時に混同されている。上記の説明も諸説ある中のひとつだ。

■中央部
プラー
:コブミカンやレモングラスなどハーブと共に野菜を和えたヤム(タイ式サラダ)のような料理。肉は完全に生ではなく、軽く表面を湯煎などしている。バンコクの飲食店でも一般的にあるが、大半がエビを使っていて、肉のプラーはあまり見かけない。

※調理方法や名称などには諸説ある。本記事は「ソムタム・パナンシーファー」の店主がゴイには血を混ぜず、ソックレックあるいはラープ・ルアットはまったく同じとしたため、それに従って執筆した。
・DATA
店名:ソムタム・パナンシーファー
住所:EkamaiRd. SukhumvitRd. Bangkok(ソイ12と14の間)
電話:080-943-8253
時間:10:00~20:00
値段:
ゴイ:60B
ソックレック:60B
※この情報は取材時のものです。
※生肉食は100%安全ではありません。当記事はおすすめの生肉料理店を紹介するものであり、安全性を保証するものではありません。タイでの生肉食は自己責任において自己判断で食べるようにしてください。注意点などは下記にまとめています。
※当記事はバンコクで発行される無料誌「DACO」の492号(2018年11月5日発行号)に掲載された記事を加筆修正しています。

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