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昭和40年4月1日、24歳の誕生日を迎えた。

およそ1年ぶりに、神奈川県に住むおばあちゃんに会ったら、「これ前にちょっとつけてた日記なんだけど、」と言って日記を渡された。

生理についておばあちゃんとLINEしたときのnoteはこちら。

かなり達筆な感じで、ざっと読む、みたいなことがちょっと難しかったのだけど、「昭和40年4月1日、24歳の誕生日を迎えて、赤ちゃんがおなかにいることは喜ばしい」からはじまる日記だった。おなかの中にいるのはわたしの母。わたし自身はいま28歳なので、文面上とはいえ自分より年下のおばあちゃんと出会うのは、なんとも不思議な感覚である。

解読

もらった日記は、昭和40年4月1日から飛んで同年の11月〜12月が切り取られたもので、文量としてはそこまで多くはないものの、走り書き的な箇所があったり、漢字がうまい人の習字っぽく(?)連なっていたりして、解読にはかなりの時間を要した。(というか、このnoteを書いているいまも細かい部分については絶賛解読中です。)

日記の内容は、おばあちゃんの妊娠発覚からはじまる、日常譚。その中には、わたしが生まれる1年前に50歳半ばで亡くなってしまったおばあちゃんの大切なパートナー、おじいちゃんとの会話も登場する。「料理が上手でランニングが好きだった」の情報しかなかったおじいちゃんが、おばあちゃんの日記の中ではとてもいきいきしていた。おばあちゃんとの小競り合いみたいなものが、会話ベースで軽快に登場するのだ。母も生まれていない昭和40年のイメージが、急に浮かび上がってきた気がした。

これは余談だけど、おばあちゃんは、神奈川新聞の読者ページ「自由の声」欄の常連(?)らしく、毎年のように投稿が掲載されている(掲載は事前連絡も事後連絡も特になく誌面を見て知るらしい)。今回日記と一緒にそのスクラップも渡されたのだけど、どれも短い文章で日々の思いや、社会課題に対する意見などがわかりやすくまとめられていた。この文才は日記を書くことで身についていったのだろうか……?(わたしも日記書こうかな?)

ごはんの記録

日記を読み進めていくと、日々の気持ちや出会った人との会話の他に、お昼ご飯や、知人(レシピ本からかも?)に教えてもらったと考えられる料理のレシピが書かれていることに気づく。

十一月八日
今日の夕食の献立
一、ホウレン草をゆでる
一、さつまいも、ハス、ニンジン、天ぷら
一、目玉ヤキ(30円)、ソーセージ(30円)
一、味噌汁(ホウレン草)
一、米
※原文ママ

これは、おそらく妊娠中の健康管理のためか。普通においしそう。天ぷら食べたい。ちなみにわたしも中学〜大学まで陸上競技部に所属していたので、練習日誌に毎日三食食べたものを記録していたが(さながらレコーディングダイエットの様相)その日食べたものを見ると、なんとなくその日の練習風景や、学校の様子がうっすら思い出されるから不思議だ。あの現象はなんだろうか……。

日記に載っていたレシピで謎なのが「ムーシーヤンロー」なる中国料理。ググったら何も出て来なかったので、もしも知っている人がいたら教えてください。(解読が間違っている可能性もある)

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「マトンアラカルトが気になる」といった記述も。

おばあちゃんの葛藤と、ワード化とSNS発信

日記をもらってすぐ、目を通す前に「これはnoteのネタになるな」と思った。量もそこまで多くないし、ざっと読んでみた感想やちょっとしたパワーワードがあればそれを拾ってタイトルに入れようと考えていた。

でも読んでいくうちに、おばあちゃんの女性としての葛藤が描かれていて、それがめちゃくちゃ突き刺さった(というかちょっと泣いた)。テキスト量にして200字足らず。でも55年後の28歳のわたしにも、関係のある葛藤だった。

この日記について、ひとつのnoteで感想をまとめることは到底できそうにない気がしたので、この日記をワード化し、少しずつTwitterで発信しつつ、noteでそれをまとめて解説することにした。

(ちなみききよ子は仮名。)

日記をTwitterで発信するアイディアは、2020年夏から年末にかけて実施された「1945ひろしまタイムライン」に影響を受けていることを記しておく。

おばあちゃんは「なんか渡してみたら面白いんじゃないかって」と言ってわたしに日記をくれた。正直、この日記が存在すること自体ユニークだけど、SNS上に発信することで、さらにその存在がオリジナルなものになるといいな、と思っている。

あと、この日記には、とあるエンディングが用意されている。おばあちゃんがたまたまその期間を選んで切り取ってわたしにくれたかどうかはわからないけど、このSNS発信企画が完遂した暁には、こそっと聞いてみたいと思う。

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