一枚の絵が結んだ赤い糸
高校2年生の2月初旬、石川竜貴(いしかわ たつき)は教室で絵を描いていた。絵が完成した直後、同じクラスの杉山翔(すぎやま かける)が石川に話しかけてきた。
「絵を描くのが上手だな。それ、あの子だろ。」
杉山が指していたのは、同じクラスの上田愛(うえだ あい)だった。
石川はパタンとノートを閉じて、下を向いて答えた。
「そうだけど。何か。」
「お前も上田のことが好きか。実は、俺も彼女のことが好きだ。まあ、俺たちはライバルってことで。」
杉山は左手で、石川の右肩をポンと軽く叩き、