自分に今足りないものはトウガラシ
かれこれ日本滞在が半年を過ぎている。これだけ長く日本で過ごすことなんて自分の人生においてはもうないと思っていたので、案外楽しんでいたりはする。
日本はとにかく食事がおいしくて、まあ普通に太るね、これ。日本はタイ以上にダイエットとか肥満に関する話がメディアでよく見られるけれども、これだけ食べものがあるからそうなるよ。
そして、これだけ食べものが豊かだと、逆に食べることがなんだか嫌になってくる。今は実家に滞在している。実家の人々はみな、3食ちゃんと食べている。それがボクの体質には合わなくなっているので、今は食事をすること自体がつらい。最近は食べるのが嫌でたまに3日とかなにも食べないこともある。
これを不健康と言う人もいるかもしれない。でも、人間も動物であり、本当に必要な栄養素は自然と欲するようになるのだと思う。デブの言い訳というわけではなくて、そういうものだと若いときから思っていて、自分の子どもにも一応野菜を食べるように促すものの、強制をしたことがない。ボクが今、なにも食べたくないのは栄養過多になっているからで、もし体がほしいと思ったら、自然となにか食べたいものを思いつくはず。
それで言うと、たぶんボクは今、辛さが必要だ。トウガラシが不足していると思う。
本来、トウガラシは体を冷やす作用があるようで。だから、日本の冬場には合わない。日本は東南アジアと比較すると寒い時期が長い。東南アジアからしたら夏以外は全部寒いくらいで。だから和食でトウガラシを使うものがそんなに多くないのかと思う。
日本にも鷹の爪とかトウガラシそのものや加工したものがある。七味もそうだし、いろいろあるにはあるけれども、どうもピンと来ない。タイ式のトウガラシがいい。タイのトウガラシと言えば生のものだとプリック・キーヌーとかかな。
ボクの食の知識は大概マンガ「美味しんぼ」から来ているのだけれども、韓国料理がテーマのときだったかな。そこでは同じ種でも韓国の土で育ったトウガラシと、日本で育ったものでは辛さが全然違くなるのだとあった。韓国の方が辛くなるのだったかな。
それと同じで、ボクが欲しているのはタイのトウガラシだ。日本のトウガラシも悪くはないけれど、ボクが求めている風味とかそういうものが違う。こうなると、トウガラシそのものを欲しているのか、平気でいるつもりでもやっぱり精神的にはタイに帰りたいのか、わからなくなってくるな。
ちなみに、人に指摘されるまで自分ではまったくもっておかしいと思ったことはなかったのだが、ボクは普通の人よりもトウガラシが好きというか、食べられる体質のようだ。和食の定食を食べるときに七味をふりかけのようにしてご飯にかける。一味ではやらないのは、七味は香草のようないろいろな香りが楽しめるからでもあるが。
生のトウガラシも平気で齧ることができる。それはちょっとしたコツがあって、失敗すればそれはボクだって悶絶するほど辛いと感じる。
生のトウガラシにもそれなりに香りがあって、わかるようになるとおいしい。ただ、わからない人には無理な話のようだ。辛さというのは味覚でなく痛覚なんだとか。SMプレイが理解できない人は一生理解できない。しかし、ある程度慣れればそのプレイも可能になる。そういう感じかな。
タイだと生のトウガラシのほか、乾燥したもの、粉末状にしたものなどさまざまなタイプがある。あとは料理にもよく使われるが、ナムプリックなどの、タイ風味噌みたいな調味料にも使われていることも少なくない。これもまた違った辛さの風味が出るので不思議なものだ。
「なら、タイ料理屋に行けば」となるかもしれないけれど、それはしたくない。これはトウガラシの問題ではなくて、単に高くてもったいないと思ってしまうから。タイに行けばもっとおいしくて、ずっと安いものがいっぱいあるし。日本だけでなく、タイ料理はタイを出てしまうと途端に高級料理におなりになる。
ボクはこうして半年くらい日本にいるけれども、でもいまだに本当の居場所はタイだと思っているので、日本でタイ料理はなんか時間と金がもったいないと思ってしまうわけで。自分でも気がつかないストレスが溜まっているのかな。
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