見出し画像

タイの栄養ドリンク市場は日本発

 タイは栄養ドリンクの種類が多い。世界的に有名なレッドブルの元祖である「グラティンデーン」、タイ人に一番人気のある「M-150」など、種類は豊富にある。ほかにもたくさんの種類があって、コンビニによっては冷蔵庫ひとつがすべて栄養ドリンクになっていることもある。

画像1

 従来のボトルが今回なかったので新しいボトルのみになるが、レッドブルの元祖であるグラティンデーンも今は新しいラインナップも揃う。グラティンデーンの創業一族は今ではタイ有数の富裕層だが、ほかの富裕層のように財閥として何世代も続いてきた世帯ではなく、創業者であるチャリオ・ユーウィッタヤー氏がオーストリア人に販売権などを与え、その株式などで富裕層に成り上がったという特殊な経緯がある。最近は孫の警察官ひき逃げ殺人の逃走劇で再び話題になっている。

画像2

画像3

 グラティンデーンは1978年に誕生している。新型の商品はさらに様々な漢方薬が足されたものになり、かつデザインはおしゃれになった。

 ボクの中ではグラティンデーンは赤い牛が闘っているかのような絵柄で、特にカオサンで人気だった、胸が白地でグラティンデーン、袖が紺色のTシャツが想起される。1998年に来たときは白人の多くがそれを着ていた。今でいうタイパンツくらいの売れ行きだったのではないか。

画像4

 最近になって一応レッドブルも出ている。レッドブルは1984年には開発されているようだが、以前、タイではほとんど見られなかった。グラティンデーンがあるので、タイの販売権がレッドブルになかったのかもしれない。一説では、タイでカーレースの最高峰であるF1が開催されないのは、契約のしがらみでタイ国内でレッドブルが看板を出せないから、という話もあった。

 レッドブルとグラティンデーンはまったくの別物であると言っていい。成分が違うので、効能も違うのだとか。そのいい例が、レッドブル・ウォッカだ。ウォッカをレッドブルで割るというカクテルだが、一時期イギリスだったかシンガポールのクラブで大流行した。

 それは、レッドブルではなく、グラティンデーンをウォッカで割ることだった。

 成分が違うので、タイ産のグラティンデーンをウォッカで飲むと覚せい剤などを服用したような高揚感が得られるということだった。レッドブルではその効果が出せないらしく。ちなみに、レッドブルのある製品にコカイン混入の事件があって、回収騒動になったことはあるようだ。

画像5

 タイの栄養ドリンク市場の始まりは、実は日本のこの製品が上陸したからだ。「リポビタンD」だ。オーソットサパという企業がタイで生産もしているという。先のタイで一番人気のドリンクであるM-150も同じ会社だ。結局グラティンデーンはオーソットサパからマーケットシェアを奪うことができず、だから特殊な経緯で富裕層の仲間入りをしたと言える。

 リポビタンDは日本の市場に1962年に参上している。そして、1965年にはタイに上陸した。グラティンデーンの登場はさらにそこから13年後なので、先駆者が得る利益の方が大きいのは仕方のないことかもしれない。

画像6

 リポ・シリーズでは今はこの「リポ・プラス」も出ている。今は、と言ってもかなり前からだが。見たことはないが、日本にこの製品はあるのだろうか。

 M-150やグラティンデーンは1本10バーツだ。値上がりしていなければ。リポビタンDはそれよりもちょっと高い。12バーツだったか15バーツだったか。だから、栄養ドリンクを飲む人は値段的にはM-150を選択する。

画像7

 正面のロゴを撮り忘れたが、「カラバオ・デーン」もマーケットシェアを拡大している。ネーミングがグラティンデーンを真似しているのだが、とにかく人気がある。カラバオはタイの演歌的なロックのジャンルであるプレーン・プア・チーウィットの大御所バンドだ。このバンドとタイのビアホールで有名なタワンデーンの企業が組んで開発したのがカラバオ・デーンになる。

 含有成分はどの栄養ドリンクも似たようなもの。とはいえ、日本や欧米とは法令も違うので、含有成分の割合は大きく違う。医薬品に含まれてはいないと思うが、一応、パッケージの標記などは法令があり、それに準じたデザインになっている。タイらしいのは、栄養ドリンクもちゃんとハラル食品の認証を受けている点だろう。

 ボク自身はあまり栄養ドリンクは飲まない。飲んでもその効果を感じたことがない。味もどれを飲んだって同じに感じるので、たまに気分だけでもというときに飲むくらいだ。ほかにもたくさんのブランドがあるので、違いがわかる人はぜひ試してみてほしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?