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誰かの記憶には残らなくても

仕事帰りにふと、一度歩いた道を引き返そうと思った。

帰り道には、
途中でふたつに分かれるところがある。

右に折れるとずっと平らな道。
まっすぐ進むと緩やかな登りが続いて、
そのあとに下る道。

どっちを選んでも、時間は対してかわらない。
でも今日は右に折れたあとに、
「いや、まっすぐ登ろうかな」と思い引き返した。

家に帰ったあとに、
"なんで引き返したんだろうか?"
と考えたときに、実は上に登って歩いた時の方が、何かと記憶に残っていたことに気づいた。

かどの家に好きなクルマの写真が飾ってあったり、月明かりが綺麗だったり、ワンカップを呑みながら歩くサラリーマンがどこかカッコよかったり。

なにかと、まっすぐ登った日にみた風景、感じたことのほうが覚えている。

今日は仕事で、色々積み重なった問題が大きなトラブルとなり、緊急会議が開かれた。そこで社長に言われたひとことひとことが本当に刺さって、改めて頑張ろう!と思った帰り道でもあった。

よく、「毎日昨日の自分から成長できたか?」
なんてことをモノの本は言う。

そんな大それたことじゃなくても。
「一日のおわりに、なんでもない毎日を楽しめるようなら人生にしたいな」と思った。

そしていつか死ぬときに、決して誰かの記憶にのこる人生でなかったとしても、じぶんの記憶の中で、一つ一つの瞬間を"こうだったなぁ、こんなことがあったなぁ"あたたかくなれるようになれればなおさら嬉しい。

そんなことを思う帰り道。

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