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シェムリで食べたフィッシュ&チップスがひどかった

 海外取材旅行(要するにタイ国外の中長期取材)では、基本的には乗り物を使わずにできる限り歩く。そして、可能な限り現地の料理を食べる。それが現地を知る手段のひとつだと思っている。しかし、2週間くらいずっと歩き続けることになるので、結構疲れてくる。ストレスとか緊張もあるので、精神的にも疲れる。外国まで来てネタを得られなかったら大損なので、やり直しができ、かつ言葉もできるタイとは勝手が違う。だからというわけではないが、たまには和食とかファストフードとか、食べ慣れたものを食べて疲れを癒す。

 しかし、場所によってはそういうものがない。東南アジアは田舎は本当になにもないし。2011年ごろに行ったカンボジアでは首都プノンペンでさえファストフードは外国から来たのは当時KFCくらいしかなかった。

 アンコールワットが有名なシェムリアップにいたとき、和食店がなかったので、レストランでステーキにしようかなと思ったら、ふとメニューにフィッシュ&チップスがあるのが目に入った。中学生のころにカーレースのマンガ「F(エフ)」を読んでいたので、ロンドン時代の生活シーンで出てきたフィッシュ&チップスという語感に妙に惹かれる性質が抜けなく、ついつい注文してしまった。

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 初めて行ったシェムリアップはたぶん2000年とか。そのころはシェムリアップなんてなにもなかった。それから10年して行ってみれば、ウォーキングストリートみたいな歓楽街ができているし、大きなホテルがあるし、なにより道路が舗装されていたりと、全然違う街になっていた。

 それでもシェムリのファストフードはラッキーバーガーくらいしかなかったはず。カンボジア発のハンバーガーチェーンで、あまり魅力がなかった。

 それでたまたま入ったレストランでフィッシュ&チップスを見つけたというわけだ。フィッシュ&チップスを目にすると毎回、「フィッシュまではわかるが、なんでフライドポテトがチップなんだろうか」と、数秒考えてしまう。本場ではポテトチップとかなんでしょうか。

 とはいえ、フィッシュ&チップスを初めて食べたのはここというわけではない。20年くらい前にシーロム通りのソイ・コンベントにアイリッシュパブがあった。そこでギネスの生ビールとフィッシュ&チップスを食べることができた。当時250バーツくらいだったかな。今だったら普通だけども、当時の物価感覚からしたらムチャクチャ高級だった。大衆料理って聞いてたのに、って思ったものだ。

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 シェムリで頼んだフィッシュ&チップスはこんな感じ。見た目的にはなんら問題はない。フライの白身魚にタルタルソース、ポテト。スタンダードだと思う。

 それで早速かぶりついてみる。すると・・・。

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 強烈なアンモニア臭。そもそもフィッシュ&チップスの白身魚はなんなんでしょう。イメージではタラだけども、考えてみればタイでもタラはなかなかないし(当時の話)、あっても魚料理の中で一番高かった。タラがこんなシェムリのレストランにあるわけがないか。

 この時期はタイでさえ和食も広まり始めたばかりだった。タラはタイではかなり珍しく、一般的な市場にはなかったはず。タイ語でタラはプラー・コードと英語から来ているけど、名前が浸透していない当時、たぶん日本人調理師がそれほどタイ語ができなかったからなのか、メニューにはプラー・ヒマ、直訳すると雪の魚と、漢字そのものを訳している店もあったほどだ。

 当時はそんなものだった。バンコクのイミグレーションがまだサートーンで機能していたころ、ビザの延長で行ったときに日本風の丼店に入った。メニューは数種類で、きれいに写真を撮って、ファストフード店みたいにカウンターの上に掲げていた。その中に『海低音丼』というのがあった。なんだろうと思っていて、しばらくしてわかった。シーバスだ。スズキの身の唐揚げ、タイだとバラマンディの唐揚げ丼のことだった。

 シェムリアップだと場所的に考えれば、淡水魚である可能性が高いかな。メコンオオナマズ的な魚ではないか。でも、それにしては骨がないように見える。

 あるいは、淡水エイも考えられる。アンモニア臭がするってことは、むしろエイの可能性が高いのではないか。韓国にエイの身を発酵させてアンモニア臭ぷんぷんの料理があると聞いた。それは確か尿素がアンモニア臭を出すとかなんとか。タイのメコン河とかに巨大な淡水エイがいるくらいだから、トンレサップ湖にもいると考えていいのではないだろうか。

 ホント、死ぬほどまずかった。ビールで流し込めればいいが、ボクは昼間にアルコールは飲まない主義なので、コーラでなんとか流し込んだ。残したって、東南アジアだからなにも言われないだろうけど、そこはボクの中の日本人気質が出てしまう。まあ、その「もったいない精神」や「絶対残さない主義」によって、伊達にわずか10年で40キロも体重を増やしていないって話。

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