ジルいままでありがとう②

帰宅したら、君は目を見開き口を開けたまま剥製のように固まっていた。
その姿には動揺したけど、
ジル、ジル、ただいま!というわたしの声に目を動かして応えてくれた。

月並みだけど、ありがとう、わたしのこと
待っててくれたんだね。

苦しいね、しんどいね…

走り出すように手足をばたばたさせ、痙攣し始めた。

ああ、ジルは向こう側へ走っていくんだ。
川の向こうにてんにゃ(天女)様が見えるかい。
会ったことあるんじゃないのかい。

痙攣と引き攣りをくり返し、瞳孔が細くなったり目が真っ黒になるほどひらいたり
状態はいったりきたりをくりかえした。

そして、脚をぴんと伸ばしたまましずかになった

おなかは動いているから、息をしていることは分かる

もしかして、まだ1〜2日もつかもななんて、淡い気持ちを持ちはじめたころ

おなかのふくらみがだんだんと小さくなり、途切れがちに

かと思うと、思い出したように、はっと息をすう

無呼吸症候群のいびきのように。

長くなってきたので、うどんをささっと作って
夫とふたりですすった

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